杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
秒刻みの忙しさの中、登壇してくれたトム・ヒドルストン
今年の東京コミコンではいくつかステージのMCを担当させていただきました。僕はプロのMCではないのですが、二つの理由から声をかけていただいたみたいです。まずコミコンでは、どのタイミングでどのセレブが来るかわからない。なので、誰が来てもその作品や人について予備知識がある者がスタンバっている必要があるということ。そして、来日したセレブにファンが期待しているのは“お寿司食べましたか?”とかいう類の質問ではなく(笑)、やっぱりその人の出ている作品や演じているキャラについて質問できることが必要、ということで僕に話が来ることが多いのです。
12月1日のトム・ヒドルストンさんは、非常に時間が限られていました。誤解のないように言っておくと、どのセレブもファンの前に立ちたいのです。ただ本当に過密スケジュールなのです。トムさんの時はとにかく1秒でも長くファンとの時間をとりたいから、式次第とか全部すっ飛ばし(笑)。いきなり“皆さん、トム・ヒドルストンさんです!”と始めました。
このステージのトムさんの発言はすべて素晴らしくて、「『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』でロキが死んで日本のファンは号泣しました。でもディズニーさんがロキのドラマ・シリーズを作ると発表してますね」と聞くと、少し考えてから「僕は、ロキがどういう形で皆さんの前にやってくるかを知ってます。でも今はまだ言えないんです」と笑いながら、ロキとまた会えることを断言。
他にも「ロキはサノスからソーの命を救ったことでもうヴィランじゃないんだ」「みんなアスガルドの民になりたい?でもソーも言ってたけど、アスガルドは国じゃない、人なんだ。だから皆さんもすでにアスガルドの民だよ」と素敵なメッセージを次々とコメント。さらに、こういう風にいろいろな人が共存できる世界を作ることがスタン・リーの望んだことだと思う、とリスペクトを語り、会場は大感動!まさに神ステージでした。
コスプレーヤーに会ったとたんエズラ・ミラーのテンションMAX!
翌朝のジェレミー・レナーさんのステージは、もしかすると来られないかもしれない状況でのステージでしたが、そこはやっぱりヒーロー、ちゃんと来てくれました!ご存知のとおり彼は第1回の東京コミコン2016のゲストでした。
「日本のファンは最高だからまた来たんだ」と、うれしいメッセージ。そして僕が「ジェレミーさんに会いたくて、ホークアイのコスプレをしてくる人でいっぱいです。この会場にこんなに弓矢が持ち込まれたことはないです(笑)」と言うと、「ごめん、僕は今日弓持ってこなかった(笑)!でも次のアベンジャーズで活躍するよ!」と「アベンジャーズ4」への登場を明言してくれました。
同日午後のDCキャラしばりのコスプレ・コンテストにはエズラ・ミラーさんが参加。ところが最初はテンション低くて、正直どうしたらいいだろうと内心あせりましたが、コスプレーヤーたちに会った瞬間、いきなりエンジンがかかりハイテンションに!「ザ・フラッシュ」のヴィラン、リバース・フラッシュのコスプレーヤーにバトルを挑むはしゃぎっぷり!最後にオタク賛歌をしてくれて会場を感動で包み込みました。
個人的に一番緊張したのは「バーフバリ」のラーナー・ダッグバーティさん。僕も「バーフバリ」は大好きなのですが、この作品については僕よりもはるかにこの作品について語れる人が多い。”にわかファン”の僕で大丈夫だろうかと。ただラーナーさん自身がすごくアメコミ好きの方で、ファンとしてコミコンに来ることを楽しみにしているから、コミコン側の人がラーナーさんを迎えてほしい、ということでお引き受けしました。このステージは彼自身が素敵な方だったことと、会場を埋め尽くしたファンの温かさと熱さに助けてもらいました。
ステージに立つとわかるんです。客席から醸し出される雰囲気が本当にイベントの成否を決めるということが。コミコンのステージは記者会見の場ではありません。ファンとスターたちが出会い、一体化する場なのです。だから僕は会場を埋め尽くすファンの方も「主役」だと思っています。たくさんの「主役」に会えて幸せな3日間でした。