今年2度目となった、アーミー・ハマーのインタビューは、9月のトロント映画祭で、でした。「コール・ミー・バイ・ユア・ネーム」CALL ME BY YOUR NAME (2017)のことを前にちょっと書きましたが、今のところ「ダンケルク」と並んで今年の大好きな映画のベスト!なので、今度は詳しく紹介しましょう。
成田陽子(なりた・ようこ)
ハリウッドのスターをインタビューして37年!!ツーショットと来たらどっさりざくざく。最近は映画の記事も減ってきて発表してないお宝が貯まる一方。貯金は減る一方ですが、ともかくつたないブログで全く為にならないお話と、とっておきの古い写真とか新しいものも載せていきたいと思ってます。
ほとんど完璧な目鼻立ち、背もとびきり高く、プロポーションは抜群、おまけに大富豪、ハマー石油の家の御曹司、育ったケイマン諸島(税金逃れで有名なビジネスマンが集まっている)では父親は彼のために学校を設立、と何から何までオトギ話のよう。リッチな人々はリッチで美しい女性と結婚、遺伝が続いて、こういうパーフェクトな人間が生まれてくるようです。
ともかく今までのアーミーの役はジョニー・デップの相棒「ローン・レンジャー」(2013)だったり、レオの恋人「エドガー」(2011)だったり、どちらかというと演技力なり、己の美貌を十分に生かしきれなかった役ばかりでしたが、今回は吹っ切れたように自然で、味わいのある演技を目一杯見せています。
舞台は1980年代の夏のイタリー。豊かな自然の中のヴィラ(貯水池あり、果樹園あり、広々とした、しかしいろいろ水漏れ、雨漏り、など発生しそうな古い邸宅は、監督自身の家だそうです)に住む大学教授を訪ねてボストンからやってきた大学院生をアーミーが演じ、教授の息子(ティモシー・シャラメット、彼も感性にあふれていて美しいのです)は天然色写真から抜け出たように鮮やかに美しいアーミーに一目惚れ。
夏休み中、ティモシーはアーミーのことばかり考えて見ている我々も気が狂いそうなほどの狂おしい情愛を感じます。
アーミーが脱ぎ捨てた海水パンツを頭にかぶってマスターベーションをしてみたり、アーミーが乗った自転車のサドルを撫で回したり、アーミーが寝たベッドでシーツや枕の匂いを嗅いだり、アーミーが地元の女の子たちにもてている姿を羨ましそうに見守ったり。
二人きりで自転車に乗って海辺に行くチャンスが!ティモシーは突然アーミーに接吻、アーミーは優しく、ティモシーの盲目的な突撃をかわしますが、次第に折れてしまいます。
屋根裏で桃をかじっているティモシーの場面は映画史上でも最も忘れられないものになるでしょう。それはご覧になってのお楽しみ!
何よりも素晴らしいのは夏が終わって打ちひしがれているティモシーへの父親の知的な理解と助言です。この会話が単なる美しいひと夏のロマンスをぐんとレベルアップして、私たち自身の青春や初恋の思い出をヴィヴィッドに蘇らせてくれるのです。
題名は「君の名前で僕を呼んで」、つまりティモシーはアーミーを呼ぶ時、ティモシーと呼び、その反対をするといういじらしい恋のゲームを意味しています。
アーミーは1986年8月28日カリフォルニア州ロスアンジェルス生まれ、石油王のアーマンド・ハマー をひい祖父に持ちます。今や押しも押されぬ大スターとなって、公開を控えての映画が5本と当分の間アーミーの映画には事欠きません。