『殺し』に続く長編第2作目にあたる『革命前夜』は、スタンダールの『パルムの僧院』を骨子にしつつ、ベルトルッチの故郷である地方都市パルマを舞台に、 マルクス主義にかぶれた裕福な出自の青年のアイデンティティが分裂しゆくさまを瑞々しく描き、 弱冠22歳のベルトルッチの当時の心象風景とヌーヴェル・ヴァーグへの傾倒ぶりが色濃く反映され、カンヌ国際映画祭で新進批評家
賞を受賞、大型新人の登場とセンセーショナルな注目を浴びた。
初のカラーとなった3作目『ベルトルッチの分身』は、ジャン=リュック・ゴダールと並んで若きベルトルッチのヒーローだったドストエフスキーの『分身』を下敷きに、生真面目な大学講師/凶暴な殺人者という「二重人格」に引き裂かれる青年を描いている。
第4作目の『暗殺のオペラ』では、ルイス・ホルヘ・ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」 を、 レジスタンス/ファシストの立場が時代によって交錯するイタリアの複雑な現代史になぞらえつつ、見事に映像化。本作では、以降ベルトルッチとのコンビで数々の名作を生むことになる、アカデミー賞を三度受賞した名撮影監督ヴィットリオ・ストラーロと初めてタッグを組んだ。
そして『暗殺の森』 では、 第二次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、ジャン=ルイ・トランティニャン演じる青年がファシストの暗殺者へと変貌を遂げる様を描き、世界中の映画ファンを魅了した。
今回開催される「ベルナルド・ベルトルッチ追悼特集上映」では、処女作の『殺し』を除き、20代の7年間で撮られた若きベルトルッチの作家性が漲る第2~5作目までが一挙に上映されることになる。
上映作品
『革命前夜』Prima della rivoluzione
1964年/イタリア/モノクロ/ヴィスタ/112 分/BD
© 1964 Iride Cinematografica ©2010 Cristina D’Osualdo. All rights reserved.
監督: ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、ジャンニ・アミーコ
撮影:アルド・スカヴァルダ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:フランチェスコ・バリッリ、アドリアーナ・アスティ、アレン・ミジェット、モランド・モランディーニ、クリスティーナ・パリセット
※1964 年カンヌ国際映画祭 新進批評家賞、1967 年ナント国際映画祭 マックス・オフェルス賞
配給:ザジフィルムズ
『ベルトルッチの分身』Partner.
1968年/イタリア/カラー/シネスコ/105 分/BD
© 1968 Red films Produced by Giovanni Bertolucci
監督: ベルナルド・ベルトルッチ
脚本: ベルナルド・ベルトルッチ、ジャンニ・アミーコ
原作: フョードル・ドストエフスキー「分身」
撮影:ウーゴ・ピッコーネ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ピエール・クレマンティ、ティナ・オーモン、ステファニア・サンドレッリ
配給:ザジフィルムズ
『暗殺のオペラ』 Strategia del ragno
1970年/イタリア/カラー/スタンダード/99 分/DCP
© Licensed by COMPASS FILM SRL – Rome – Italy. All Rights reserved.
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、マリル・パロリーニ、エドゥアルド・デ・グレゴリオ
原作:ホルヘ・ルイス・ボルヘス「裏切り者と英雄のテーマ」(『伝奇集』より)
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ、フランコ・ディ・ジャコモ
音楽:ヴェルディ、シェーンベルク
出演:ジュリオ・ブロージ、アリダ・ヴァリ
※1971 年ヴェネチア国際映画祭 ルイス・ブニュエル賞
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム
『暗殺の森』Il conformista
1970年/イタリア=フランス=西ドイツ/カラー/ヴィスタ/115 分/DCP
© 1971 Minerva pictures Group All rights reserved.
監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ステファニア・サンドレッリ、ドミニク・サンダ
※全米映画批評家協会賞 監督賞、撮影賞
提供:紀伊國屋書店・マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム
ベルナルド・ベルトルッチ追悼特集上映
2019年1/12(土)~1/25(金)、YEBISU GARDEN CINEMA にて開催