深い霧のかなたに隠された、驚愕の真実にあなたは辿り着けるか―
本作の最大の見どころは、イタリアのミステリー作家としてベストセラーを世に送り出しているドナート・カリシ監督が創出したストーリーとキャラクターの妙。
大学の卒業論文で連続殺人犯をテーマに選び、犯罪学と行動科学を研究したというカリシ監督は、ミステリー作家として成功を収める前から、このジャンルのスペシャリストとしての知識を蓄えてきた。
「数多くのどんでん返しと謎、独特の感情、サスペンス」こそがスリラーに必要不可欠な要素だと語るストーリーテラーが、この監督デビュー作で遺憾なく手腕を発揮。念入りな伏線やミスリードを張り巡らせて観る者を翻弄しながら、ごく普通に社会に溶け込んで生活している人間の心の闇に切り込み、“平凡な悪”という主題を探求したドラマも見応え十分だ。
このたび解禁された予告編は【霧が立ち込める夜 少女が忽然と消えた】という衝撃的なメッセージから幕を開ける。
「娘のアンナは身長160㎝ 赤毛の長い髪です」妖しい霧が立ち込める田舎町、クリスマス前夜の12月23日。教会に向かった娘は、そのまま家には帰ってこなく失踪した。突然、娘の姿が消えてしまい、悲痛に訴える両親。都会からやってきたヴォーゲル警部が、この少女失踪事件の捜査の指揮を執ることに。
捜査線上に浮かび上がったのは、アンナが通う高校の教師マルティーニ。「悪こそ物語の原動力」と意味深な発言を繰り返すマルティーニに対して、アンナの同級生も疑いの目を向ける。
真相究明に乗り出したのはカリスマ警部のヴォーゲル。巧妙にメディアを操って藪の中の犯罪者をあぶり出す型破りな捜査官だ。アンナの両親にテレビ向けの会見を行わせ、ヘリコプターや山岳救助隊を駆り出して大規模な捜索を開始。さらには顔なじみのニュース・レポーターを利用して、この事件をイタリア全土の注目を集めるよう仕向けていく。
ところが今回の事件はヴォーゲルを嘲笑うかのように異様な展開を見せ、謎はどんどん深まっていく。そこで、警察から捜査協力を要請された引退間近の精神科医フローレスは、ヴォーゲルに事件について助言するが…。
閉塞感のある村人たちは、犯人はよそ者に違いないと思っているが、心の底では、悪は近くに潜んでいると思っている。そして、ヴォーゲルには正体不明の連続誘拐魔“霧の男”に関する情報がもたらされ、彼の“完璧なる捜査”は根底から覆されていくのだった……。
深い霧のかなたに隠された、驚愕の真実にあなたは辿り着けるか―。ごく普通の人間の“心の闇”に切り込む、深遠なるミステリーが期待できる予告編に仕上がっている。
霧の中の少女
2020年2/28(金) kino cinéma横浜みなとみらい他全国順次公開
配給:キノフィルムズ・木下グループ