成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて37年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。
別れたドミニク・クーパーとは今も良い友達で家族ぐるみのお付き合いをしているわ
「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」のインタビューはアバの故郷のストックホルムで行われ、アバ博物館に招待されたのである。アマンダ・サイフリッドは前日から目にものもらいが出来て鬱陶しそうだったがサングラスをかけて隠したりせず、プロ根性を発揮して堂々と顔全部を見せていた。
『続編を作ると聞いた時、クレイジー!と思ったけれど、アバの曲は限りなくたくさんあるし、「ゴッドファーザー」みたいにストーリーの前篇を加えて、そこに現在のドラマを織り込むという工夫に感心して、再び同じメンバーが集まることができて本当に素晴らしい経験だったわ。10年という長い月日が経っているのに、実際に共演者に会ったらまるで1ヶ月前に別れたばかりのようにすぐに元の気分になれて、ああ、やっぱり良い映画の余韻はベストの結びつきを生むのだなーと思ったわね。おまけに映画の中で私が演じるソフィーが妊娠して、実際の私も赤ちゃんを授かって、最初の映画で恋人を演じたドミニク・クーパーと実生活でも恋に落ちて私はソフィーと同じ生き方をしてきたようで、ちょっと不思議な、ミステリアスな気持ちにならざるをえなかったのも本当よ。
ドム(とドミニクのことを呼んでいる)とは3年交際したけれどそのあとも親しい友人の関係で、私の30歳のお誕生日のパーティーにも来たし、彼の恋人とも親しくなって、家族ぐるみのお付き合いをしている。それでも映画の中でまたドムの相手役になって、私の夫がやきもちを焼くかなーとちょっと心配だったけれど、夫は限りなく公平で優しい人なので、深い理解を持って受け入れてくれたのよ。ドムと別れた原因が、私が男性より愛犬を選んだと言われたけれど、実際、彼の住む英国はペットの検疫がものすごく厳しくて、ある程度の原因になったかもしれない。その愛犬のフィンはもう8歳半になってまだまだ健康でいつも私のそばで色々と慰めてくれたり、あふれる愛情をお互いに交換しているわ』
元々オペラ歌手志望だったので歌のレッスンは子供のころから続けていたの
『アバの歌の中で最も好きなのは「マイ・ラブ、マイ・ライフ」かしら。「アイヴ・ビーン・ウェイティング・フォー・ユー」のダンスは2日間かけて、みっちり踊ったから少しばかり自信があるけれど、私たち全員がズブの素人でしょう。それが映画の魅力になっているとは思うけれど、コリン(ファース)なんか、いつもよろけていて、私がまた、彼の耳に違う曲のメロディーを囁いたりして、ますます混乱状態にさせたりしてふざけたり。一応私は子供の頃オペラ歌手になりたくてレッスンを受け、途中でオペラは断念したものの、歌唱力を養うためにお稽古はかなり続けたの。
ダンスは何といってもクリスティン・バランスキーの体の動きの素晴らしさでしょう。彼女は私たちにどうやって映画で綺麗に見せるかというテクニックをいろいろ教えてくれて、とっても助かったし、メリル(ストリープ)とのデュエットはお互いに感極まって涙がポロポロ出てきてしまった。今回は究極のプロのシェールが最後に登場するけれど、シェールの周りで働いているクルーたちがわざとなのか、彼女の持ち歌の「ビリーブ」をかなり大きな音で口ずさんでいて、それはおかしな光景だったわね。それにしてもシェールのプロ意識と存在感にはみんなあんぐりの仰天だったのよ。
娘は私の母が何から何まで面倒を見てくれて、ものすごく感謝している。母はセラピストだったからとっても信頼できるし、私にとってかけがえのない大事な人。私は着せ替え人形みたいに色々なドレスを買ってきては娘に着せて楽しんでいるの。この間は家族全員でルネッサンスの衣装を着て、夫にも軍人の制服を着せて記念写真を撮ったり、今、私は時代物のドレスにはまっている最中なのよ』
と言って楽しそうに笑う、いかにも幸せそうなアマンダでした。