シーズン3ではなんと、リッチフィールド女子刑務所が閉鎖の危機に陥ります。運営が大きく変わりコスト削減が徹底されて、受刑者たちはもとより看守たちも大騒ぎ。これまでと全く違った環境下でさまざまな問題を巡って新たな騒動が。環境の変化を余儀なくされたリッチ フィールド女子刑務所では受刑者が増える一方で混乱は続きます。
シーズン4ではいつしか人種間の争いにまで発展し受刑者と看守 との激しい暴動が勃発。そして誰も予想出来なかった最悪な結末を迎えてしまいます。
この度、DVDリリースに合わせ、映画&海外ドラマライター幕田千宏さんが、先のアカデミー賞®でも見られたガールズ・パワーが広がる ハリウッドの情勢も交え、なぜ本作が全世界でヒットしているのか解説して下さいました!
閉鎖的な女ばかりの世界で何が起こるか?
昨年巻き起こった「#MeToo」ムーブメントによって、女性を取り巻く環境にも大きな変化の兆しが見えているが、こうした傾向は エンターテイメント業界での作品製作にも既に予兆が見えていた。昨年賞レースを賑わせた『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママた ちの憂うつ~』はリース・ウィザースプーンとニコール・キッドマンが、一定年齢を過ぎると途端に役に乏しくなる女優たちの現状を 憂慮し、「自らが出演したいと思える作品を」と製作。先ごろ日本でも配信が開始された『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』では、 妊娠可能な女性が激減した世界で、その過酷な世界を生き抜くヒロインを演じたエリザベス・モスが、その演技だけでなく、現代の フェミニズムの象徴としても注目を集めた。タイプこそ違えど、いずれも女性のタフさ、強かさを描き、女性の視点を大事にしている ドラマだ。この傾向は今年のアカデミー賞作品も同様で、作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』や『スリー・ビルボード』も やはり、女性主人公が強く印象に残る作品になっている。
ドラマ界では女性クリエイターの作品も増え、着実に評価されつつあるが、こうした女性パワーを描く流れの中で2013年スタートと いち早くガールズ・パワーを描いたドラマが『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』だ。もちろんそれまでにも『SEX AND THE CITY』や 『GIRLS/ガールズ』など、女性の本音を描いた作品はあったが、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』が新鮮なのは、女子刑務所と いう環境ゆえに男性の存在が自然と減り、そのガールズ・パワーがより強くアピールされている点だ。実話をベースに製作された本作 は、女子刑務所での実態が赤裸々に描かれている。それでいて、刑務所という環境から想像する閉塞感が少なく、どこか突き 抜けた明るさを持っているのがこのドラマの魅力になっている。
キャラクターに対する共感性の高いドラマ
その肝となっているのが本作のヒロイン、パイパーだ。お嬢様育ちであるパイパーが 若気の至りで犯した10年前の麻薬取引の罪で投獄されたところからドラマは 始まる。閉鎖的な女だらけの世界を描くとなると、そこには泥沼の人間模様がある のが定番。このドラマにもボス争いや人種間抗争など刑務所内の過酷な現実が 登場するが、刑務所という世界において、パイパーは完全に世間知らずのお嬢様。 刑務所内での作法を知らないから、入所早々ボスに目をつけられるハメになる。 以来、何かとトラブルに見舞われるハードな状況だが、お嬢様育ちゆえの図太さがあり、痛い目に遭ってもどこか能天気な空気をまとっている。ヒロインがどっぷりとワルの世界に浸っていないからこそ、彼女のカル チャーショックに共感し、共に驚きつつも、本人なりに必死に刑務所生活をサバイブしていくヒロインにじわじわと可笑しみと愛嬌を 感じてしまうのだ。そんなお嬢様ヒロインがシーズンを重ねていくにつれ、持ち前の図太さだけでなく、いかに強さを身に着けて刑務 所生活をサバイブしていくのか、その変化にも注目だ。
そんなヒロインだけでなく、ほかのキャラクターたちに対する共感性も高いというのも 本作の大きな魅力だ。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は個性豊かな囚人たちが 数多く登場するアンサンブルドラマ。それぞれの過去がフラッシュバックで明らかとな ることで、罪を犯す前の彼女たちの人生に思いを馳せることができるのも共感性の 高さに繋がっているが、実は刑務所ライフの意外性というのも、彼女たちの個性を より鮮やかにしているポイントだ。徹底的に管理されているというイメージの日本の刑務所と違い、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に登場する女子刑務所は、意外に自由も多くて受刑者同士の交流も多い。刑務所サロンを開いている受刑者もいるし、カフェテリアなどは学園ドラマの延長線上 のようだ。受刑者同士のロマンスのみならず、教師と生徒のロマンスのような刑務官と受刑者の恋があったり、お茶を飲みながら噂話をしていたりと、そこから垣間見えるのは、刑務所ライフというよりむしろ全寮制の女子校生活。シビアな刑務所ライフと女子校的な日常が絶妙にミックスされているからこそ、キャラクターにより親近感が湧き、そのユニークな人間模様に魅了されるのだ。
時にシビアに、時にコミカルに、彼女たちは刑務所生活を生き抜いている。その力強いアンサンブルが、見る者にも自然とパワーを 与えていくのが『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の面白さ。バイオレンスが皆無とは言わないが、ちょっとブラックなユーモアが基本の 本作は、刑務所ものは苦手という人にもぜひトライしてほしい、ガールズ・パワー炸裂のドラマだ。(文/幕田千宏)
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」シーズン3&4
5月2日DVD発売&レンタル開始
DVDコンプリートBOX【初回生産限定】各9,333円+税 ※同時DVDレンタル開始
発売元・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
シーズン3©2015 Lions Gate Television Inc.Artwork & Supplementary Materials (TM) & ©2016 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Orange Is the New Black is a trademark of Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
シーズン4©2015-2016 Lions Gate Television Inc. Artwork & Supplementary Materials (TM) & ©2017 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.Orange Is the New Black is a trademark of Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.