エル・ファニング
姉ダコタ・ファニングとともに幼少期からキャリアをスタート。21歳にして演技派女優の名声を確立し、可憐な容姿から“ハリウッドの妖精”ともいわれる。2019年は「マレフィセント2」で再びオーロラ姫を演じ、アンジェリーナ・ジョリーとの“美の競演”で話題を振りまいた。現在公開中の青春音楽映画「ティーンスピリット」では本格的歌唱シーンに初挑戦。今後は姉ダコタと共演する『ナイチンゲール』の撮影に入る予定。
音楽映画や歌う役というのは“やりたいことリスト”の一つだったの
まだ21歳にしてソフィア・コッポラ、J・J・エイブラムス、ニコラス・ウィンディング・レフンら名だたる監督たちに愛され、ハリウッドのトップスターの地位を築いているエル・ファニング。もともと彼女には子どもの頃から二つの夢があったのだという。一つは女優。もう一つがポップシンガー。結果として彼女は女優の道を選んだが、歌手になるという夢は映画で叶えられることになった。
現在公開中の彼女の新作「ティーンスピリット」は「ラ・ラ・ランド」の音楽チームが手がけた青春音楽映画。歌手になることを夢見るヒロイン、ヴァイオレットを演じるエルは、出演にあたってボーカルのトレーニングを4か月積み、本格的歌唱シーンに吹替なしで初挑戦している。華奢な体から放たれるその力強い歌声に驚かされる人は多いだろう。自らこの役をつかみにいったという彼女が、夢を叶えた今の気持ちを語る。
──いつもは様々な出演のオファーを受ける方だと思いますが、「ティーンスピリット」は自ら役を取りにいったと聞いています。なぜですか?
『そうなの。(役者でもある)マックス・ミンゲラ監督が脚本を書いていて、自ら監督もするという情報が出ていたの。でもキャスティングはまだだと。記事には、歌のオーディションに挑戦するティーンエージャーの話だと書いてあって興味が湧いた。音楽映画や歌う役には昔から興味があって、山ほどあるやりたいことリストの一つだったから。
それで連絡を取ってみたのだけれど、この役は私向きじゃないと言われてしまった。彼らが探していたのはポーランド系で歌手もできる役者。私は歌手として知られていないし、この役をもらうために歌えることを証明しなくてはならなかった。
そして監督に会って話をしたら、この映画について同じビジョンを持っていることが分かった。それで余計にどうしてもこの役をやりたくなってチャレンジを決意したの。もともと難しいことにチャレンジするのは好きだから、その打ち合わせ後すぐ3〜4か月間毎日歌の特訓をした。音楽プロデューサーのマリウス・デ・ヴリーズとボーカルトレーニングをしたのよ』
──オーディションのいちばん最後のパフォーマンスは圧巻でした。
『ありがとう。あの曲を歌うのは本当に楽しくて、あのオーディションパフォーマンスの撮影には一日中かかったけれど、全てを注ぎ込んだ。何度も何度も歌って、さらに怒りを爆発させるようなパフォーマンスなので、心を解き放たなくてはならなかった。本当のヴァイオレットになる、というか、彼女が抱えた様々な問題から解き放たれるパフォーマンスよね』
──カリフォルニアの陽気なティーンであるあなたが、どのようにイギリスの片田舎の内気で鬱屈した移民のティーンになり切ったのですか?
『たしかに私はそもそもの性格が明るいの。いつもニコニコしているし、すぐに笑ってしまう性質(笑)。監督からはできるだけ笑わないように指導されたわ。ヴァイオレットは心を閉ざしているし、内気で、どちらかというと気難しいタイプだから。でも彼女の性格は大好き。誰といても変わらないところや信頼がおける感じなんかが。だからこそ、オーディションであそこまで上りつめることができたんだと思う』
──今回の役作りにあたって参考にしたアーティストはいますか?
『ケイティ・ペリーとレディ・ガガのドキュメンタリーを見たわ。グウェン・ステファニーはもともと大好きだし、テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデのライブも見た。そういった実在するポップスターを参考にしたわ。ヴァイオレットが真似しそうなアーティストをたくさん見たり聞くようにした。
最後のパフォーマンスはリアーナを参考にした部分もある。HIPHOPのヴァイブをヴァイオレットに持って欲しかったの』
──ポップスターを演じるのをとても楽しんでいるのが伝わってきました。
『そうなの!もう一度やりたいと思っているわ!』
──音楽の方でも何か活動をする予定はありますか?
『たぶん。NOとは言わないわ!』
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