LA在住の映画の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月1人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。

ブラッド・ピットとのキスシーンを嫌がっていた人気子役の頃

初めて会ったのは史上に残る名子役ぶりを注目された「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(94)の時。見事なまでにオマセでファンに騒がれ、羨ましがられた主役のブラッド・ピットとのキッスを『すごく嫌だったわー。男の人とのキッスなんか大嫌い!』と言ってのけて、流し目をしたりする技巧的な演技派であった。当時まだ12歳だったが既に芸能界では3歳からCMに出て活躍している、子役としてはベテランだったのである。
 

それから23年。その間約20回の会見を経て「ドリーム」ではNASAの事務局の所長的存在で黒人女性達を監視しつつ管理するという、映画の配役上では「嫌な女性」の役を嬉々として演じて、更なる演技力の幅を広げている35歳のキルステンにインタビュー。

画像: 「ドリーム」

「ドリーム」

『いつもとは変わった役だし、黒人達に嫌がらせをする白人女性の役なんて、今の時代、もの凄くポリティカリーに正しくないから敢えて挑戦してみたの。ケヴィン・コスナーはそれでも徐々に良い上司だと理解される儲け役だけれど、私の方は意地悪オバさんみたいでしょう。大好きな歌手のファレル・ウィリアムズが偶然出会った(この映画の主役で、タラジ・P・ヘンソンが演じた)キャサリン・ジョンソンの世にも稀な歴史の一面を映画化したいとスタートした企画なので、喜んで参加したのよ。何とも素晴らしい話で、感動のドラマでしょう。誰もが抱いているステレオタイプの黒人へのイメージをひっくり返し、ひいてはマイノリティーの少年少女達にインスピレーションを与えると信じたから。たまにはこういう、主要人物達のサポートに徹するひねくれた役も良いものよ。それに私なりにこの役のビジョンがあったし。あの時代では別に悪い女性でもなくて、ああいう行動や考え方は当たり前だったのよ』

うつ病を克服し、まもなく監督業にも進出と活躍の場を広げていく

テレビシリーズ「FARGO/ファーゴ」でも、自分の身を庇う事ばかり考える自己中心の人妻を熱演していたが何と、夫役を演じていた29歳のジェシー・プレモンズと親しくなって婚約までしてしまったというおまけがついた。そのせいか、キルステンは近頃見せなかった陽気でハッピーな表情を浮かべている。

思えばジェーク・ギレンホールと付き合っていた時には『ジェークの家族は食事中政治の議論ばかりしていて、私には目から鱗の新鮮で刺激的な経験だった』と言ったりしていたのを思い出す。その他ジョッシュ・ハートネット、トビー・マッガイア、ギャレット・ヘドランドなど若手俳優との交際リストはかなり長いのである。
 

画像: 筆者とキルステン

筆者とキルステン

ニューヨークに生まれ、ドイツ人の父親(その為に彼女はドイツとアメリカの2国籍を取得)とスウェーデン系の母を持ち、小さい時から愛くるしい可愛さに溢れていたキルステンは母親の希望で子役となり、より良いチャンスを得るためロスアンジェルスに母子で移り、成長の場はほとんど撮影現場だったと言う。注目されスピード出世でスターとなり、ひっきりなしに仕事が続き、08年リハビリが必要と入院し、鬱病と診断され2年間のブレークを取ったのが26歳、復帰してすぐ鬱病が主題の「メランコリア」に主演して世間をびっくりさせたりもした。

『今は凄く平和で安定しているから婚約という一身上の一大事も決心出来たの。まもなくやりたかった監督業にも挑戦するのよ。詩人のシルヴィア・プラット原作の「ザ・ベル・ジャー」というタイトルでダコタ・ファニングを主演に選んだの。これで私の才能がどこまで試されるか、あまり自信は無いけれど、ベストを尽くすのみ』と毅然とした表情で話していた。

ちなみにグィネス・パルトローが「シルヴィア」(03)でプラットを演じている。ニコール・キッドマンと共演した17年の「ザ・ビガイルド」での傑出した演技力も高く評価され、キルステンは待望のマルチタレント・プレイヤーとして前進中だ。

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