『ファンタスティックMr.FOX』でストップモーション・アニメの新次元を切り開き、日本でも大ヒットを記録した『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー賞®9部門にノミネートされたウェス・アンダーソン監督。「黒澤明と宮崎駿、二人の巨匠から強いインスピレーションを受けて作った」とウェス監督が語る近未来の日本を舞台にした映画『犬ヶ島』は、6年の歳月をかけて一つ一つ精巧に作られたというパペットやセットも楽しいユニークで愛くるしい犬達と少年の心躍る冒険物語となっている。今作で主人公の少年・アタリ役を演じたコーユー・ランキンと犬のデューク役を演じたジェフ・ゴールドブラムがプロモーションのために来日し、SCREEN ONLINEのインタビューに応じてくれた。

【ストーリー】
近未来の日本。犬インフルエンザが大流行するメガ崎市では、人間への感染を恐れた小林市長(声/野村訓市)が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放する。ある時、12歳の少年アタリ(声/コーユー・ランキン)がたった一人で小型飛行機に乗り込み、その島に降り立った。愛犬で親友のスポッツ(声/リーヴ・シュレイバー)を救うためにやって来た、市長の養子で孤児のアタリだ。島で出会った勇敢で心優しい5匹の犬たちを新たな相棒とし、スポッツの探索を始めたアタリは、メガ崎の未来を左右する大人たちの陰謀へと近づいていく──。

画像1: ウェス・アンダーソン監督の新作『犬ヶ島』
ジェフ・ゴールドブラム×コーユー・ランキン来日インタビュー

ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」
コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーー日本を舞台にした作品ということもあり、日本の映画ファンもとても楽しみに公開を待っていました。今作の世界観や物語を最初に知ったときはどんな心境でしたか?
ジェフ・ゴールドブラム(以下、ジェフ)「僕はウェス監督の『ライフ・アクアティック』と『グランド・ブダペスト・ホテル』に出演していますけど、彼と仕事をすると今まで色んな作品からインスピレーションを受けていることがわかりますし、常に人々の暮らしや人生に興味を持っているので、そういった姿から学ぶべきことが沢山あるんです。だから今作で日本を舞台にしたことにはあまり驚きませんでした。何故ならウェス監督は美しいものを作り、そして良いものを世界中に提供したいという広い心が日本の精神そのものと繋がっていると感じたからです。それに僕も日本が大好きで何度か訪れていますし、一番好きな食事が日本食で日本の人々も大好きなので、この作品に参加することができてとても嬉しかったです」
コーユー・ランキン(以下、コーユー)「僕は8歳の時、3年前にニューヨークで今作のオーディションを受けたんですけど、その時は内容を全く知らないままアタリの台詞だけを読み始めて、その台詞を5時間ほどレコーディングしたんです。それから1年後にアタリ役が僕に決まったというメールが届いて驚きました(笑)」
ジェフ「ウェスから? どんなメールが送られてきたの?」
コーユー「監督からではなかったんですけど、制作プロダクションから“アタリは君に決まったよ”とメールが来て。てっきり落ちたと思いこんでいたので“え?!”とただただ驚いて(笑)。あとアタリ役に決まった時に初めて主人公だということを知ったので“え! アタリが主人公なの? 本当に?”と、更に驚きました(笑)。監督が以前ストップモーション・アニメ作品として撮った『ファンタスティックMr.FOX』を観ていたので、どんな作品になるのか凄くワクワクしたのを覚えています」

画像1: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーーお二人はウェス監督からどんな演出を受けましたか?
コーユー「3年前にニューヨークで初めてウェス監督に会ったんですけど、緊張していた僕をリラックスさせるような感じで凄く優しく接してくださいました。声を入れるときは “ここは嬉しく、ここは悲しく言ってみて”と具体的な指示を出してくださったんですけど、監督は日本語がわからない中でもそういった的確な演出が出来て凄いなと思いました」
ジェフ「アタリは難しい役なのに君はもの凄くいい仕事をしていて感動したよ。コーユー君は本当に素晴らしいと思う。僕は前にもボイスキャストをやったことがあって、他の作品と比べるわけじゃないけどウェス監督との仕事はやっぱり特別に感じるんです。レコーディングは僕がロサンゼルスにいて監督はニューヨークから“こんな風に演じてみて”と指示を出してくださったんですけど、彼は俳優のことをとても考えてくれる人で、やってほしいことが的確なんです。脚本もとても綿密に書かれていたこともあって、レコーディングは全部で2時間ぐらいで終わりました。ウェスは俳優の扱い方もわかっていて優しくて笑わせてくれて、僕にとってやっぱり特別な監督なんです」

画像2: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーーちなみに実写でのお芝居とボイスキャストとしてのお芝居での違いをどんなところに感じますか?
ジェフ「声だけというのはある意味“純粋な演技”だと思います。というのも、実写だとロケの撮影だったら天気など色んなことを気にしながら撮影しないといけないですし時間もかかりますよね。でも今回のような声の芝居だと凄く集中できて監督と細かいニュアンスまで一緒に作っていける。そういうところが声優としての芝居は素晴らしいなと思っています」

ーーお二人はご自身が演じられた役と似ていると感じた部分はありますか?
ジェフ「僕が演じた犬のデュークはコーユー君が演じたアタリと出会ってアタリが探している犬のスポッツを一緒に探しますが、実際にコーユー君と一緒にいると僕自身もそういう気持ちが強くなって命がけで助けたくなります(コーユー君を優しい目で見つめながら語るジェフ)。それから僕は演技を愛しているし、妻や息子を愛しているので、そんな風に愛するもののために命がけで戦うところはとても共感できました」
コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思っていて、僕自身も優しくて勇気のある男の子なんじゃないかなと思っています(と、少し照れながら控えめに話すコーユー君)」

画像3: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーー最大で9m最小でiPhoneよりも小さいセットが作られたという今作ですが、お二人は実際にセットやパペットなどをご覧になりましたか?
ジェフ「3年間かけてワークショップで作られたと聞いて見るのを楽しみにしてたのですが、実はまだ見てないんです。君は見たかい?」
コーユー「ロンドンで見ました!」
ジェフ「ほんと? 羨ましいな!!」
コーユー「去年ロンドンのスタジオでアタリや犬達を作る過程を見学させてもらったんですけど本当に細かい作業でとても驚きました。今年の2月にベルリンで初めてこの映画を観た時にロンドンのことを思い出して、あのとき実際に見たものが映画になっていて素晴らしいなと思いました」
ジェフ「僕も同じくベルリンで初めて今作を観たんだけど、君がパペットやセットを去年見ていたなんて知らなかったよ。貴重な体験が出来て良かったね!」

画像4: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーー個人的にお寿司を作るシーンがとても面白くて大好きでした。お二人のお気に入りのシーンを教えて頂けますか。
ジェフ「お寿司のシーンを日本の方に気に入って頂けて嬉しいです。僕は…全部のシーンが好きだからなぁ(笑)。だってずっと口が空いた状態で観ていたんですよ(笑)。3回観たんですけど…全てが素晴らしいシーンだったと思います。君はどのシーンが好き?」
コーユー「僕も一緒で全部好きなんですけど(笑)、中でもアタリがブライアン・クランストンさん演じるチーフに“グッドボーイ”と言うところが凄く感動しました」
ジェフ「セットやパペットを使った映像的な面白さはもちろんですけど、ボイスキャストとして色んな俳優が参加しているので“あ!あれがフランシス・マクドーマンドか!”と観ている途中で驚くんです(笑)。それもこの映画の楽しみ方のひとつで、どのキャストがどのキャラクターの声を演じているのか事前に情報を入れずに発見しながら観るのも面白いと思いますよ。僕はオースティンで3回目の鑑賞をした時が一番楽しめたんです。観客と一緒に観たんですけど、皆さん色んな反応をされていて、その反応でどのシーンが上手くいったのかわかったりして凄く楽しかったです。ところで、君は今作が初めての映画出演なの?」
コーユー「初めてです。父親に“俳優をやってみたい”と話したらエージェントを探してくれて。父もカナダで俳優をやっているんです」
ジェフ「そうなんだ!」
コーユー「バンクーバーのテレビ番組に出演しているんですけど、父親の影響もあって僕も俳優をやってみたくなって、いまオーディションをいろいろ受けています」
ジェフ「いつか君がお父さんと共演する可能性もあるよね。演劇のお芝居は見たことあるかい? 演劇はオススメなんだ。ニューヨークの劇場は最高の演劇が観られるから行ってみるといいよ。もちろんウェス監督の作品に出たというだけで最高のレッスンになったと思うけどね。色んな作品に挑戦するといいと思うよ」

画像5: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーージェフさんは俳優として長く第一線で活躍されていますが、コーユー君に何かアドバイスはありますか?
ジェフ「僕の方こそコーユー君から学ぶべきところが沢山あります。僕の若い頃はめちゃくちゃで、色んなことを学びながら経験を重ねてきて今があるんです。俳優として素敵なスタートを切った彼にアドバイスできることはないんですけど(笑)、大きな可能性を秘めている年頃だと思うので色々なことに挑戦していって欲しいです」

ーーもし実写映画で共演するとしたらどんなジャンルがいいですか?
コーユー「ジャンル問わずウェス監督の作品の実写で共演してみたいです!」
ジェフ「いいね! ウェスが脚本を書いたらきっと素晴らしい作品になると思う。僕は子供の頃に観た60年代の映画で、喜劇俳優のジェリー・ルイスが魔術師の役を演じている『底抜け慰問屋行ったり来たり』というのがあるんですけど、その魔術師が日本にやって来てミツオという少年と強い絆で結ばれるということも描いていてとても素敵な作品なので、それを僕達でリメイクしても面白いかなと思います」

画像6: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

ーーでは最後に『犬ヶ島』を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。
コーユー「人間と犬との愛情や絆が強く描かれているので是非観てください!」
ジェフ「実は今朝テレビで“きょうのわんこ”というのがやっていて凄く可愛らしいコーナーだなと思いながら見ていたんですけど、日本の方も犬が大好きなんだなと感じました。『犬ヶ島』は“保護犬を助けよう”という運動や、殺処分される犬や猫を数年後には0にしようという運動も兼ねているんです。犬だけじゃなく、動物をもっと大切にして共存しましょうというメッセージが込められているので、そういったことも観終わったあとに感じて頂けたら嬉しいです」

画像7: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

(インタビュー後記)
リラックスした雰囲気でインタビューに応じてくださったお二人。ジェフさんはコーユー君に色々と質問をしたりインタビュアーにも気さくに話しかけてくださったり、コーユー君は日本語で一生懸命答えてくれたりと本当に素敵なお二人で現場がホッコリ和やかになりました。いつか実写での共演が実現するのが楽しみです。ウェス監督が日本への愛を込めて作った『犬ヶ島』を是非大きなスクリーンでお楽しみください!

(インタビュアー・文/奥村百恵)

画像8: ジェフ「ウェス監督との仕事は特別に感じるんです」 コーユー「アタリは優しくて勇気のある男の子だと思います」

『犬ヶ島』
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:ブライアン・クランストン
     コーユー・ランキン
     エドワード・ノートン
     ビル・マーレイ
     ジェフ・ゴールドブラム
     野村訓市
     グレタ・ガーウィグ
     フランシス・マクドーマンド
     スカーレット・ヨハンソン
     ヨーコ・オノ
     ティルダ・スウィントン
     野田洋次郎(RADWIMPS)
     村上虹郎
     渡辺謙
     夏木マリ
配給:20世紀FOX映画
全国公開中!
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

画像: 『犬ヶ島』日本オリジナル予告編 youtu.be

『犬ヶ島』日本オリジナル予告編

youtu.be
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.