松尾スズキが監督・脚本・主演を務めた映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』。
妻の浮気を知った夫が復讐計画に挑む愛憎劇の今作で、夫婦役での共演を果たした松尾スズキ監督×中山美穂のインタビューをお届けする。

中山「こだわりと愛情を持って、大勢で一生懸命作った作品に参加できたことを嬉しく思っています」

──現場での松尾監督はいかがでしたか?

中山
「毎日毎日、監督をしながらお芝居もして、更に考え事も沢山あったと思いますが、ひたすら良い作品を作ろうと尽力してらっしゃいました。現場で大暴れするのかなと思ったのですが、なるべくエネルギーを使わないように静かにしてらっしゃったのが印象に残っています(笑)」

松尾
「監督が大暴れするってどんな現場ですか(笑)」

中山
「“そこ違うんだよ〜!”とか、監督が大声で言ったりするイメージあるじゃないですか(笑)」

松尾
「僕は無駄なエネルギーは一切使いたくないので叫ばないですよ(笑)」

中山
「松尾さんはお芝居でエネルギーを発散されていましたしね。そんなお姿を見ていると、日に日にチャーミングに思えてくるんです(笑)」

松尾
「チャーミングって(照笑)。真面目な話、事前にリハーサルやミーティングをしっかりやったので、現場で何か揉めるなんてことは一切なかったです。中山さんは凄くフラットな状態で現場に来て、“大女優感”を全く出さずどんなシーンでも一切NGを言わなかったので凄くありがたかったんですよ。“私のこと構って”みたいな感じだと大変じゃないですか(笑)」

──(笑)。中山さんは今作を経験したことで、“今後こういうこともやってみたい”という新たな意欲も湧いたのではありませんか?

中山
「こだわりと愛情を持って、大勢で一生懸命作った作品に参加できたことを嬉しく思っているので、今後も今作のような良い作品に巡り逢いたいと思いました」

松尾
「中山さんは役というよりも作品で物事を考えてくださるんです。そういうのって凄く素敵ですよね。もっと世の中の人達に中山さんのそういう部分に気付いて欲しい(笑)」

中山
「いえいえ、気付かなくて大丈夫です(笑)」

松尾
「気付いて欲しいですよ(笑)。なかなかそういうことって言えませんから」

画像: 中山「こだわりと愛情を持って、大勢で一生懸命作った作品に参加できたことを嬉しく思っています」

──いつか中山さん主演で舞台演出を手掛けるとしたら、松尾監督はどのような物語がいいと思われますか?

松尾
「なんでしょうね…一人芝居とかどうですか?」

中山
「一人…ですか?(笑)」

松尾
「一人で追い込まれる中山美穂が見たいだけなんですけどね(笑)」

中山
「一人芝居はどうかと思いますが(笑)、いつかまた松尾さんとご一緒できるように夢を膨らませておきたいと思います」

──最後の質問になりますが、ScreenOnline読者にオススメの映画を一本ずつご紹介頂けますか。

松尾
「つい先日クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観ました。近年のタランティーノ作品は個人的に面白いと思うものが続いていたので、凄く期待して観たら良い意味で裏切られまして…」

中山
「良い意味でというのは?」

松尾
「最近の彼の映画は冒頭からサスペンスに次ぐサスペンスで後半に向けてウワーっとぶち上がっていくことが多かったんですけど、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は展開ごとに尻すぼみになっていきつつも最後に“え! こうなるの? ドヒャー!!”という屋台崩しが起こって(笑)。“タランティーノってこういうアプローチもできるのか、面白いな”と思ったのでオススメです」

中山
「凄く観たくなりました!」

松尾
「3時間ありますけど(笑)」

中山
「結構長いですね(笑)。タランティーノ繋がりで私は『トゥルー・ロマンス』をオススメします。トニー・スコットが監督でタランティーノが脚本を手掛けた映画なんですけど、大好きで繰り返し何度も観ました。物語はいたってシンプルですが、俳優さんのお芝居も音楽も良くて観るたびに新たな発見があります」

松尾
「俳優と音楽の使い方で言えば、やっぱりタランティーノは天才的ですよね。『ヘイトフル・エイト』も面白かったし『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』なんて2時間半ぐらい何も事件が起きないのに飽きないっていうのが凄い。『キル・ビル』はあんまり好きじゃないんですけど(笑)」

中山
「なんとなくわかります(笑)」

松尾
「あとタランティーノ作品じゃないけど、『ゴーン・ガール』も面白くて怖かったです。『108~海馬五郎の復讐と冒険~』にちょっと通じるところがありますが、夫婦関係がどんどん崩れていって怖い展開になっていくという。ただ『ゴーン・ガール』は夫婦やカップルで観ると喧嘩になるかもしれないからあまりオススメしないです(笑)。観るなら『108』をオススメします!!」

(インタビュアー・文/奥村百恵)

<STORY> 
脚本家・海馬五郎(松尾スズキ)は、ある日、愛する妻・綾子(中山美穂)がSNSに若いコンテンポラリーダンサーへの恋心を綴っているのを知ってしまう。その投稿についた「いいね!」はなんと108。あまりのショックに離婚を決心するが、離婚した場合は財産分与で資産の半分にあたる1000万円を綾子に支払わなければならないことを知り大激怒! 納得がいかない海馬は、意地でも資産を使い果たすことを決意。ついには投稿についた「いいね!」の数だけ女を抱いて復讐するというとんでもない計画を思いつく。

タイムリミットはたった1か月。人智の及ぶあらゆる手を使って資産を減らしていくが、108人への道のりは果てしなく遠い。追い込まれた海馬は、やがて想像をはるかに超える「ある方法」で目標をクリアしようとするのだが…。

『108~海馬五郎の復讐と冒険~』
10月25日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
脚本・監督・主演:松尾スズキ
出演:中山美穂、大東駿介、土居志央梨、栗原類、LiLiCo、福本清三、乾直樹、宍戸美和公、堀田真由、村杉蝉之介、オクイシュージ、岩井秀人、酒井若菜、坂井真紀、秋山菜津子
主題歌:星野源「夜のボート」
配給:ファントム・フィルム
©2019「108~海馬五郎の復讐と冒険~」製作委員会
R18+

画像: 映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』予告編 youtu.be

映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』予告編

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