成田陽子(なりた・ようこ)
ハリウッドのスターをインタビューして37年!!ツーショットと来たらどっさりざくざく。最近は映画の記事も減ってきて発表してないお宝が貯まる一方。貯金は減る一方ですが、ともかくつたないブログで全く為にならないお話と、とっておきの古い写真とか新しいものも載せていきたいと思ってます。
「ヴィクトリア・アンド・アブドゥル」(2017)という新作で、再びヴィクトリア女王を快演しているジュディ・デンチと会見。
数年前から目がかなり見えなくなって、今回もカメラマンはフラッシュ禁止のお達しを受けてましたが、以前より細くなった(窪んだ?)青い目は生き生きと光っていました。階段や坂道では助けが必要だそうですが、毅然として、女王のように威厳を持って動いています。何よりも、その好奇心と生きるエネルギーが全身から漂ってきます。
1934年12月9日英国はヨーク生まれですから、現在83歳、女優という天職に誇りと自信を持っていること、まだ現役で人々の賞賛を受けている喜び、謙虚にして気品に溢れる態度、矍鑠(このような漢字で良いのでしょうか?かくしゃくという単語です)と言う表現がぴったりなのか、歳をとるにしたがって、乙女のように純真になりつつある領域に達したと言いますか、何しろ感動の存在でした。
以前に「ミセス・ブラウン」(1997)と言う映画で、この時は、スコットランド人の皇室お抱えの馬丁、ジョン・ブラウンと知り合い、最愛の夫、アルバートを亡くしたばかりの女王との微笑ましい交流が展開するストーリーにもジュデイーはヴィクトリア女王の役で主演しています。ミスター・ブラウンはビリー・コナリーが熱演していました。
今回はすでに女王として末期の時期で、何事にも興味がなく、大晩餐会でも夢中で食べるだけ、よく歩けず、あきらめの表情の女王のもとに、インド人の召使が現れ、彼からインドの文化、言葉、などを教えられて、再び活気を取り戻すという実話に基づいたストーリー。彼に手を取られて頬を染めて散歩に出たり、大好きなスコットランドのお城の中にある池の東屋に彼一人を伴って行ったり、早く王様になりたい長男や王室の重鎮たちがインド人を貶めようといろいろな工作を練るにもかかわらず、女王は再び生きる喜びを見出す、というロイヤル・インサイド・ドラマです。監督は皇室ドラマはもちろん、あらゆる映画に巧みで、格調のセンスを加えるベテランのスティーヴン・フリアーズ。
「ザ・クイーン」(2006)、「フローレンス・フォスター・ジェンキンス」(2016)などなど多くのオスカー賞レベルの名作を監督しています。
退廃の皇太子をエディー・イザード、サルスベリー卿にマイケル・ガンボン、スノッブな召使頭にオリヴィア・ウィリアムズと達者なベテランが脇を固めて、さてインド人の役はインドのスター、アリ・ファザル(Ali Fazal)が手がけているのですが、ものすごくアクが強くて、大男で、太陽が当たらないもやしのような上流階級の英国人が彼を敬遠する感性がよく見て取れます。
ジュディーの素晴らしい熱演と英国の王室の歴史を垣間見るのにはとても良い映画だと思いました。