杉山すぴ豊・SUGIYAMA SUPI YUTAKA
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
「アベンジャーズ4」のあとMCUはどんな展開を見せるのか?
いよいよ「ブラックパンサー」公開です。女性ヒーロー映画「ワンダーウーマン」の公開された去年はセクハラがハリウッドで大問題になった年でした。そして今年は人種差別がまた大きな問題になっています。そうした中で黒人ヒーロー映画がどう受け入れられるのか?そういう意味でも注目です。
そして「ブラックパンサー」の後は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」なわけですが、ファンの関心は早くもその次の「アベンジャーズ4」(2019年公開)、さらにそれ以降の作品にも及んでいます。
というのも、「アベンジャーズ4」で2008年の「アイアンマン」から始まるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)はいったん終わるとされています。ということは多くのヒーローたちが死ぬ?という可能性があるわけです。
ところがジェームズ・ガン監督は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の3作目が2020年公開と発表。また「スパイダーマン:ホームカミング」の続編はそもそも2019年7月5日に公開が決まっています。さらにマーベルはブラック・ウィドウのソロ映画を企画中で、女性脚本家ジャック・シェーファー(「アナと雪の女王/家族の思い出」)を雇ったそうです。スカヨハを入れてミーティングするらしい。またクリス・ヘムズワースも「アベンジャーズ4」でいったんソー役は卒業と認めながらも、機会があればソー映画の4弾目に出てみたいと発言しています。
ということは、少なくともガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、スパイダーマン、ブラック・ウィドウ、マイティ・ソーは「アベンジャーズ4」後も“生き残る” ?
ただブラック・ウィドウについては彼女の若き日を描くみたいな展開もありうるし、MCUにドクター・ストレンジが登場して時間を戻したり、またマルチバースと呼ばれる並行宇宙みたいなものがあることも確認されています。さらに「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で魔人サノスが持つインフィニティ・ストーンの中には現実を変える力を持つ石があるし、そもそも原作コミックでは、エリザベス・オルセン演じるワンダも現実改変能力を発揮します。従って“別の現実”を作り出すことが可能なのです。 こうした設定を「あり」にすれば、仮に「アベンジャーズ4」で“死んでしまったヒーロー”がいたとしても、別の世界や時系列で生きている、という形でお話を作ることも出来るわけです。「アベンジャーズ4」の後がどうなるか楽しみです。
DCの方にも複雑なウワサが飛び交ってる
一方DCですが、正式に「シャザム!」の公開が2019年4月5日に決まりました。また「スーサイド・スクワッド2」の撮影もいよいよ開始されます。フラッシュの映画「フラッシュポイント」もジョナサン・ゴールドスタインとジョン・フランシス・デーリーの2人組が監督することになりました。この2人はクリス・ヘムズワースも出演していた「お!バカんす家族」の脚本・監督で、また「スパイダーマン:ホームカミング」の脚本も担当しています。
このDC映画周りにも面白い、というか複雑な噂があって、バットマン役から降板話が出ていたベン・アフレックは「スーサイド・スクワッド2」「フラッシュポイント」には出演します。ただしマット・リーヴズ監督が進めているバットマンのソロ映画「ザ・バットマン」(仮)ではジェーク・ギレンホールがバットマンを演じると(笑)。
もしこれらの噂が本当だとすると、「ジャスティス・リーグ」系の世界観とマット・リーヴズ監督の「ザ・バットマン」は別の世界観ということになります。いくらなんでも滅茶苦茶という気もするのですが、例えばハリウッド版「ゴジラ」と「シン・ゴジラ」とアニメ「GODZILLA 怪獣惑星」がほぼ連続して公開され、どれも同じゴジラ映画なのに、これらの作品はまったく連動してません。バットマンも似たようなもので、ひとつのキャラクターを様々な切り口で楽しめる、と割り切った方がいいのかもしれませんね。