演者とスタッフ、ともに実力派が勢揃い
17歳の純真な少年がその夏出会ったのは、24歳のハンサムな大学院生。二人はすぐに恋に落ちて……エジプト出身の作家アドレ・アシマンが著した、80年代の北イタリアを舞台にした、一人の少年の生涯忘れることのない初恋の物語を、「ミラノ、愛に生きる」のルカ・グァダニーノ監督が瑞々しく描き、先日のアカデミー賞でも作品賞など四部門で候補になり、脚色賞(ジェームズ・アイヴォリー)を受賞した。
出演は本作でアカデミー賞主演男優賞候補となった新星ティモシー・シャラメはじめ、「ローン・レンジャー」のアーミー・ハマー、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・スタールバーグ、「サンローラン」のアミラ・カサールらが共演。アカデミー賞歌曲賞候補になった〝ミステリー・オブ・ラブ〞を人気シンガー・ソングライターのスフィアン・スティーヴンズが書き下ろしている。撮影はタイのサヨムプー・ムックディプロームが担当。
17歳の少年がその夏出会ったのは永遠に忘れられない男性だった……
エリオ
(ティモシー・シャラメ)
自然に恵まれた環境と高い教育を受けて育った17歳。オリヴァーとの出会いで胸の高鳴りを覚える。
オリヴァー
(アーミー・ハマー)
パールマン教授の研究を手伝う24歳の大学院生。教授の息子であるエリオと思わぬ恋に落ちていく。
パールマン教授
(マイケル・スタールバーグ)
エリオの思慮深い父親。ギリシア=ローマの美術史を専門とし、アメリカで教鞭を取る大学教授。
アネラ
(アミラ・カサール)
エリオの母。翻訳家で、エリオに16世紀の騎士と王女の恋を描くフランス小説を読んで聞かせてくれる。
1983年の北イタリア。17歳のエリオ(シャラメ)は、夏になると両親と訪れるヴィラに、その年もやってきた。大学教授の父パールマン(スタールバーグ)、翻訳家の母(アミラ)との生活はアカデミックだが、多感なエリオは近所の友人たちとふざけ合ったりもする青春真っ盛りだ。
そんなエリオの一家の元に、父の研究を手伝う博士課程のインターン、オリヴァー(ハマー)が招かれ滞在することに。オリヴァーはエリオの部屋を使うことになり、家を案内するエリオは、知的で自信にあふれているオリヴァーに惹かれるものを感じる。なぜか二人はお互いを意識し合い、磁石のように時に惹きつけたり、時に反発したりする。
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そんなある日、二人で自転車で遠出をした時、エリオはオリヴァーへのずっと秘めていた思いを告白する。オリヴァーもまた同じ思いをエリオに抱いていた。眩しい日差しの中、エリオとオリヴァーは激しい恋に落ちていくが……
ここに注目!
ロケ地は監督の住んでいる街
撮影が行なわれたのは、グァダニーノ監督が住むイタリア、ロンバルディア州のクレマという街(原作ではリベリア地方のリグリア)の近辺。パールマン家のヴィラの撮影はクレマからほど近いマスカッツァーノにある誰も住んでいない家で行なわれたという。エリオとオリヴァーの小さな“プール”はその地域の共同牧畜用の水桶を美術スタッフが作りなおしたものだという。
ラスト3分半の感動ショット
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原作とは異なるラストシーンは3分半に及ぶ長回し撮影。ここでシャラメが見せる演技に誰もが感動するだろう。脚本ではエリオがクリスマスツリーの飾りつけをしているだけのト書きだった。
『あのテイクは別のやり方で3回撮った。ルカの指示でやったテイクに満足しているよ。あの瞬間にエリオが感じるすべてがあって、僕にも一番真実味があると思えた』とシャラメは明かしている。
「君の名前で僕を呼んで」
2018年4月27日公開
原題『君の名前で僕を呼んで』2017年度作品。2時間12分。伊=仏=ブラジル=米映画。ファントム・フィルム配給