世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第29回受賞者が発表された。今年の受賞者は、絵画部門にシリン・ネシャット、彫刻部門にエル・アナツイ、建築部門にラファエル・モネオ、音楽部門にユッスーン・ンドゥール、演劇・映像部門にミハイル・バリシニコフの各氏、若手芸術家奨励制度対象団体にズゥカック劇団・文化協会が選ばれた。授賞式は2017年10月18日に開催。

絵画部門

シリン・ネシャット(イラン/アメリカ)

ニューヨーク在住のイラン人女性映像作家。現代イスラム社会における女性のあり方を、政治的、社会的、心理的な面から詩的かつ刺激的に描写することでイスラム女性の理解に大きく貢献した。写真・ビデオ・インスタレーション・映画を手がけ、初監督作「男のいない女たち」はベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。

画像: シリン・ネシャット 『ロジャ・シリーズ/アンタイトルド』(2016)の画面写真を背に グラッドストーン・ギャラリー 2017年ニューヨーク

シリン・ネシャット 『ロジャ・シリーズ/アンタイトルド』(2016)の画面写真を背に
グラッドストーン・ギャラリー 2017年ニューヨーク

彫刻部門

エル・アナツイ(ガーナ)

ナジェリアを拠点にアフリカの伝統的イメージを大胆な現代的手法で発信する彫刻家。金属のボトルキャップを銅線で編み上げた、ガーナの伝統的織物を思わせる巨大なメタルワークなどで、消費文化が生む余剰廃棄物の再生利用も探求。2015年ベネチア・ビエンナーレ栄誉金獅子賞受賞。

画像: エル・アナツイ スペイン自治州カナリア諸島のテネリフェにて 2017年

エル・アナツイ スペイン自治州カナリア諸島のテネリフェにて 2017年

建築部門

ラファエル・モネオ(スペイン)

スペインを代表する建築家。その土地の歴史的背景を重視しながら、環境と調和させ、都市空間に溶け込む建築物をデザインする。『国立古代ローマ博物館』『聖マリア大聖堂』『プラド美術館新館』など国内外で多数のプロジェクトを成功させる。1996年プリツカー賞、2003年王立英国建築家協会ゴールドメダル受賞。

画像: ラファエル・モネオ マドリードの事務所にて 2017年

ラファエル・モネオ マドリードの事務所にて 2017年

音楽部門

ユッスー・ンドゥール(セネガル)

ダカール出身の作詞家・作曲家・歌手。現代のグリオ(語り部)として、西アフリカの固有のリズム『ンバラ』をアレンジし、伝統音楽に民族音楽や欧米ポップミュージックのエッセンスを取り入れ、1980~90年代の『ワールド・ミュージック』ブームを牽引。世界的人気を博す。2005年グラミー賞受賞。

画像: ユッスー・ンドゥール セネガルのスタジオにて 2017年

ユッスー・ンドゥール セネガルのスタジオにて 2017年

演劇・映像部門

ミハイル・バリシニコフ(アメリカ/ラトビア)

ラトビア生まれのバレエダンサー・振付家・俳優。1974年に米国に亡命(86年帰化)。その身体能力、役柄の解釈、音楽性で高い評価を受けたクラシックバレエと現代バレエに加え、演劇、映画、テレビでも活躍。映画「愛と喝采の日々」(77)でアカデミー賞助演男優賞候補に。若手育成にも尽力。

画像: ミハイル・バリシニコフ バリシニコフ・センターのスタジオにて 2017年ニューヨーク

ミハイル・バリシニコフ バリシニコフ・センターのスタジオにて 2017年ニューヨーク

「若手芸術家奨励制度」対象団体

ズゥカック劇団・文化協会(レバノン)

若手女優マヤ・ズビブらが2006年にベイルートで設立。シリア人難民キャンプなどレバノン各地で『演劇を通して個人に力を与え、集団への関わりを持たせる』ことを目的に、演劇療法を利用したワークショップなどの社会心理的な活動を行なっている。『レバノンの歴史』を扱った新作にも取り組み、海外公演も行なう。

画像: ズゥカック劇団のメンバー

ズゥカック劇団のメンバー

授賞式は2017年10月18日都内で行なわれる。

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