世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔『キャッツ』が遂に実写映画化!
主人公の美しい白猫のヴィクトリアを演じたフランチェスカ・ヘイワードとトム・フーパー監督の来日インタビューをお届けする。

『英国王のスピーチ』(10)や『レ・ミゼラブル』(12)など歴史的ミュージカルの映画化を成功に導いたトム・フーパーがメガホンを執り、英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルダンサーで本作が映画初出演となるフランチェスカ・ヘイワードが主人公の白猫のヴィクトリアを演じている。更に、数々の名作を世に送り出してきたアンドリュー・ロイド=ウェバーらが製作総指揮に名を連ねるなど、世界最高峰の制作陣が集結した今作。
プロモーションで来日したトム・フーパー監督とフランチェスカ・ヘイワードに撮影秘話などを語ってもらった。

画像: 『キャッツ』
トム・フーパー監督×フランチェスカ・ヘイワード
来日インタビュー!!

フランチェスカ「バレエのソロを踊るヴィクトリアに魅せられて、家でもヴィクトリアごっこをして踊るほどハマってました(笑)」

ーー世界中で愛されているミュージカルを映画化するにあたり、監督はどんなことを意識して作っていかれたのでしょうか?

トム・フーパー監督(以下、トム監督)「舞台版は色んな物語が深く埋もれてしまっているので、少しわかりづらいのではないかなと僕は思っていたんです。ですから、映画化版ではストーリーを明確にする必要があると考えて、初めて観る方でもきちんと理解できるように意識して作っていきました。例えば“はるかなる天上の世界に行く選ばれし者”になるためにジェリクルキャッツ達は歌を歌って競い合いますが、そこが舞台版では少し曖昧になっているので、映画ではそこをハッキリと描くようにしたんです。それからキャラクターに関してですが、悪役として登場するマキャヴィティは舞台版も映画版も登場シーンは少ないのですが、原作の詩の中では凄くチャーミングで人の心を操るような猫として描かれていて、もともとは原作者のT・S・エリオットが小説の「シャーロック・ホームズ」シリーズに登場する表の顔と裏の顔の2つを併せ持ったジェームズ・モリアーティからインスピレーションを受けて書いたキャラクターなんです。なのでそういった部分を膨らませてマキャヴィティを作り上げていきました」

ーーフランチェスカさんは舞台版の「キャッツ」に対してどんなイメージを持ってらっしゃいましたか?

フランチェスカ・ヘイワード(以下、フランチェスカ)「舞台版の「キャッツ」を劇場で観劇したことはないのですが、98年に製作されたビデオ版を鑑賞したことがあって、その頃はまだバレエダンサーを夢見ていた時期だったんです。その時にバレエのソロを踊るヴィクトリアの素晴らしい動きに魅せられて、家でもヴィクトリアごっこをして踊るほどハマってました(笑)。まさか大好きなキャラクターを映画で演じることになるなんて夢にも思わなかったですし、光栄だなと思いながら撮影に挑んでいました。人気のミュージカル作品は山ほどありますが、そのほとんどが歌に重点を置いているように思います。でも「キャッツ」はダンスがメインで、ストーリーもダンスで表現しているので、そこが個人的にとても気に入っています」

画像1: Photo:Kazuhiko Okuno

Photo:Kazuhiko Okuno

トム監督「新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思った」

ーー舞台版とは違って今作では白猫のヴィクトリアをメインに描いているので、観客がより物語に入りやすいようになっていますよね。

トム監督「舞台版では人間である観客に向けて猫役の演者達が歌い踊りながらストーリーを語っていきますが、これを映画に置き換えるとカメラに向かって猫達が延々と歌い踊ることになってしまいますよね(笑)。じゃあどうすればよいかと考えた時に、ジェリクルキャッツ達の住む世界に新しくやってくるキャラクターがいたらよいのではないかと。その日が特別な夜だということも、彼らのルールも知らない新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思ったんです。98年のビデオ版ではフランチェスカが魅せられたヴィクトリアのバレエダンスのソロがありますが、そのシーンは子猫が大人の猫になっていくように見えました。そこから想像を膨らませて、ヴィクトリアの成長物語を描きつつ、突然現れたよそ者のヴィクトリアによってジェリクルキャッツ達の持つ偏見が明らかになるといったテーマも盛り込んでいきました」

ーージェニファー・ハドソンさん演じるグリザベラとヴィクトリアのシーンも素敵でした。

トム監督「ヴィクトリアを捨てられた猫というキャラクターにしたことでグリザベラと同じ立場になったというか。だからこそ二匹の間に通じ合うものが生まれたんだと思います。ヴィクトリアは思いやりのある猫なので、そんなヴィクトリアの親切心に触れたことでグリザベラの運命が変わっていくのも映画版の見どころと言えます」

ーーフランチェスカさんは猫の動きを出すためにどんな準備をされたのでしょうか?

フランチェスカ「リハーサルの段階からキャスト全員“キャットスクール”と名付けられた学校に通っていたんですけど、そこでは猫の動画を見たり、猫の専門家の指導のもと猫の動きや猫らしいじゃれ合い方を他のキャスト達と共に実践しながら様々なことを学んでいきました。ヴィクトリア独自の動きに関しては、例えば立っている時に少し肩を引っ込めるようにして首を前に出すとか、猫っぽい立ち姿を意識するようにしていました。それから、撮影時は猫の耳や尻尾はついてないんですけど、最終的にどの位置に付くのか、どんな動きをしているのかを頭の片隅に置きながら演じていました。それをもとにCGで耳や尻尾を足しています」

画像1: トム監督「新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思った」

ーーフランチェスカさんが歌う『ビューティフル・ゴースト』(アンドリュー・ロイド=ウェバーとテイラー・スウィフトが共同制作した楽曲)も素晴らしかったですが、現場ではピアニストやパーカッショニストが役者のパフォーマンスを見ながら生伴奏して、それをイヤーピースで聴きながら歌ったりお芝居されていたそうですね。緊張しませんでしたか?

フランチェスカ「そうですね…プロのシンガーじゃない私が皆さんの前で歌うなんてって感じでした(笑)。しかもモニターの後ろにはトム・フーパー監督、更にアンドリュー・ロイド=ウェバーさんとテイラー・スウィフトさんもいて、そんな状況で生歌を披露しなければいけなかったのでめちゃくちゃ緊張してしまって(笑)。でも、緊張したままではできないと思ったので、なるべく余計なことは考えないようにしたんです。バレエダンサーとして培ってきた集中力には自信があるので、全てを遮断して、役柄とシーンだけに集中して演じていたら緊張は少しずつほぐれていきました。とはいえもの凄く大変な撮影でしたけど(笑)。ただ、歌やダンスだけじゃなくありとあらゆるパフォーマンスを生伴奏をバックに撮っていましたし、人間を猫のサイズに置き換えてリアルに作られた美術セットだったので、完全にヴィクトリアになりきって演じられたように思います」

画像2: トム監督「新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思った」
画像3: トム監督「新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思った」

ーー先ほど監督は“ストーリーを明確にする必要があった”とおっしゃいましたが、物語がわかりやすくなった映画版キャッツは小さなお子様でも楽しめるのではないかなと思いました。

トム監督「僕は8歳の時に家族でキャッツを観て、このミュージカルの素晴らしさに惚れ込みました。昨年ロンドンで行われたプレミアに5歳の甥と8歳の姪が来てくれたんですけど、二人とも楽しんでくれたようで、こんなに幼い子にもこの映画の面白さが伝わるんだということがわかってとても嬉しかったんです。子供ってファンタジーと現実の境界線が少し曖昧というか、そこを行ったり来たりできる力を持っていると思うんですよね。大人になるとそういう力を失ってしまいますが、子供のようなイマジネーションを働かせて観て頂きたいですし、幼い子達には8歳でキャッツを観た時の僕と同じような体験をして欲しい。小さなお子さんからお年寄りまで幅広い年齢層の方々に観て頂きたいです」

Photo:Kazuhiko Okuno

Photo:Kazuhiko Okuno

(インタビュアー・文/奥村百恵)

画像4: トム監督「新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もキャッツの世界に自然に入り込めると思った」

<STORY> 
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)が迷い込んだのはロンドンの片隅のゴミ捨て場。そこで出会ったのは個性豊かな”ジェリクルキャッツ”たち。ぐうたらな猫、ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫…様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。一生に一度、一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く。

『キャッツ』
監督:トム・フーパー(『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』『リリーのすべて』)  
脚本:リー・ホール(『戦火の馬』『リトル・ダンサー』)、トム・フーパー
製作総指揮:アンドリュー・ロイド=ウェバー、アンジェラ・モリソン、ライザ・チェイシン、ジョー・バーン
原作・原案:T.S.エリオット、アンドリュー・ロイド=ウェバー
キャスト:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワードほか
配給:東宝東和
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画像: 『キャッツ』日本版予告 youtu.be

『キャッツ』日本版予告

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