「本物」の映画館に行ける日まで「仮設の映画館」へ
仮設の映画館は、『精神0』の想田和弘監督とその配給会社・東風の発案によるインターネット上の映画館。それは、観客の鑑賞料金を映画館と配給会社で分配することで、いま新型コロナウィルスの影響で脅威にさらされている観客・映画館・配給・製作者による「映画の経済」を回復させる試みだ。
観客だけが生き延びても、映画館だけが生き延びても、配給が、製作者だけが生き延びても映画は生きられないという現実に根付いた試みだ。
チベットのソンタルジャ監督の『巡礼の約束』は東京での公開2週目から新型コロナの影響を受け、その後各地で休館による上映中止などが相次いでしまった。マレーシアのヤスミン・アフマド監督の『タレンタイム ~優しい歌』はDVD化も配信もせず、公開後も年に何館かの映画館で上映を続けてきた秀作。この機会にぜひ仮説の映画館で見てみたい。
ムヴィオラよりメッセージ
「本物」の映画館に行ける日まで、「仮設の映画館」へお立ち寄りください。
新型コロナウィルスは映画の風景を大きく変えました。全国の映画館が休館を余儀なくされ、たとえ再開しても、以前のように多くの観客が肩を並べ安心して映画を見るには、まだまだ時間がかかるでしょう。この状況が長く続けば、映画館も配給会社も製作者も閉館や廃業ということになりかねないのです。では、どのようにこの難局を乗り越えれば?
そんな時に、想田和弘監督と配給会社・東風さんが「仮設の映画館」という新しい取り組みを始めるというニュースを読みました。インターネット上の「仮設の映画館」で、その鑑賞料金を「本物の映画館」の興行収入と同じく、それぞれの劇場と配給会社に分配するというアイデアが素晴らしいと思い、弊社はチベットのソンタルジャ監督の『巡礼の約束』とマレーシアのヤスミン・アフマド監督の『タレンタイム ~優しい歌』で参加することにしました。
『巡礼の約束』は東京での公開2週目から新型コロナの影響を受け、その後各地で休館による上映中止などが相次ぎ、ご覧いただけなくなった映画です。チベットの家族の物語、巡礼の旅の物語として、たくさんの方が楽しみにしてくださっていたので、ぜひ仮設の映画館でご鑑賞いただければと思います。
『タレンタイム ~優しい歌』の全国初公開は2017年ですが、素材等の事情でこれまでDVD化も配信もせず、公開後も年に何館かの映画館で上映を続けてきました。新作ではないので仮設の映画館としては「特別枠」ですが、今年予定した上映が中止・延期となったこと、何よりいま困難に直面しているミニシアターの応援にふさわしい映画なので選びました。
「仮設の映画館」はデジタル配信です。
いまや大手の格安見放題配信パックが世にあふれる中、配信で1800円という鑑賞料金を高いと感じる人もいるかもしれません。ですが、この難局を乗り越えるために、映画とミニシアター映画館と独立系配給会社への観客の応援の力をお借りしたいのです。
映画を「等身大より大きく見えるスクリーン」で見る喜び。1日も早く、その喜びを取り戻したいと思いますが、まずは「今」を乗り越えなければ、将来的にその映画の喜びが消えてしまうかもしれません。みなさん、今はぜひ「仮設の映画館」で映画をご覧ください。そして本物の映画館へ行けるようになったら、ぜひ映画館のスクリーンで以前よりもっと映画を楽しんでください。応援よろしくお願いします。
映画会社 ムヴィオラ