アメコミライターとして活躍する杉山すぴ豊さんの連載コラムです。アメコミ関連の映画について、縦横無尽に楽しい知識、お得な情報などをみなさんにお届け。今月はついに公開された「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のネタバレバリバリのレビューをお届けします。

杉山すぴ豊(SUGIYAMA SUPI YUTAKA)
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

「インフィニティ・ウォー」は期待を上回る傑作!

今回は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のネタバレを含むレビューです。絶対に「インフィニティ・ウォー」鑑賞後に読んでください、という注意書きが必要なくらい「インフィニティ・ウォー」は衝撃的な作品(笑)。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)10周年の区切りに相応しい超大作で、個人的には「スーパーマン」(78)を劇場で観た時以来の大興奮でした。

本作は来年公開の「アベンジャーズ4(仮題)」につながる作品で、そういう意味で話が途中で終わっている=前編的でありますが、僕はこれはこれで1つの映画として完結していると思っています。

というのも本作の主役はサノスであり、サノスがその望みを達成できるかどうかの映画です。だからこの映画のクライマックスは、サノスの笑みで終わるのです。MCU初の、ヴィランが勝つ、という映画だったと思えば納得がいくでしょう。そもそも「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」もヒーローたちが分裂した状態で終わりますからね(笑)。

サノス=主役という狙いがハッキリしているのは最後にTHANOS WILL RETURN(サノスは帰ってくる)との字幕が出る事。この字幕は今までも出てきましたが、いずれも言及されるのはヒーローたちでした。初めてヴィランの名がここで出てきます。ルッソ兄弟(本作の監督)にとって、サノスは“ヴィラン”ではなく“ヒーロー”なのです。

サノスのなしとげたことは、確かに大殺戮ですが、彼なりに宇宙や銀河の幸せを願ってのこと。人類を守るために結果恐ろしいウルトロンを作ってしまうアイアンマンや秩序を守る為に犯罪者を先制攻撃で倒してしまえというニック・フューリー、個人的な友情を優先しアベンジャーズを解散させ世界を混乱させるキャプテン・アメリカ、自国さえ幸せならそれでいいという先代のブラックパンサーとなにが違うというのか。

画像: アイアンマンとドクター・ストレンジの毒舌合戦も楽しい

アイアンマンとドクター・ストレンジの毒舌合戦も楽しい

サノス役のブローリンは今年のアメコミ映画のMVP!

サノスの部下マウは本当に嫌な奴で、あいつが映画小僧のスパイダーマンの作戦で退治された時は胸がすっとしたけれど(笑)、サノス自体を憎らしく思うことはない。それくらいルッソ兄弟は、サノスを共感できる人物として描いていました。なおサノス役のジョシュ・ブローリンは「デッドプール2」のキーキャラであるケーブル役で登場。早くも2018年のアメコミ映画界のMVPです! しかしルッソ兄弟は本当に恐るべし!

ファンの“読み”なんて軽くとびこえ、そして期待をはるかに上回る傑作に。このクライシスでブラックパンサー、ストレンジ等の新参系が消えて “初期アベンジャーズ”が生き残るという驚愕の展開!

ソウル・ストーンとガモーラ(なおソウル・ストーンはHかSにちなんだ場所にあると噂されていましたが、ガモーラの魂=ソウル:SOULでありサノスのハート:HEARTですね)のことも、こちらが予想していたことをことごとくぶち壊してくれました(笑)。

今までのMCUの魅力の1つだったヒーロー同士の会話もさらに楽しい。アイアンマンとドクター・ストレンジの毒舌合戦なんて2大シャーロック・ホームズ俳優のかけあいですからね。そしてヒーローたちの見せ方がとにかくかっこいい。あのアベンジャーズのテーマ曲にのって、キャプテン・アメリカらが姿を現すシーンは鳥肌もの。またドクター・ストレンジの分身の術など、僕らが観たいヒーローの見せ場をちゃんと見せてくれます。

細かいところで僕がすごい!と思ったのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」2作の中で、ロケットが誰かの義眼に固執するというギャグがマイティ・ソーの目になる!というまさかの展開と、ピーター・ディンクレージを“巨人”役で起用したこと!

さらにあそこでレッド・スカルを出すとは!

最後にトリビアを。恒例のおまけシーンで久しぶりにニック・フューリー登場。そしてあるシグナルを送るわけですが、誰に送信したのか?あの送信画面にうつったのはキャプテン・マーベルのマーク!そうブリー・ラーソンが演じる女性ヒーローです!

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