ル・マンにマックィーンが出場か!?
アメリカ映画界最大のスターと言われたスティーヴ・マックィーンが自ら主宰する製作会社ソーラー・プロダクション。このソーラー・プロをもって製作に臨んだ映画「栄光のル・マン」。マックィーンは、事実上、製作・脚本・監督・主演の四役をこなし生涯の夢を実現させた。
1970年6月13~14日、その年の“ル・マン”はプロ・レーサーでもないマックィーンがポルシェに乗って出場しようとして話題となったが、生命保険会社からの横槍か、ソーラー・プロの万が一の配慮か、結局はマックィーンのレース出場は果たせなかった。
パリから車で約3時間、“ル・マン”のレース場近くに、ソーラー・プロが撮影のために作ったソーラー・ビレッジ。写真は、撮影が難航するなか現場付近を行ったり来たりするマックィーン。マックィーンと言えば、映画「大脱走」をはじめ、プライベートでも大型バイクで疾走しているイメージが強いが、そのマックィーンがホンダのスーパーカブに乗っているとは、本田宗一郎さんもご存じだったのだろうか(笑)。
臨場感にこだわったマックィーンの思い
もともと製作予算700万ドルが900万ドルとなったと言われるこの映画、本当のレースの模様を約90台のカメラで撮影したと言う。さらに、マックィーンはその後のどんな撮影シーンにもすべて立ち会い、監督に細かく指示を出し続けたことが、当初予定の巨匠ジョン・スタージェスの交代に繋がったとも言われる。
前の車がスピンを起こして数回転、ガードレールにぶつかって止まるというシーン。パナビジョン・カメラを積んだポルシェが大胆に後を追う。前方の車が予定通りスピンを起こし急停止。カメラを積んだポルシェは急ブレーキも及ばず前の車に激突。ドライバーは軽いかすり傷で済んだもののカメラ車は故障。そういった撮影の一コマにもマックィーンの執念を感じる。しかし、これで撮影は、車が直るまでしばらく休み。写真からはマックィーンの心のうちは伺い知れないが、撮影が予定通り進まずイライラがつのる…、そんな、らしくない表情なのかもしれない。
実はこの写真、「なつかしのハリウッドスターカレンダー2018」の9~10月を飾っている。その他、映画「ローマの休日」(1953)の撮影中のオードリー・ヘプバーンとウィリアム・ワイラー監督(1~2月)、仲睦まじいポール・ニューマン夫妻(3~4月)、第14回カンヌ国際映画祭(1961)にて人気絶頂のアラン・ドロン(5~6月)、撮影の合間にサインに応じるアン・マーグレット(7~8月)、警察官らと仲良く腕組みするマリリン・モンロー(11~12月)など、なつかしのハリウッドスターたちがカレンダーで甦る。来年のカレンダーに“なつかしのハリウッドスター”はいかがだろうか?