最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回取り上げるのは「X-MEN」シリーズへの初参戦が話題の実力派女優ジェシカ・チャスティン。フェミニストとして様々な活動を行なう彼女に映画業界の変化についても語ってもらいました。

JESSICA CHASTAIN
ジェシカ・チャスティン

Profile
「ヘルプ心がつなぐストーリー」「ゼロ・ダーク・サーティ」で二度のアカデミー賞候補歴を持つ実力派女優。フェミニストとしてメッセージを発信し、社会活動家としてもハリウッドを代表する存在。シリーズ初参加となる「X-MEN:ダーク・フェニックス」では悪役を演じている。1977年3月24日生まれの42歳。

歳を重ねた女優がこの業界から放り出されるのを見て、ちょっと待って!と思っていたわ

セクハラ騒動や“#MeToo”運動などを通して大きな変化が起きているハリウッド。その中心人物として脚光を浴びているのがジェシカ・チャスティンだ。あるときは演じるキャラクターを通して、また実際の運動を通してジェンダー差別解消に向けてメッセージを発信する彼女の活動は、業界の中だけでなく社会的にも大きな影響を与えている。

そんな彼女の新作となるのが「X-MEN」シリーズ最新作「X-MEN:ダーク・フェニックス」。アメコミの名作といわれる「ダーク・フェニックスサーガ」を原作に、強大なパワーともう一つの人格を秘めた女性ミュータント、ジーンの暴走によるX-MEN最大の危機が描かれる。ジェシカが演じているのはジーンをダークサイドへ導く“謎の女”という悪役だ。

奇しくも主役も悪役も女性という、アメコミの固定概念を覆す内容になった本作は、彼女にとっても大きな意味を持つ作品になったようだ。映画業界で起きている変化を、彼女はどのように捉えているのか。今の胸中に迫った。

ーー本作があなたにとって「X-MEN」シリーズ初出演作品になりますが、マーベルなどのコミックはこれまで読まれていたのですか?

『コミックは読んでいなかったけれど、マイケル・キートンの映画版「バットマン」を見ていたわ。当時、バットマンとヴィッキー・ヴェイル(キム・ベイシンガーが演じた役柄)のポスターを持っていた。あの映画の主題歌はプリンスが手がけていて、それらすべてが好きだったわ。その中でも特に(キャットウーマンを演じた)ミシェル・ファイファーが好きだった。ミシェルは弁解しない強い女性役をいつも演じていて、彼女の役柄の選択も勇敢だった』

ーー「X-MEN」には以前にも共演した俳優もいらっしゃったと思いますが、撮影現場はどのような雰囲気だったのでしょうか?

『これまで3作品でジェームズ・マカヴォイと共演し、サイモン(キンバーグ)監督とは二度タッグを組んだわ。もし撮影中の特典映像を出すならば、きっと私たちが撮影の合間にダンスをしたり、撮影スタッフにジョークを言ったりしているシーンが使われると思う。

一度、ジェームズが車椅子に座って、真剣なシーンに取り組んでいるときがあって、もう一回だけ撮り直そうとした際に、急に“恋のマカレナ”が流れ出して、みんなで踊ったこともあったわ(笑)』

画像1: ©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ーー次回作である「IT/イット」の続編でもジェームズ・マカヴォイと共演されてますが、お互いに演技上でアプローチに変化はあるのでしょうか?

『休憩時間は、以前からの親しい関係と変わらないわ。ただ「ラブストーリーズ」の二作では、彼と夫婦役を演じたし、本作ではプロフェッサーXとその敵役となる関係。さらに「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」の続編では、ジェームズはグループを率いるリーダー的な存在を演じている。

だから、何度もジェームズとは共演しているけれど、作品ごとに彼のエネルギーは異なるの。演技に関するお互いのアプローチの仕方もそれぞれでかなり異なっているのよ』

ーーソフィー・ターナーとの共演はいかがでしたか?

『今回の映画では、私はほとんどのシーンを彼女と撮影しているの。彼女との撮影は大好きだったわ。彼女はユーモアがあっていつも一生懸命。ジーン役が大きなチャンスだと理解していたし、不安を感じている様子も準備不足な様子もまったくなかった。素晴らしい女優だから今後のキャリアが楽しみだわ』

ーー主人公が女性で悪役も女性であることは監督のアイディアなのでしょうか?

『そうよ、彼から生まれたものよ。彼は私のことを行政長官と呼んでいるの。なぜなら、私が社会や映画業界での男女平等に熱く行動しているから。サイモン監督との最初の会合で、彼が私に言ってくれたのは「スーパーヒーローの映画を女性の観点から描きたい」ということだったの』

ーーこの時代に主人公と悪役が女性であることは、どのような意味をもたらしていると思いますか?

『実はサイモン監督がこの脚本を執筆したのは今から年以上前で、トランプ政権が具体的に動き出したり、#MeToo運動が起こる前だったの。そして撮影は、ニューヨーク・タイムズ紙でハーヴェイ・ワインスタインの記事が掲載される前に開始された。だからある意味、サイモン監督は女性問題を映画で語ることが、人々からクールと思われる前から語り始めていたということなの。女性のアンサンブルキャストの映画を観客も見たいと望んでいて、そういった観客の要望に応えるのも大切だと思っている。

今では、そんな(女性中心の)脚本を頻繁に受け取るようになり、それ自体は素晴らしいこと。そしてサイモン監督が、「X-MEN」シリーズで女性の旅路を描こうとしていることにも意味があると思ったわ。聞きたいのだけれど、これまでコミック映画で主人公が女性で悪役も女性であったことは過去にあったのかしら?』

ーー知っている限りではあまりないと思います。

『だから私は主役のソフィーと多くのシーンがあることに興奮したわ。通常コミックを基にした映画は、今作とは正反対で男性中心だものね。でも、それをあえて指摘しなくても良い時代になればいいと思っているの』

ーーあなた自身は近年プロデューサーとしても活躍されていますが、それは女性をより雇用したいという意思があるのでしょうか?

『映画界では、スタジオの重役たちが椅子に座って、何がスクリーンに描写されるべきかを身勝手に決定し、実力のある女優でさえもある程度の年齢に達すると、この業界から放り出されていた。でも、ちょっと待って!と思っていたわ。実際には観客は、そんな決断をする重役よりも、歳を重ねた女優を見たいと思っているはずよ。

だからなぜ彼らに全ての権限が与えられてしまうのか疑問に思っていた。実は私が出演する映画「355」では、出演女優みんなを去年のカンヌ映画祭に呼んで、今作はみんなで所有していることを発表したの。女性としての権限を与えられた気がして、とても興奮したわ。これからその映画を製作する予定よ』

「X-MEN:ダーク・フェニックス」
2019年6月21日(金)より公開中

画像2: ©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

「アベンジャーズ」と並ぶアメコミの人気シリーズ「X-MEN」最新作。X-MENの主要メンバー、ジーン・グレイのもうひとつの人格が覚醒したことでX-MEN史上最大の危機が勃発。

監督/サイモン・キンバーグ
出演/ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェシカ・チャスティン

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