正体不明のストリートアーチスト、バンクシーが2007年に手がけた、パレスチナとヨルダンを分断する巨大な壁に描いたグラフィックアート。だが地元民の怒りで壁画は切り取られ売り飛ばされることになった……切り取られた壁画がその後にたどった数奇な運命をマルコ・プロゼルピオ監督が描くドキュメンタリー映画。
バンクシーがパレスチナの壁に壁画を描いた!
世界のいたる場所に現われ、ユーモアとアイロニーに満ちた反権力的メッセージの作品を描く正体不明のストリートアーチスト、バンクシー。作品がオークションで1億円の値がつくなど常に話題をふりまく彼が2007年に手がけたプロジェクト。それはパレスチナとヨルダンを分断する巨大な壁に、14人のアーチストと共にグラフィックアートを描くというものだった。
壁画が盗まれ売り飛ばされた!
このニュースは世界的に注目され壁画を見に来る観光客がパレスチナに殺到したが、バンクシーの描いた壁画の一つ『ロバと兵士』が地元民の怒りを買う。パレスチナ人をロバとして描き貶めたと。彼らは壁画を切り取り売り飛ばすことに決めた……
切り取られた壁画がその後にたどった数奇な運命をマルコ・プロゼルピオ監督が描くドキュメンタリー映画。ロック界のレジェンド、イギー・ポップがナレーションを担当している。
デンマーク、ロンドン、ロサンジェルス……壁画の行方は?
壁画を盗んだ一人は、ベツレヘムのタクシー運転手ワリド。バンクシーを偽善者と呼ぶ彼は、4トンの石の塊をネットオークションに出品。プロゼルピオ監督は、デンマーク、ロンドン、ロサンジェルスと壁画の足跡をたどるが、そこで浮かび上がってくるのはストリートアートの抱える光と闇。あるべき場所から切り取られてもそれは作品なのか? そもそも違法に描かれたものに著作権はあるのか? さまざまなアーチストや評論家がインタビューで私見を述べる。
「バンクシーを盗んだ男」
監督/マルコ・プロゼルピオ
8月4日公開/シンカ配給
©Marco Proserpio 2018