「自分を好きになるには時間がかかると思う」
本作は2018年釜山国際映画祭でのワールドプレミア上映を皮切りに、ベルリン国際映画祭ジェネレーション14plus部門をはじめ国内外の映画祭で50を超える賞を受賞した、38歳のキム・ボラ監督による初長編作品。
1990年代の韓国に生きる14歳の少女ウニを主人公に、2度と戻らない10代の不思議で美しい日々を描いている。
韓国では2019年8月に公開され、単館公開規模ながら公開1か月で観客動員数12 万人超、最終的に15万に迫る異例の大ヒットを果たし、かつて世界を熱狂させた韓国映画『息もできない』(2008年)を凌ぐほどの評価を得た。
今回解禁された本編映像は思い通りにいかない日常に行き詰まった10代の少女ウニが、そのモヤモヤした気持ちを抱えたまま自身が通う漢文塾の先生のもとを訪れ、そこからの帰宅途中に夜の公園で二人だけで休息するシーンから始まる。
「私が可哀想だから親切に?」とヨンジ先生(キム・セビョク)に尋ねるウニ。自分にとって憧れの女性である先生がこんなにも“何もない”自分に優しくしてくれる理由がわからないのだ。
「バカな質問には答えないわ」と優しく諭すヨンジ先生にウニは「先生は自分が嫌になったりしない?」と質問する。
それに対してヨンジ先生は「何度もある」「本当に何度も」「自分を好きになるには時間がかかると思う」「自分が嫌になる時、心をのぞいてみるの。“こんな心があるから、今の私を愛せないんだ”って」と正直に答える。
自分にとってのパーフェクトな大人の女性である先生からそんな答えを聞いて驚くウニ。そんなウニを見ながら、ヨンジ先生は続ける「ウニ。つらい時は指を見て。そして指を1本1本動かすの。すると神秘を感じる」「何も出来ないようでも、指は動かせる」・・・
毎日いろんなことに翻弄され悩むかもしれないけれど、何気ない日常にこそが奇跡で大事なことがつまっている、ということをヨンジがそっと伝え、ウニが理解する。年齢の差は関係なく“自分や人生に対して悩む同じ二人の人間として”ウニとヨンジが心を通わせるシーンとなっている。
はちどり
2020年6/20(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー
配給:アニモプロデュース
©2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.