<そして、愛が始まる>というポジティブなメッセージ
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『エル ELLE』など、観る者を常に魅了してきたフランスの至宝イザベル・ユペール。アイラ・サックス監督の『人生は小説よりも奇なり』(14)に惚れ込んだユペールは、自ら監督にラブコールを送り、それを受けた監督がユペールのために本作を書き下ろした。本作は、そんなイザベル・ユペール主演で贈る、儚くも美しい人生の物語だ。
ヨーロッパを代表する女優フランキーは、夏の終わりのバケーションと称し、ポルトガルの世界遺産の町シントラに一族と親友を呼び寄せる。自らの死期を悟った彼女は、亡きあとも愛する者たちが問題なく暮らしていけるよう、すべての段取りを整えようとしたのだ。しかし、それぞれに問題を抱えた家族たちの選択は、次第にフランキーの思い描いていた筋書きから大きく外れていき――。
脇を固めたのは、ブレンダン・グリーソン、マリサ・トメイ、ジェレミー・レニエ、グレッグ・キニアら豪華実力派俳優陣。彼らが演じる、フランキーのワケありな親族や友人が繰り広げるドラマも見どころの一つだ。
そして、本作のもう一つの主役と言えるのが、イギリスの詩人バイロン卿に“この世のエデン”と称されたポルトガルの世界遺産の町シントラ。類稀なる美しさを誇り、このうえなく幻想的で美しい世界が、フランキーたちの人生模様を演出するかのようにスクリーンに映し出される。
特別な地で過ごす、ある夏の終わりの1日。早朝から日が沈む夕景が映し出されるまでというごく短い時間で繰り広げられる物語を通じて、フランキーと家族それぞれの過去、現在、そして未来という、ゆったりと流れ、決して止まることのない彼らの人生の姿がありありと浮かび上がってくる。
予告編は、「私は写真映えするもの」とトップレスでプールを優雅に泳ぐフランキーの姿を捉え、ユペールに対して我々が抱くパブリックイメージを地でいくような印象的な場面で幕を開ける。
これまで自分の思うままに生き、家族や大切な親友たちのこれからをプロデュースしようと考えていたフランキーだったが、その思惑とは裏腹に彼らが抱える問題や悩みが次第に明らかになり、彼女の思うようにはいかない。そんな登場人物の複雑な悲喜こもごもをシントラの息をのむほどに美しい風景の数々が包み込み、壮大な人生劇場を予感させる映像となっている。
あわせて解禁されたビジュアルでは、深い森の中をフランキーがあてどなく彷徨う姿を捉え、<そして、愛が始まる。>という映画が持つポジティブなメッセージがキャッチコピーで表現されている。
ポルトガル、夏の終わり
2020年4/24(金) よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 他全国順次公開
配給:ギャガ
© 2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA © 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions