今回お届けするのは、次期アカデミー賞の最速大予想!本格的な賞シーズン到来の前に、今どんな映画が注目されているのか、どんなスターが熱いのか、映画界のホットなウワサをお伝えしましょう。
「ジョーカー」を脅かす秀作群の数々がずらりと控えたラインナップ!
この時期、ハリウッドはもう2020年のアカデミー賞に向けて賞レースが開始されていると言って差し支えない。本格的には11月末〜12月初旬の、全米各州映画批評家賞が順次発表されるころからなのだが、その前に現時点(11月初旬)で、どんな映画が業界人の注目を集めているのか、作品賞を中心に最新下馬評をお伝えしよう。
世界的にヒット中の「ジョーカー」は『アカデミー賞確実』と謳われているが、実際はいくつも〝有力〞といわれるライバルがある。まず昨年の覇者「グリーンブック」が獲ったトロント国際映画祭の観客賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』を本命視する向きもある。これはタイカ・ワイティティ監督・主演作で、第二次大戦下、空想上の友人であるヒトラーの助けを借りて立派な兵士になろうとする心優しきドイツ少年の、涙と笑いの物語。
またNetflix作品から二つ、マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デニーロ、アル・パチーノ共演という夢のギャング・エピック『アイリッシュマン』と、ノア・バームバック監督&アダム・ドライバー、スカーレット・ヨハンソン共演で贈る夫婦の愛憎劇『マリッジ・ストーリー』の評価が高い。
さらに昨年の「ROMA/ローマ」と同じように、外国語映画賞(次回から国際長編映画賞に名称変更)と作品賞の同時エントリーを狙える位置にあるのが、カンヌ映画祭パルムドールを受賞したポン・ジュノ監督の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』だ。
さらにオスカー常連系の監督たちの新作も虎視眈々とノミネート枠を見据えている。日本でもヒットしたクェンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をはじめ、サム・メンデス監督の第一次大戦もの『1917』(原題)、グレタ・ガーウィグ監督による文芸青春もの『リトル・ウィメン』(原題)、クリント・イーストウッド監督の実話もの『リチャード・ジュエル』、テレンス・マリック監督が初めて挑んだ実在人物の物語『名もなき生涯』など、強豪の新作がひしめいている。
そんな中、業界の評判を高めているのが、まず「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のジェイ・ローチ監督が、米大手テレビ局のスキャンダルを映画化した『BOMBSHELL』(原題)。シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーという実力派女優共演で演技賞でも話題を呼びそう。そして「LOGAN/ローガン」のジェームズ・マンゴールド監督がル・マン・レースに挑む男たちを描くマット・デイモン、クリスチャン・ベール共演の『フォードvsフェラーリ』も評判が良く、こちらも演技合戦も見もの。
「ジョーカー」で本命視のホアキン・フェニックスもうかうかしていられない?というわけで、さらに『黒い司法 0%からの奇跡』のマイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、『2人のローマ教皇』のアンソニー・ホプキンズなど、前述の名優たち以外にもライバルはまだまだたくさん!もちろんここに出てこなかった作品が浮上する可能性もあり、まもなく批評家賞の発表が始まれば、今回のメイン・ストリームが見えてくるだろう。