コンペティション部門で審査員団を率いるケート・ブランシェットに象徴されるように、今年のカンヌはリバース(再誕生)と共にウイメンズパワー爆発の年のようだ。

82人の女性陣がレッドカーペットを占拠?

コンペティション部門で審査員団を率いるケート・ブランシェットに象徴されるように、今年のカンヌはリバース(再誕生)と共にウイメンズパワー爆発の年のようだ。

すでにネットニュースなどでご存じと思うが、映画祭5日目の5月12日、メインのグランルミエール会場である映画が正式上映される前に、レッドカーペットを82名の女性フィルムメーカーたちが占領し、静かな、それでいて華やかなデモンストレーションが催された。先頭に立つのは、やはりケート。隣には「幸福」のベテラン監督アニエス・ヴァルダ。クリステン・スチュアート、レア・セドゥーら女性審査員もいる。さらにマリオン・コティヤール、サルマ・ハーイエク、懐かしのクラウディア・カルディナーレ、それに「ワンダーウーマン」のパティー・ジェンキンズ監督らの顔が並ぶ。そしてケートが映画業界の男女平等を英語で訴えた。次いでバルダ監督がフランス語でも。
 

第1回からこれまで、映画祭でレッドカーペットを歩いた女性監督は、男性監督の1688名に対してわずか82名なのである。この事実に対して、世界中の女性フィルムメーカーたちがここカンヌで立ち上がったのである。素晴らしい光景だった。

注目の一作「ガールズ・オブ・ザ・サン」

そしてその直後にレッドカーペットを歩いたのが、「ガールズ・オブ・ザ・サン」のフランスのエヴァ・ユッセン監督と、ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコら出演者たちである。この作品は、ISと戦うクルド人女性兵士たちを描いたスリリングな戦闘ドラマで、夫や息子など家族を失い、自らもレイプされながらも戦い続けて女性たちを、彼女らの視点に立ってとらえられた力作なのだ。ニュースなどでISの悪しき行状は知らされていたが、映像で見せられると胸に鋭く突き刺さり、強烈に痛む。それらをはねのけ、ひたすら幼い息子を救い出そうとするヒロインを演じるゴルシフテ・ファラハニが素晴らしい。エマニュエル・ベルコは彼女らに同行し、カメラに収めるフランス人ジャーナリストに扮して、女性兵士たちの心情に迫る。実話を基にしたドラマで、彼女たちの勇気ある行動にただ脱帽のみ。

翌日の記者会見にはエヴァ・ユッセン監督、ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコらが出席し、クルド人たちの現状を強く訴えた。さらにクルド人記者らしき女性も質問はそこそこに苦境を延々と訴えていた。

映画は、観客をすぐに戦場に引き入れ、恐怖とスリル満点の現場に立たせ、終始ハラハラドキドキ。しかも女性たちの背景にあるそれぞれの人生ドラマも描かれ、戦争ドラマというよりもしっかりとした女性ドラマになっていて、多くの女性たちを共感させるに違いない。今回の映画祭全体を覆うムードを考慮すると、「ガールズ・オブ・ザ・サン」は今のところパルムドール受賞最有力とみた。これを外さないでほしい。日本でも公開の可能性があるという。

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