映画「遊星からの物体X」ファン必読の短編小説を発見。映画で描かれた事件が起きていたときに、物体X自身が何を考えていたのかが、一人称で語られる!
画像: 「巨星 ピーター・ワッツ傑作選」(創元SF文庫)

「巨星 ピーター・ワッツ傑作選」(創元SF文庫)

「遊星からの物体X」の物体Xは人類に呆れていた……かも

その短編小説の元になった映画は、ジョン・カーペンター監督の名作SF「遊星からの物体X」(82)。南極観測隊の基地で怪事件が発生。調査にやってきた人々は、宇宙からやってきた未知の生命体、物体Xが人間と同化し、増殖しようとしていることを知る。しかし、 物体Xは外見からは普通の人間と区別がつかないため、人々は互いの正体を疑うようになりーーーというストーリーが展開する。

 しかし、実はこの宇宙からきた物体Xには高度な知性があり、ある目的のため行動していてーーーという物語を、物体Xの視点から一人称で描く短編SF小説がある。その短編小説のタイトルはズバリ、「遊星からの物体Xの回想」。創元SF文庫から刊行された短編集「巨星 ピーター・ワッツ傑作選」収録の一篇で、2010年のシャーリイ・ジャクスン賞短編部門受賞作。

 作者ピーター・ワッツは、カナダ出身の海洋生物学者でSF作家。神経学、生理学などバイオ・テクノロジーの視点から"意識とは何か""知性とは何か"を追求する作品を書いたりもする作家。脳を半分失った男や四重人格の言語学者が、宇宙でまったく異なる進化を遂げた知性体と遭遇する「ブラインドサイト」や、その続編の集合知性や人類の亜種が登場する「エコープラクシア 反響動作」などが翻訳刊行されている。

 この「遊星からの物体Xの回想」の主人公である物体Xも、人間とは根底から異なる進化を遂げ、異質の形態と思考法を持つ存在。物体Xの視点から見ると、映画の出来事がまったく別のものに見えてくる。そして、生物というものについての認識もちょっと変わる、かも。

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