ハリウッドを代表する名優ロバート・レッドフォードの最新作であり俳優引退作となる『さらば愛しきアウトロー』が2019年7月12日(金)より絶賛公開中。このたび監督とスタッフたちから本作の制作秘話が明かされた。

1960年にデビューしたのち、『明日に向って撃て!』(69)で一躍大ヒットを記録、『スティング』(73)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、その実力を認められたハリウッドを代表する名優、ロバート・レッドフォード。60年近くに及ぶ役者人生の中で膨大な人数のファンを獲得し、すべての時代に名作を刻み続けてきた本物のスター俳優がついに、本作を最後に引退する。

公開初日より、劇場は往年のレッドフォードファンから若い映画ファン、連れ立ってくる女性たちやカップルまで、多くの観客が詰めかけ、SNSでは「超絶大傑作!!」「俳優引退作にふさわしい作品!」「さらっと泣かせる粋な映画」「とてつもなくカッコイイ歳の取り方」「最高だった。もっと見ていたい」「愛おしいシーンだらけ」など、レッドフォードが最後に選んだ自身のキャリアの集大成的作品に賞賛の声が上がっている。

また現在、TOHOシネマズ シャンテでは7/19(金)まで1週間限定で、レッドフォードの出演作のポスター展が開催され、『ナチュラル』や『愛と哀しみの果て』など色褪せない名作の実物ポスターを見ることができる。

またこのたびデヴィッド・ロウリー監督とスタッフたちによる本作制作秘話、あわせてメイキング写真が解禁された。

画像1: レッドフォード引退作『さらば愛しきアウトロー』の制作秘話を一挙公開
画像2: レッドフォード引退作『さらば愛しきアウトロー』の制作秘話を一挙公開
画像3: レッドフォード引退作『さらば愛しきアウトロー』の制作秘話を一挙公開

本作の監督は、レッドフォードが新しい才能を見つけ支援するために創設したサンダンス・インスティテュートが主催するサンダンス映画祭で頭角を現し、『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(17)で観客賞にノミネートされた、現在39歳という気鋭のデヴィッド・ロウリーが手がける。また、監督のもとに集結した制作スタッフも、インディペンデント映画のフィールドで活躍しこれからの映画界を担うプロフェッショナルたち。

ロウリー監督は本作において成し遂げたかったことの一つに「往年のスター、レッドフォードにラブレターを書くこと」と語っている。その言葉通り、本作は、レッドフォードが『明日に向って撃て!』を皮切りに世界的スターとなっていった70年代の映画製作へのオマージュがふんだんに込められている。

まず、ロウリー監督が撮影に使ったのは、脚本段階から決めていたというスーパー16のフィルム。スーパー16を使用すると、70年代の映画を彷彿させる美しいクオリティの映像を撮ることができるからだ。さらに、最新の撮影ツールではなく、ズームや古いレンズが使用された。

テキサスが舞台のクライムドラマ『セインツ -約束の果て-』(13)でもロウリー監督とタッグを組んだ撮影監督のジョー・アンダーソンは、カメラを探した時の状況を「16ミリのカメラは、もうどこでも生産していない。だから、15年前ぐらいの中古品を探す必要があった。幸いにも、フィルム自体は生産中なため、現像することは可能だった」と説明する。

ロウリー監督は、「スーパー16は理想的なフィルムだ。デジタルや35ミリよりずっと扱いやすい。確かに昔のフィルムだが、だからこそ使いたかった。古めかしい映像にしたいけれど、ノスタルジックなものにはしたくなかった。スーパー16ならそれが可能だ」と語る。

低速の16ミリフィルムでの撮影では、通常より光の調節に手間がかかるので、単に映像だけでなく、現場の雰囲気も変わったと、アンダーソンは振り返る。「デジタルの場合は、撮影が始まるとスタッフは皆モニターの後ろに隠れてしまう。フィルムの場合は、クルーは互いに声を掛け合う。映像の仕上がりを想像しながら、カメラマンと共に皆で作業する。画像の解像度のことで頭がいっぱいになるデジタル撮影とは、全く違った雰囲気の中で撮影が進むんだ」

また、ベルリン国際映画祭金熊賞にもノミネートされたロバート・パティンソンとミア・ワシコウスカ主演の本格西部劇『DAMSEL』(18,未) で開拓時代西部の街並みを見事に再現したプロダクションデザイナーのスコット・クジオは、本作で、“アウトロー映画”にとって重要なあるワンシーンのセットのリアリティを追求した。刑務所からの脱獄シーンの中のサン・クエンティン刑務所のシーンは、なんと実際のミシガン州ジャクソンにある刑務所が使われているのだ。たまたま空いていた独房の一角を、クジオが改装した。フォレストが脱獄する際に使用した手造りのボートは、クジオが一から制作したと語る。「刑務所の木工所から集められる資材だけ使って、作ることにした。その方がよりリアルなものができると思ったからだ」

さらに、撮影終了後、ロウリー監督は『ピートと秘密の友だち』(16)でもタッグを組んだ編集のリサ・ゼノ・チャージンと、6ヶ月半にわたる作業を行なった。チャージンは、反体制的な西部劇映画(サム・ペキンパーの『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(73))や、ロードムービー(モンテ・ヘルマンの『断絶』(71))、レッドフォードの初期の作品などを見て研究し、最終的に今回の映画に独特のリズム感を加味したと説明する。「全体の構成は実にユニークなものになったわ。西部劇の要素はあるけれど、銃が中心の映画ではないの。フォレストも銃を撃ったりはしなかった。これは、フォレストの『生き様』を描いた映画なの」

音楽を手がけたのは、監督と長年コラボレートをしている常連作曲家のダニエル・ハート。『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』の劇中でケイシー・アフレックが歌う幻想的かつ現代的な挿入歌「I Get Overwhelmed」が記憶に残っている方も多いだろう。映画音楽以外にも、セイント・ヴィンセント、ポリフォニック・スプリー、ブロークン・ソーシャル・シーンなど錚々たるミュージシャンたちとの仕事で注目を集める人物だ。本作では、ジャズ研究の本場テキサス州デントンでレコーディングされたこだわりのジャズ・サウンドを基調にしつつ、ジャクソン・C・フランクの「ブルース・ラン・ザ・ゲーム」や、スコット・ウォーカーやキンクスなど60〜70年代を感じさせるミュージシャンの名曲も取り入れ、ダイナミックで小気味好い大人のエンターテインメントを彩った。

あわせて解禁されたメイキング写真では、スーパー16のフィルムカメラでレッドフォードやケイシー・アフレック、シシー・スペイセクなどキャストたちを撮影する様子や、ロウリー監督と撮影監督のジョー・アンダーソンが真剣な顔でライティングをチェックする様子などが切り取られている。

インディペンデント映画を盛り上げ、新しい才能を支援していきたいと、サンダンス映画祭を立ち上げたレッドフォード。同映画祭で注目を集め活躍の舞台を広げていったデヴィッド・ロウリー監督は、今後アリシア・ヴィキャンデル主演の「Green Knight」や、ディズニーの「ピーター・パン」実写化など大作の製作・公開も控えている。

レッドフォードの想いを受け取り、実現させていったロウリー監督を筆頭に、各分野の気鋭のプロフェッショナルたちが愛を込めて引退の花道を飾る。映画ファンならずとも、まさに胸を熱くせずにはいられない本作。歴史に名を刻む銀幕スターの最後の姿を劇場スクリーンで確かめよう。

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さらば愛しきアウトロー
2019年7/12(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給:ロングライド
Photo by Eric Zachanowich. © 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

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