ボイスの言葉たちが30年以上の時を超え再び私たちを挑発する
既存の芸術が持つ概念を拡張し、世界中に大きな議論とセンセーションを巻き起こし、バンクシーを始めとする現在のアーティストにも多大な影響を与えている伝説の芸術家、ヨーゼフ・ボイス。
本作は膨大な数の資料映像と、新たに撮影された関係者へのインタビュー映像で創られた、ボイスの芸術と知られざる”傷”を見つめるドキュメンタリー映画である。
白黒テレビに映し出される討論番組でフェルトの帽子を被った一人の芸術家が苛立ち、叫ぶ。「今は民主主義がない、だから俺は挑発する!」彼の名前はヨーゼフ・ボイス。初期フルクサスにも参加し、“脂”や“フェルト”を使った彫刻やパフォーマンス、観客との対話を作品とするボイスの創造(アート)は美術館を飛び出し、誰もが社会の形成のプロセスに加わるべきだと私たちに訴える。
ボイスの肉声やパフォーマンス映像は、30年以上前のものであるにもかかわらず、生々しく、力強い。今、ボイスの言葉たちが、時を超え、再び私たちを挑発する。
坂本龍一(音楽家) コメント
よけいな説明が少なく、しかも洗練されたサウンドデザインが施されていて、
よいドキュメンタリーは、それ自身がアートだと思う。
今まで知らなかった、ボイスの繊細さ、傷つきやすさと真剣さ、
夢想家と理性の人という両面を知ることができた。
そして「傷」というのがボイスの芸術を解く鍵ではないかということも。
資本主義が終焉を迎えている今、その先を見据えた経済・芸術を唱えたボイスの思考を知る、格好のドキュメンタリーだと思う。
ヨーゼフ・ボイスは挑発する
2019年3月2日(土)アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、横浜シネマリンほか全国順次公開
配給:アップリンク
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