これは映画を進化させた革命的な作品だ(ジェリー・ブラッカイマー)
──でも演技をしているのはあなた自身なんですよね。
ウィル・スミス
『その通り、演技は僕がしている。でも肌はCG。決して僕の肌のシワを伸ばして若く見せているわけじゃないんだ。若いヘンリー、つまりジュニアを演じる時、僕はヘルメットをかぶり、顔の真ん前に小さなカメラがある状況で演技をする。その演技はモーションキャプチャーとして捉えられるんだ』
アン・リー
『この方法でやる場合、演技をしてはダメなんだ。本当に感じてリアクトしないといけない。演技をしてしまうと、そういう形になってしまう。とても難しいんだよ。でもウィルは心から感じて動いてくれた。成熟した、複雑で微妙なことを見事にやってみせたんだ』
ジェリー・ブラッカイマー
『役者を若く見せるというのはこれまでにもあった。でもこれは、ウィル・スミスの演技をベースにしたフルCGのキャラクターなんだ。それだけでも大変なのに、アンは24フレームではなく120フレームでそれをやってのけた。ごまかしは一切きかない。これは映画というものを大きく前に押し進めた革命的な作品だ。人々はもう映画館に足を運ばなくなったといわれるが、今作は誰も体験したことのない完全に新しい劇場体験を提供してくれる』
アン・リー
『ひとつ問題があるとしたら、今のウィルは若い日のウィルよりもずっと演技が上手い、ということだったね』
ウィル・スミス
『だから僕がジュニアを演じている時、アンはしょっちゅう「そんなに上手くやらないで」と言ってたよ(笑)。そして「こんなふうにだよ」と言って、僕の昔のフィルムを見せて来たんだ(笑)。おかげで僕は、自分がエンタメ業界に提供してきた数多くの〝悲劇〞を見せつけられることになったよ(笑)』
この映画は奧で深い物語を語っているんだ(アン・リー)
──この映画は一級のアクション映画であると同時に、人間ドラマとしてもとても深い内容を持っていますね。
アン・リー
『人の心を動かすのは人間の話だ。この映画は表向きは派手なアクションだけど、奧で深い物語を語っている。もし若い自分に会うことが出来たら何て言ってあげるだろう?あるいは年を取った自分に会ったらどう思うのだろう?その答えを僕はウィルに委ねた。僕はこのキャラクターに心から共感した。どんな映画でも、自分の中で〝この気持ち、わかる!〞と感じることが大切なんだ』
ウィル・スミス
『アンはこの映画を通して何を語りたいか、よく話してくれた。でももし僕が二三歳だったら理解できなかったんじゃないかな。僕もいま人生を振り返る時期に来ているからわかるんだと思う。自分がどんな人間で、これまで何をしてきたか、若い日の自分が同じ道をたどろうとしていたら何を言ってあげるのか』
──テクノロジーがさらに進化したら、俳優はいらない時代が来たりしますか?
ウィル・スミス
『それはないと思うね。人間の魂やその美しさは人間でないと表現できないよ』
アン・リー
『僕の答えは簡単さ。CGよりウィル・スミスの方が楽。「あれやって」「次これやって」と言えばいいもの(笑)』
ジェリー・ブラッカイマー
『今回のテクノロジーは、確かにフィルムメーカーの道具箱に加える新しい道具にすぎない。けれどもそれは映画界のレガシーとなるテクノロジーなんだ』
どんなCGが使われているのか?
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