ウエストワールドって?
1973年のマイケル・クライトン監督の映画『ウエストワールド』を現代的にアップデートし、ドラマ化した米有料ケーブル局HBOの大作シリーズ『ウエストワールド』。ハリウッドきってのヒットメイカー、J・J・エーブラムズと『ダークナイト』シリーズ等の脚本家ジョナサン・ノーランが、『パーソン・オブ・インタレスト』に続きタッグを組み、人工知能の進化と目覚め、人類の根源に迫る深いテーマを掘り下げていく。アンソニー・ホプキンズら豪華キャスト、総製作費60億円を投じた壮大なスケールで描かれる西部開拓時代の世界、複雑に絡み合い巧妙に練り込まれたストーリー、その全てが完璧に映画を凌駕する必見のテレビ・シリーズだ。
科学技術の粋を凝らしたウエストワールドとは…
西部開拓時代をリアルに再現した体験型テーマパーク「ウエストワールド」。ここを訪れたゲストたちは、現実世界でのルールから解放され、殺人という欲望ですら自由に追求出来るという“人類の楽園”だった。
来場者を楽しませるため高度なプログラミングをされたアンドロイド、“ホスト”が人間たちの欲望を叶えていたが、ある時、何人かのホストがシナリオから外れた異常行動を取り始めた事から、完璧な世界に綻びが生まれる。農場娘役のホスト、ドロレスは奇妙な夢を見始め、自分の人生に疑問を持ち始める。一方、パークの創設者である天才科学者フォード博士とプログラムの責任者であるバーナードは、ホストの異常行動を調べ始めるが……。
「ウエストワールド」のここに注目!
POINT1: 現実世界の延長線上にあるリアルなSFと西部劇というレトロの融合
今や現実世界でも無くてはならないものになりつつあるAI技術。それゆえにAIの発展の結果がリアルに感じられる本作。パーク内で完璧に作り込まれた西部劇の世界もレトロでありながらまたリアルだ。現実であるはずのパークの舞台裏は抑制が効いた無機質な質感であるのに対し、虚構であるはずの西部開拓時代の世界は生と死が生々しく描写されるなど、先端性とレトロ感の融合と対比が実に鮮やかでドラマを一層面白くしている。
POINT2: 人工知能の進化による人類のひとつの未来を予感させる深いテーマ性
現実世界でもその進化については警鐘を鳴らす科学者がいる人工知能。『パーソン・オブ・インタレスト』でも同じように現実世界に根ざしたSFを構築して見る者を唸らせたジョナサン・ノーランとJ・J・エーブラムズのタッグは、本作でよりそのテーマを掘り下げ、AIの進化についてはもちろん、人間とは何かという根源的な疑問にも迫っていく。この人類のひとつの未来を予感させる深いテーマ性こそが本作の大きな魅力なのだ。
POINT3: 完璧に練り込まれたミステリーの妙
アンドロイドの自我の目覚めから端を発する哲学的なテーマを全面に押し出しつつ、しっかりとエンターテイメントでもある本作。巧妙な伏線が張り巡らされ、最後まで見たらもう一度見返したくなるほど謎が幾つもの層になって折り重なっている。淡々とした描写に思わず惑わされてしまうが、実は最初から気を抜けないほど、綿密に構築されているストーリーテリングの妙は、まさに大人のためのエンターテイメントだと言えるだろう。
POINT4: 豪華すぎる俳優陣の競演
近年、映画界の才能が続々とテレビ界に流れているが、本作はまさにその決定版と言える。ドラマ・シリーズ初主演となる大御所アンソニー・ホプキンズを筆頭に、圧倒的な存在感を見せるエド・ハリスやエヴァン・レイチェル・ウッド、ジェームズ・マースデン、ジェフリー・ライト、タンディ・ニュートンといった実力派が集結。映画でも滅多にお目にかかれない豪華キャスト陣が、その実力に相応しい見事なアンサンブルを見せている。