2020年2月21日より公開される「スキャンダル」では今まさに社会を揺るがしているセクシャルハラスメント問題をテーマにした作品に出演するシャーリーズ・セロン。実は制作自体から関わり、本作の映画化実現に多大な貢献したという。詳細を本人に聞いた。

シャーリーズ・セロン
女神のような美貌とストイックな役作りで知られ、映画プロデューサーとしても辣腕を振るう、ハリウッドで最もパワフルな女性の一人。現在公開中の「ロング・ショット僕と彼女のありえない恋」を皮切りに、2月には「グリンゴ/最強の悪運男」「スキャンダル」と出演・製作を兼任した話題作の日本公開が続き、有名女性キャスターを演じる「スキャンダル」では「モンスター」以来二度目のアカデミー賞主演女優賞受賞なるかが注目される。

登場人物を好きになってもらいたいのではなく、私たちはただ彼女たちの真実を伝えたかった

ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴィー・ワインスタインが告発された事件を一つのきっかけに、“MeToo(ミートゥー)”や“Time'sUp(タイムズ・アップ)”などの世界的なムーブメントに繋がったセクシャルハラスメント問題。2020年2月21日より公開される「スキャンダル」は今まさに社会を揺るがしているこの問題をテーマにした作品。映画のベースになっているのは、2016年に全米最大のニュース放送局FOXニュースで起きた衝撃的なセクハラ・スキャンダル事件。まもなく開催されるアカデミー賞でも有力候補の一本となっている。

本作の映画化実現に多大な貢献をしたのが主演を務めるシャーリーズ・セロン。脚本に惚れ込んだ彼女は『今こそ伝えるべき重要な物語』だと自ら主演・製作を務めることを決意。クランクイン直前に製作会社が撤退したことで一度は企画が暗礁に乗り上げたものの、彼女はすぐさまプロデューサーとして新たな出資先を探し、ライオンズゲートとの配給契約まで取り付けたという。

この物語が彼女をそこまで惹きつけた理由は何だったのだろうか?そして今、セクハラ問題について彼女は何を思うのか?

──「スキャンダル」のプロジェクトはどのように始まったのですか?

『脚本が送られてきたの。私がメーガン・ケリーを演じたらいいんじゃないかと言ってきた。すぐに心が決まったわ。真っ先に秀逸な脚本に惚れ込んでしまった。テーマも非常にタイムリーだと思った。才能ある女性たちが集結し、重要な物語を伝える良い機会だと思ったわ。最初はすべてが楽しみだったんだけど、そのうちに、この女性を一体どうやって演じたらいいんだろうと考えるようになり、役と向き合わなければならなくなった。メーガン・ケリーは誰もが知っているTVキャスターだし、声も風貌も独特だから』

──特殊メークで完全にメーガン・ ケリーになりきっていましたね。

『他人の顔になるというのはとても難しいことなの。特殊メークのカズ・ヒロ(辻一弘)がとても長い時間をかけてそれぞれのパーツをデザインしてくれた。顔全面にマスクをつけていると思っている人がいるかもしれないけれど、じつはとても小さなパーツでできているの。

これこそ彼の才能のなせる技で、顔の細部を変えるだけで全体の印象を大きく変えてしまう。そして彼のメークによって私の動作や話し方まで変わってくるの。メーガンの目はあまりに特徴的だけど、彼はみごとにやってのけた。おまけに可能な限り私に負担がないようにしてくれたの』

──ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーとの共演はいかがでしたか?

『ニコールは私にとって憧れの存在で、つねに刺激を与えてくれる。女優の最高峰だと思う。一度彼女にこの映画について相談したときも「シャーリーズ、私はどこにも行かない。私はここに居る。あなたの味方よ」と言ってくれた。こういう味方がいることはとても心強かった。マーゴットは不屈の精神を備えている。女優としてだけでなくプロデューサーとしてのこれまでのキャリアはとてつもなくすごいと思う。勇敢で尊敬している』

──エレベーターで三人が集まるシ ーンが印象的でした。

『エレベーターのシーンは全体の中間あたりに撮影したの。もう少し終わりに近い方だったかな。私もマーゴットもニコールも、自分たちの役柄になりきり始めていた頃だったから少し自信もついていた。あのエレベーターのシーンではほとんど言葉を交わさないのに、三人の間でいろんなやり取りが行なわれる。

撮影し始めの頃にあのシーンを撮影していたら、あそこまで力強いシーンにはならなかったかもしれない。だから、そういう運命だったのだと思う。マーゴットとニコールに私はついていくのがやっとだったわ。あれくらいのレベルの俳優陣と仕事をするには一流のものが求められる。それだけハードルを高く設定する必要があるということよ』

──セクシャルハラスメントの問題はあなたにとってどれほど重要ですか?

『一人の女性としてそういった話題にはつねにつきまとわれてきた。生まれてからずっとと言ってもいいかもしれない。ただ今は十年前とはその扱われ方が異なってきている。現在は多くの勇敢な女性たちが自らの経験を共有するようになった。タイムズ・アップ、ミートゥーなどのムーブメントのおかげで、セクハラはシステム全体の問題であり、きちんと向き合う必要があるとみんなが悟っている。だからこそこの映画を今作ることはとてもとても大事なことだった。

このプロジェクトを始めたときはハーヴェイ・ワインスタイン、チャーリー・ローズ、マット・ラウアーなどの一連の騒動は起きていなかった。そんな時期にこの脚本に出会えたのは運命であり、実現のために動いてくれた人たちみんなに感謝している。

本作は告訴した女性をヒーローに見せたり、私が演じる人物を好きにならせる映画ではない。私たちはただ彼女たちの真実を伝えたかった。それについて何を感じ、何を思うのかは、あなた次第よ』

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