映画ファンにとって見逃せないこの特集。様々な角度からアカデミー賞を楽しめるように、趣向を凝らした作品ラインナップとなっている。それらをご紹介していこう。
男優賞・女優賞受賞作で名演技とは何かを知る
まずは名優たちの世界トップレベルの演技を満喫できる【男優賞・女優賞】受賞作品。
主演男優賞を受賞したものでは、ジェフリー・ラッシュが実在天才ピアニストを演じた「シャイン」(2月5日放送)、フランス男優ジャン・デュジャルダンが無声映画のスターを演じた「アーティスト」(2月6日)、いま大人気の英国男優コリン・ファースの代表作「英国王のスピーチ」(2月7日)、史上最年少の主演男優賞受賞者エイドリアン・ブロディーの「戦場のピアニスト」(2月19日)などがズラリ!
また主演女優賞部門では、軍人の奔放な妻を体当たり演技で見せるジェシカ・ラングの「ブルー・スカイ」(2月13日)、ジュリア・ロバーツが演技派ぶりを証明した「エリン・ブロコビッチ」(2月16日)、オードリー・ヘプバーンが某国王女の一日の冒険を演じる名作「ローマの休日」(2月28日)など、助演女優賞部門もウーピー・ゴールドバーグが偽霊媒師で笑わせた「ゴースト/ニューヨークの幻」(2月14日)など、女優たちの名演をじっくり味わいたい。
編集、衣装、主題歌──映画を支える匠の技を知る
こうしたメイン部門ではないが、シネフィル(映画通)ならではの、オスカーの注目点もある。衣装デザイン、編集、歌曲(主題歌)賞といった主要部門とひと味違う視点で贈る【アカデミー賞のひそかな愉しみ】特集も堪能したい。
まず編集賞部門。映画は編集の仕方一つでまるで違う印象になるという。受賞作「オール・ザット・ジャズ」(2月5日)の中には、それを示すようなシーンが描かれている。何度も編集を直していくうちに、映画に魂が吹き込まれていくのだ。他にも「スラムドッグ$ミリオネア」(2月6日)、「クラッシュ」(2月8日)など作品賞受賞作と編集賞には大きな関わるがあるというから、一度見た人も再見をおススメ。
衣装デザイン賞は、時に俳優を輝かせ、時に映画に真実味を与える名作になくてはならないパートを讃える賞。イングリッド・バーグマンが女性戦士に扮する「ジャンヌ・ダーク」(2月12日)、オードリー・ヘプバーンが花売り娘から貴婦人に変身する「マイ・フェア・レディ」(2月14日)、日本人デザイナー石岡瑛子の受賞作「ドラキュラ」(2月15日)など、モード史に残る名画をチェックしよう。
映画の感動を増す主題歌に視点を置いた歌曲賞は、目にも耳にもうれしい名画がいっぱい。オードリー・ヘプバーンの歌う“ムーン・リバー”がいまも耳に残る「ティファニーで朝食を」(2月19日)や、誰もが知っている「フラッシュダンス」(2月21日)「トップガン」(2月22日)の主題歌は、心が踊りだすはず。
視点を変えてアカデミー賞の裏面史を知る
受賞の一方、なかなかオスカー像をもらえず涙を呑んだ映画人にも祝福を。【アカデミー賞に嫌われた男たち】という面白い視点の特集も映画通にはたまらない。
名匠と言われながら、生涯監督賞を受賞できず、特別賞のみ贈られたのがサスペンスの神様アルフレッド・ヒッチコック。彼の傑作の中から「泥棒成金」(2月26日)が紹介される。またコメディー映画といえばこの人、のチャールズ・チャップリン。“赤狩り”によって長くハリウッドから追放されていた彼は、年老いてから特別賞を受賞。出席者全員のスタンディングオベーションを受けた。そんなチャーリーの映画史に残る「モダン・タイムス」(2月27日)ほかをもう一度見直したい。フランスなど欧州では名監督とされながら、本国アメリカでは職人監督扱いだったハワード・ホークス監督もオスカーと無縁の一人。その力量を確認できる「ヒズ・ガール・フライデー」(2月28日)などでぜひ隠れた名匠の再発見を。
そして一昨年、悲願のオスカー主演賞を受賞するまで何度も幸運の女神からふられ続けたレオナルド・ディカプリオ。現代最高のハリウッド・アクターの一人であるその実力を「タイタニック」(3月放送)ほかの主演作品で確かめてみては?
シネフィルWOWOWでは、ここに挙げた一例にとどまらないオスカー関連の名画40本を2月5日(月)から3月4日(日)まで一挙放送。授賞式直前にはメインとなる作品賞受賞作特集も予定されている。
これらをチェックしておけば、今度のアカデミー賞授賞式の楽しみ方もグンと変わってくるはずだ!