LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は「デトロイト」で注目のウィル・ポールター!

成田陽子(なりた・ようこ)
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて37 年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

「デトロイト」で差別主義の若い警官を熱演し高い評価を受けた子役出身のウィル

「デトロイト」で白人優勢主義の警官を熱演したウィル・ポールターは、映画の高いクオリティー、出演者達全員の熱演、主役と言っても良いウィルのパワフルな存在感、などの賞賛の声をちょっぴり混乱した表情とやや躊躇気味の態度で受け止めていた。

『何と言ったって黒人差別主義に燃えたぎっている警官だろう。スーパーヒーローやSF映画の悪漢役とは違って、事実に基づいた男だから責任重大だし、だからって悪い性格だけ前面に出したら単純で馬鹿な男に見えてしまう。僕はそれがいくら間違っていようとも自分の信念に忠実で、謝ったりする気持ちはこれっぽっちも無い、1967年の白人至上主義を貫き、激動の中に生きたサバイバーとして役作りをした。
警官という権力を過信して自分の行動を公共の人々を守る義務として捉え、これこそ正義だと信じ込んでいる。精神的に非常に居心地の悪い役だったが、当時のプロパガンダを見るとスクリーンの上より10倍以上遥かに残酷で、醜くて、汚い言葉が充満する光景だったのだから、何よりもこの男の環境を理解しながら演じる事にした。』

画像: 「デトロイト」

「デトロイト」

『監督のキャスリン(ビゲロー)は真実に忠実で、情熱的でいながら、もの凄く落ち着いた仕事ぶりにはクルーも僕らも非常に助かった。かなり緊迫した現場だったが彼女はできる限り僕らに自然でリアルな演技ができる様に完璧な努力を施してくれて、僕が精神的に参って来ると直ぐに察知して緊張をほどいてくれてね。
「メイズ・ランナー」(2015)で共演したジェーコブ・ラティモアと親しくなって、厳しい場面になると僕を色々庇ってくれて、彼に銃を突きつける場面などでは、何度か僕は激情が破裂して泣き出したりしてしまった。そういう時も被害者の筈のジェーコブの方が僕を懸命に励ましてくれたんだ。何しろハードな役だった。週末になると撮影が終わってから彼と飲むビールの味は最高だったね』

まだ役から受けたしこりがこびりついている様にウィルは体を揺すって、しかめ面で話してくれた。もう24歳だがボーイッシュというか、悪戯大将のルックスのせいか、まだまだティーンエイジャーの様にも見える。

画像: 筆者とポールター

筆者とポールター

実は「IT/イット…」の凶悪ピエロ役も演じるはずだったのだが…

「リトル・ランボーズ」(2008)で初めてウィルの〝わんぱくデニス〞の様な顔に引かれ、「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」(2010)では、憎まれっ子の甥を演じて注目され、この時の会見は風邪で欠席し、初対面は「メイズ・ランナー」の時だった。

同年の「レヴェナント:蘇えりし者」でレオナルド・ディカプリオと共演した時にもインタビューしたのだが、この映画で5歳ぐらい歳を取ってしまったほどに大人に成長していたのに仰天。英国はロンドンに医学教授の父親と元看護婦の母親のもとに生まれて、パブリック・スクール(英国の私立)のハロディアンに入学と、かなり裕福な家庭に育ち、演劇教師に勧められてオーディションを受けて「リトル・ランボーズ」の役を得たそう。

ルックスは乱暴少年のようだが、育ちの良さが伺えるマナーの良さとインテリジェンスに溢れた言葉遣いがウィルの奇妙なアピールになっている。「デトロイト」で会った時はぐんとのっぽになって私を見かけるとわざわざ遠くの方から近づいて来て「グッド・ミーティング・ユー・アゲイン!」とハグをしてくれるという、おばあさんに優しいアプローチを見せるジェントルマンでもあった。

実はホラー映画「IT/イット 〝それ〞が見えたら、終わり。」の道化師ペニーワイズを演じる筈だったのが「デトロイト」の日程と重なってしまい、ビル・スカーシュゴードが代役となったという。こういう配役の変更を見る度にもしウィルが演じていたらどうだったろうか、と想像を巡らしてしまう。

次はドーナル・グリーソン、ルース・ウィルソン、シャーロット・ランプリングといった曲者俳優達と「ザ・リトル・ストレンジャー」で共演。面白い映画になりそう!

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