最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回取り上げるのは今年2020年8月で生誕50周年を迎える伝説的な俳優リヴァー・フェニックス。1987年に「スタンド・バイ・ミー」で来日を果たした際の本誌掲載インタビューを再構成してお届けします。(文・おかむら良/再構成、デジタル編集・スクリーン編集部)
(カバー画像:Photos by Michael Tighe/Donaldson Collection/Getty Images)

※SCREEN1987年7月号の掲載インタビューを再構成・再録したものです。

伝説の俳優リヴァー・フェニックス
彼がスクリーンに焼き付けた美しさと才能は今も色あせることはない

Photos by Michael Tighe/Donaldson Collection/Getty Images

リヴァー・フェニックス

没後30年近い今なお世界中で愛される“永遠の青春スター”。1985年に映画デビュー、翌年の「スタンド・バイ・ミー」でスターダムへ。弟のホアキン・フェニックスが先日のアカデミー賞受賞スピーチで彼の遺した言葉に触れたことも話題に。1970年8月23日-1993年10月31日(享年23歳)。

わずか23歳という若さでこの世を去った伝説の俳優リヴァー・フェニックス。役者としてのキャリアは9年足らず。遺した作品は15本に満たない。しかし彼がスクリーンに焼き付けた美しさと才能は今も色あせることはない。『スタンド・バイ・ミー』は彼を語る上で欠かせない一本だ。

出演当時、彼は15歳だった。家庭環境のせいで不良と見なされながらも、じつは誰よりも友達思いで思慮深い少年クリスの無垢なる魂を表現した彼の演技は、今も瑞々しく、深く胸を打つ。これを足掛かりに、“ジェームズ・ディーンの再来”とも呼ばれた彼は、あっという間に世界的な人気俳優へと昇り詰めていった。

悲劇が起きたのは、それから8年後のことだった。あまりに早すぎる死だった。間もなく迎える2020年8月23日は、彼の生誕50周年の記念日となる。叶わぬことなのに、想像せずにいられない。50歳の彼はいったいどんな俳優になっていたのだろう?『スタンド・バイ・ミー』のキャンペーンで来日を果たした当時、本誌に掲載されたインタビューを再構成してお届けする。

ハロウィンの夜のように別人になれるのが演技のステキなところ

画像2: Photos by Michael Tighe/Donaldson Collection/Getty Images
Photos by Michael Tighe/Donaldson Collection/Getty Images

── 俳優としての面白さはどこにあると思ってる?

「ハロウィンの夜はみんなが着飾って、自分とは違う人になろうとする。演技も同じで、自分とは違う人になるのがステキなんだ。今のボクは、やればやるほど“俳優って楽しいなぁ~”とおもしろさがましてるところ」

── 一作ごとにまるっきりイメージが違うけど、そういう役を選んでるの?

「ボクの中にある自分は変わらないけど、作品の傾向は意識的に変えているんだ。それにボクは今が成長期だから、体型の変化で違うイメージに見えるってこともあるみたい」

── 役の年齢と自分の年齢の差が、気になったりすることは?

「気にならないよ。『スタンド・バイ・ミー』は15歳で12歳を演じたけど、『モスキート・コースト』と次の『ジミーさよならのキスもしてくれない』では1歳上の17歳の役なんだ。自分が心からのめりこめる役なら、年齢は関係ないんじゃないかなあ」

画像: © 1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES,INC. ALL RIGHTS RESERVED.
© 1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES,INC. ALL RIGHTS RESERVED.

「スタンド・バイ・ミー」(1986)
監督/ロブ・ライナー
出演/ウィル・ウィトン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコネル

1959年オレゴンの小さな町を舞台に、4人の少年たちのひと夏の冒険を描く青春映
画。人気作家スティーヴン・キングの『The Body』を基に、ロブ・ライナー監督がノスタルジックな物語として映画化。

── ずいぶん大人っぽい考え方ね。

「“リヴァー・フェニックス”個人は…(笑)。自分の意見をちゃんと持って自己主張し、感情的なんだ。それに役とボク自身はいつも別で、だからこそ何週間もかけて役をつくり、のめりこんでいくようにしている」

──『スタンド・バイ・ミー』の思い出は?

「『スタンド・バイ・ミー』の共演者とはベストフレンドだったよ。コリー・フェルドマンは映画以上にクレイジーな奴で、いい役者だ。ウィル・ウィトンは役そのままに感受性のかたまり。ジェリー・オコネルは最年少の11歳だったけど、きっといい役者になるだろうね。ボクらが沼地でケンカをするシーン覚えてる?あそこでは感情のやり場がなくなって、カメラが止まってもまだケンカしていた」

── これまでの共演者で印象に残っているのは?

「ハリソン・フォードは『モスキート・コースト』では、とてもテクニカルで計算した演技をしていた。反対に『リトル・ニキータ』のシドニー・ポワチエは、43本も映画に出てるから、対応がすばやいんだよね。弟のリーフ(※ホアキン・フェニックスの当時の芸名はリーフだった)も、いい俳優だよ。でも『スペースキャンプ』に限っては、機械が相手で役にのめりこんでいない。カレの実力はTVの『モーニングスター・イブニングスター』や『トワイライト・ゾーン』、映画『ラスキーズ』を見るほうがよくわかると思う」

── 次の目標はロック・スターだそうね。

「ロックが好きでブライアン・フェリー風のものとかスクィーズ風のを書いてる。役が一つ一つ違うように、曲も一曲ずつ違うんだ。好きなシンガーはデーヴィッド・ボウイ、ドアーズ、ポリス、スティーヴィー・ワンダー。それからビートルズも、もちろん好き」

── お気に入りの映画は?

「まず、『未来世紀ブラジル』『カッコーの巣の上で』『ダイナー』、それから『ブレックファスト・クラブ』。最近では『眺めのいい部屋』かな。でも『未来世紀ブラジル』や『カッコーの巣の上で』は、頭をぎりぎりしめあげるような映画でくり返し見る映画じゃないかな」

── じゃあ、くり返し見る映画は?

「う~ん。メル・ブルックス監督の『メル・ブルックス/珍説世界史PARTI』、『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督の『スパイナル・タップ』。それから…。『アニー・ホール』『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『おかしなおかしな大追跡』」

── 恋人マーサ・プリンプトンとはどんな関係?

「マーサは独立心が強くて、自分の意志を持ってるところが好き。ガールフレンドっていうのは単に手をつないだり話をするだけでなく、ボクの成長の助けになって欲しい」

画像: 「スタンド・バイ・ミー」DVD&ブルーレイ発売中

「スタンド・バイ・ミー」DVD&ブルーレイ発売中

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