パートナーである監督が作り上げた“ラブレター”のような作品
『気狂いピエロ 』(1965年)など、元夫のジャン・リュック・ゴダール監督作品のミューズであり、シャネルのモデルなどとして世界中で愛された伝説の女優アンナ・カリーナ。
本作は、2019年12月14日に79歳でその生涯を閉じたアンナへのラブレターとして、パートナーであるデニス・ベリー監督が万感の思いを込めて作り上げた“ラブレター(本人談)”ともいうべき作品。
アンナ・カリーナは、1940年9月22日デンマークのコペンハーゲンで、遠洋航路船長の父と19歳の母との間に誕生。すぐに別れた両親に代わり保護してくれた祖母が亡くなって孤独を知る。列車に飛び乗り灰色の故国を脱出したのが17歳。パリのサンジェルマン・デプレにたどり着き、彼女は確信した、ここが私の居場所。ココ・シャネルに出会い、シャネルは彼女をアンナ・カリーナと命名した。
一躍花形モデルになった彼女を見初めたのがジャン=リュック・ゴダール。『女は女である』『女と男のいる舗道』そして『気狂いピエロ』―時代を画したヌーヴェル・ヴァーグのアイコンとなったコンビの誕生と別れ。音楽界の寵児ゲンズブールもミュージカル映画『アンナ』のために14曲を提供。
72年、彼女は自分にリアルなことを表現したいという思いがつのり、完全な男社会のフランス映画界を飛び出し、自ら製作・脚本・監督・出演をしてNYで映画を撮る。さらに歌手としての活動を開始、フランスやヨーロッパだけでなく日本でもツアーを行う…
挿入されている映画などの権利関係上、本来日本では公開できない作品だったが、今回プロデューサーの各方面への尽力により今年限りという条件で許諾され、貴重な上映が実現することになった。
また、今年3回忌を迎える故・寺尾次郎字幕デジタル・リストア版『気狂いピエロ』も上映権利期間終了間近のため、合わせて同劇場で日本最終公開が決定している。
アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい
2020年6月13日(土)より新宿K’s cinema他にて全国順次公開
配給:オンリー・ハーツ
© Les Films du Sillage – ARTE France – Ina 2017