最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回取り上げるのは英国俳優の中でももっとも新作オファーが途切れない一人、ジェームズ・マカヴォイ。ライフワークともなっている「X-MEN」シリーズへの思いを聞きました。

ジェームズ・マカヴォイ
ハリウッド超大作「X-MEN」シリーズやドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の「世界の涯ての鼓動」など多彩なジャンルの作品で国際的に活躍する英国の実力派俳優。「X-MEN」の共演者マイケル・ファスベンダーとは実生活でも親密な間柄。今秋には主演を務める『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』が公開。1979年4月21日生まれの40歳。

たとえこれを最後に「X-MEN」を去っても満足だし幸せだと思っているよ

今年40歳を迎えたジェームズ・マカヴォイは今もっとも多忙を極める俳優の一人といってもいいかもしれない。2019年は日本でもすでに三本の新作が公開され、秋には『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』も公開待機中だ。

しかしこれだけコンスタントに活躍を続けながら、イメージがまったく固定化しない人もめずらしい。彼にはアクションヒーローのイメージもあるし、恋愛映画の王子様のイメージもあるし、狂気や闇を抱えたアウトローのイメージもある。それはきっと彼が、おそらくは意識的に、あえて異なるタイプの映画に毎回挑んでいるからだろう。そしてどんな役にも完璧に命を吹き込む高い演技力の賜物なのだろう。「スプリット」「ミスター・ガラス」では、24もの人格を持つ多重人格者を演じた彼の卓越した演技に目をみはった人は多いはずだ。

そんな彼にとって、ほとんど唯一のライフワークとなっているのが「X-MEN」シリーズだ。2011年の「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」から最新作に至るまで、彼はこれまでに四度、X-MENリーダーのプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアを演じてきた。それは紛れもなく、このシリーズやキャラクターへの愛着がそれだけ深いことの証だ。彼がプロフェッサーXを演じ続ける理由、このシリーズへ抱く特別な感情について尋ねた。

「X-MEN:ダーク・フェニックス」

画像1: ジェームズ・マカヴォイが考える「X-MEN」とは?【今月の顔】

マーベルの人気コミックをオールスター競演で映画化する「X-MEN」シリーズ最新作。優等生の女性ミュータント、ジーン・グレイの制御不能のダークサイドが暴走し、X-MEN終焉の危機が訪れる。
監督/サイモン・キンバーグ
出演/ソフィ・ターナー、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェシカ・チャステイン

──「X-MEN:ダーク・フェニックス」でシリーズへの出演は四度目となりますが、再び戻ってきた理由を教えていただけますか?

『いろいろな理由があると思う。僕はこの作品のキャラクターを演じるのが楽しいんだ。「X-MEN」シリーズに出演することをずっと楽しんできた。共演者とも仲がいいし、プロデューサーのハッチ(パーカー)や監督・脚本のサイモン(キンバーグ)などスタッフとも仲がいいよ。振り返れば約十年も続く、誠実で大きな家族のようだ。僕は演じているキャラクターにも誠実でありたいと思っている。チャールズと一緒に歩んでいきたいと思うし、彼とともに何かしたいと思っている。演じていてしっくりくるよ。それが戻った理由だよ』

──十年にわたって一人のキャラクターを作り上げてきたことは面白かったですか?

『そうだね。長い間チャールズを演じることができて楽しかったよ。とても多くの違ったモードの彼を、人生の違ったステージで演じることができた。「ファースト・ジェネレーション」から「フューチャー&パスト」までの彼にあまり違いはないけれど、「アポカリプス」では違っている。そして本作でもまた彼はちょっと変わったと思う。彼はとても賢く、人の痛みがわかるけれど、少し自己中心的なところもある。彼が過ちを犯してしまうところも僕はとても好きだし、演じるのも楽しかったよ。本当に同じ人物を演じてきた感じがしない。映画製作の間隔は一、二年しか経っていなくても、物語上で設定された月日は十年くらいずつ違うから、その年月の中で何があったかを作品の中で説明しないといけない。俳優としてその変異を演じることができたのは最高だった』

──本作のプロフェッサーXは仲間たちとも衝突してしまいますね。

『彼は規模の大きいことを考えていて、一緒にいてくれる人に忠実ではなくなる。友人とも争うことになるんだ。たとえば彼をずっと支えてくれているハンクともね。僕たちはハンクとチャールズの二人のスピンオフ作品が作られたらいいねって話すことがある。少し風変わりなハンクとチャールズが何かに立ち向かう話や、彼らのちょっと変わった関係についての話をね』

──今回はシリーズに新たにジェシカ・チャステーンが加わりました。以前にも共演されたことがあると思いますが再共演はいかがでしたか?

『僕たちが今回一緒だったのはたったワンシーンだけだったと思う。映画上では彼女のキャラクターと何シーンか一緒だったけど、ほとんど一緒に撮影はしなかった。特殊効果を使うこともあるからね。彼女がこの仕事を受けた理由のひとつは、また僕と一緒に演技し、空き時間を過ごすのを楽しみにしているからだと彼女が言ってくれた。彼女は撮影現場でとても楽しい人だよ。仕事もきっちりこなすけど面白い部分もある。だから一緒に撮影できなくて残念だった。でも僕たち「X-MEN」チームは大きな家族のようで、長い間仲良くやってきた。だから新しいキャストが入ってきても撮影して終わりではなく、彼女はもうクルーの一員になっているよ』

──あなたの衣装はみんなとお揃いではないですが、羨ましいですか?

『ちょっとだけね。ヒーロー・スーツを着てみたかった。でも僕はスーツや革靴が好きだ。たとえ着心地がよくなくても、着る価値があると思っているよ。それでもヒーロー・スーツはちょっとだけ羨ましいな。僕は自前のお気に入りのタートルネックでも着ることにするよ(笑)』

──本作ではミスティークがプロフェッサーXの虚栄心をなじるシーンがありますが、あなた自身は自分の虚栄心についてどう考えていますか?

『僕自身の虚栄心かい?僕は俳優生活を二十数年続けてきて……いや、もっと長いよね。それだけ長くやってきたので、恥をかくこと、嫌な思いをすることには慣れてしまった。裸で舞台に上がるようなことも日常茶飯事だしね(笑)。分かるかい?そういう不思議な恥ずかしい状況に身を置くことになっても平気だったりするわけで、虚栄心なんて感じない。ただそれでいて、今でも自分の写真を見ると「これは嫌だな」とか「俺ってブサイクじゃないか」とか思って、我ながら「なんだ、まだ虚栄心を感じるんだな」と思うものだ。自分では虚栄心なんて感じないと思っていても、時折頭をもたげるというわけさ』

──今回の作品がシリーズ最終章といわれていますが、これで最後だと思われますか?

『どの作品のときも、僕たちは最後だと思ってやってきた。「X-MEN」に関しては、僕はいつも「もしこれが最後なら最高だ」って思うようにしているんだ。このシリーズはオーナーが変わるから、この先どうなるのかは誰にもわからない。でももし「ダーク・フェニックス」が最後だとしてもいい終わり方だと思っている。少なくとも10年で4作も作ってきたんだ。この時点で去ることになっても満足だし、幸せだと思っているよ』

画像3: ジェームズ・マカヴォイが考える「X-MEN」とは?【今月の顔】

「X-MEN:ダーク・フェニックス」2枚組ブルーレイ&DVD
2019年10月9日(水)発売
4000円+税(2枚組)/販売元:フォックス・HE
©2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

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