【ストーリー】
テーマパークであり豪華リゾート地であった「ジュラシック・ワールド」が、解き放たれた恐竜たちによって破壊された事件から3年が経っていた。 イスラ・ヌブラル島はいまや人々から忘れ去られ、島に残った恐竜たちはジャングルの中を自力で生き伸びていた。 島の休火山が再び活発な活動を始めた時、オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、この壊滅的な規模の災害から島に残った恐竜たちを救い出そうと行動を開始する。オーウェンはジャングルの中で行方不明になっているヴェロキラプトルのリーダー格ブルーを救うという使命感に駆られるが、その一方でクレアは恐竜たちの保護を訴え、それが自分の使命だと感じているのだった。 溶岩が降り注ぐ不安定な状態の島に到着した彼らは、 地球全体を人類が有史以来経験したこともない危険な状態に戻してしまうような〈陰謀〉を暴いていくことになるのだがーー
強欲さを確信に変えて行動することが
いかに悪いことなのかということを考えなければいけない
ーークレアを再び演じる上でどんなことを意識されましたか?
「前作でクレアはパークの運営責任者だったので、きっと大半の人が“この悪い奴はどうせ恐竜に食べられるだろう”と思っていたんじゃないかしら(笑)。ところが物語が進むにつれて彼女が危機的状況を救う展開になって皆さん驚かれたかもしれませんね。私自身こうして続編に帰って来られてとても嬉しく思っています。前作で彼女は色んなことを経験して少しずつ変わっていきますが、第2章である今作でようやく本当のクレアを皆さんに観て頂けるのではないかと思います」
ーー前作から今作までの間にクレアとオーウェンには一体何があったのでしょうか?
「やっぱりそこは気になりますよね(笑)。クリス(・プラット)とは前作の撮影のあとに二人に何が起きたのかを色々と話し合ったんです。今作の脚本もふまえたうえで想定できるのは、おそらく巨額の保険金を二人は受け取って、オーウェンは一人で森の小屋で暮らすことを選び、クレアは自分が恐竜を創造することに加担していたことに責任を感じてDPGという恐竜保護団体を立ち上げたのではないかと。そうやって別々の道を歩き始めた二人が久々に会うシーンでは、お互いがお互いを捨てたと言いはるんですよね。ということは、二人はまだ気持ちが通じ合っているんじゃないかと思うんです。きっと意見の相違で離れただけなんですよね」
ーーそんな二人が今作でまた色んなことに共に立ち向かっていきますが、例えば恐竜を使って悪いことを企む人物が出てくるなど、エンタメ作でありながらも多くの社会的なメッセージが込められているように感じました。
「原作者のマイケル・クライトンが警鐘を鳴らすような形で小説を書いていますし、前作と今作ではそういったことが実際に起きてしまいます。それは現代社会も一緒で、テクノロジーがどんどん進化していく中で何か大きなことが起きてしまったとしても私達は向き合わなければいけないし、強欲さを確信に変えて行動することがいかに悪いことなのかということも考えなければいけないと思うんです。何かを成し遂げるための確信というのは人間性に根ざしていなければいけないと。そういうメッセージが『ジュラシック』シリーズには込められていると思います」
ーーちなみに実際に恐竜を創造することが可能だとしたらブライスさんは反対ですか?
「いえ、もし実現可能ならばできるかぎり応援したいです。ただ、どうして恐竜を創造するのかという目的をしっかりと見極めなければいけませんよね。進歩やイノベーション(技術革新)に関してはサポートしたい気持ちはありますけど、それにはまずモラルや道徳観、倫理観、人間性という大切なものをしっかりと考えて行動しなければいけないと思っています」
ーー前作ではヒールを履いてパーク内を走り回って大変そうでしたが今作でクレアの靴はブーツに変わりましたよね。そういった衣装に関して何かアイデアを出されたのでしょうか?
「クレアの衣装に関しては前作から100%私の意見を取り入れてもらっています。靴はまさにクレアのメタファーになっていて、今作ではようやく人間性を取り戻すことができたと言えるし、地に足がついた自分を見つけることができたとも言えます。そうそう、前作でヒールを履いて走っているときに気をつけたことがあって、とにかく重心をつま先にかけることを大事にしていました。少しでもかかとに体重をかけてしまうとヒールが泥に埋まって動けなくなるから、すぐに恐竜に捕まって食べられてしまうんですよ(笑)。皆さんも足下の悪い場所でヒールを履いていて、もしも恐竜のような巨大生物に出くわしたときはつま先に重心をかけてダッシュして逃げてくださいね!(笑)」
ーー(笑)。今作ではバヨナ監督が台詞のないシーンで音楽を流しながら撮影していたそうですが、どんな音楽を流していたのでしょうか?
「監督のスマホを現場のサウンドシステムに繫げて、いつでも音楽を流すことができるようにしていました。例えばリハーサルのときに何か音楽を流すと、そのシーンのトーンが役者やスタッフに伝わりやすいんです。台詞が無いシーンでは音楽を流しながら本番を撮ることもあって、“こういう感情でこういう恐怖を感じる”というのが流れている音楽でよりわかりやすく共通認識できるのがよかったです」
ーー音楽は歌のないものだったのでしょうか?
「映画の劇伴がよく流れていて、もちろんその中にはジョン・ウィリアムズの『ジュラシック・パーク』のテーマもありました。それから音楽だけじゃなく、時には恐竜の吠えた声や足音のようなものも流れたんですけど、それは私達キャストが予測してないところで急にスタジオ中に鳴り響くんです。それで本当に驚いて思わず飛び上がってしまったこともあったんですよ(笑)。それがそのまま使われたシーンもあって、かなりリアルな演技になっていますから是非スクリーンでチェックしてみてください(笑)」
(取材・文:奥村百恵)
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
監督:J・A・バヨナ
脚本:デレク・コノリー&コリン・トレボロウ
原案:マイケル・クライトン
キャスト:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード
B・D・ウォン、ジェームズ・クロムウェル
テッド・レヴィン、ジャスティス・スミス
ジェラルディン・チャップリン、ダニエラ・ピネダ
トビー・ジョーンズ、レイフ・スポール
ジェフ・ゴールドブラム
配給:東宝東和
7月13日(金)全国超拡大ロードショー
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