アメコミライターとして活躍する杉山すぴ豊さんの連載コラムです。アメコミ関連の映画について、縦横無尽に楽しい知識、お得な情報などをみなさんにお届け。今回は、「ゴジラ」の新作が公開されたけど、実はアメコミになったこともある!という意外な話をご紹介。
「ダーク・フェニックス」はヒーローが 悪の破壊王になるという衝撃が見どころ
アメコミにはモンスターと紙一重みたいなヒーローもいて、先ほど触れたハルクはその典型ですが、もともとヒーローコミックがブームになる前に、マーベルはモンスター・コミックを出版していました。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で人気の樹木巨人グルートも、同名の怪獣を主人公にしたコミックが存在します。
なので、モンスター物の遺伝子が後のヒーロー物に引きつがれた可能性もあるのです。考えてみればスパイダーマンだって、特殊なクモに噛まれてクモ人間になるという設定自体、モンスターっぽいです。スパイダーマンから派生したヴェノムについては、このキャラの生みの親の一人であるトッド・マクファーレン自身が『ヴェノムはモンスターとして登場させた』とコメントしていたくらいです。最初はモンスターだったのがヒーローになる、というのは珍しくないのかも。
逆にヒーローがモンスター化する、というパターンもあって、その先駆けが「X-MEN」のジーン・グレイ。世界最強のサイキックの使い手が闇の破壊神ダーク・フェニックスと化し全宇宙を危機に陥れます。このコミックをベースにしたのが、「X-MEN」映画最新作の「X-MEN:ダーク・フェニックス」。ダーク・サイドにおちた別人格とはいえ、かつてヒーローだった者が大破壊を引き起こす、という衝撃的なエピソードでした(後になって、コミックではこれを打ち消す設定が登場しますが)。
今回の映画がどこまでこのコミックの衝撃を再現するのか楽しみですが、予告等を見る限りジーンの暴れっぷりや怖さがよく描かれていて期待大です。