本作は英国ガーディアン紙で定評のあるジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの回顧録「Greetings from Bury Park:Race, Religion and Rock N’ Roll(原題)」を基に描いた青春音楽ドラマ。
昨年のサンダンス映画祭でのプレミア上映をはじめ、多くの観客と評論家から高評価を得ている爽やかな感動の物語。1999年にポール・マッカートニーやビリー・ジョエルらと共にロックの殿堂入りを果たし、ファンから《ボス》と親しまれるスプリングスティーンの楽曲が存分に使用されているのが話題だ。
このたび本作を鑑賞した中村あゆみ、サニーデイ・サービスの曾我部恵一、CHAIのユウキ、眉村ちあきといった幅広い世代の著名人よりコメントが寄せられた。
またあわせて本編映像が解禁。新学期がスタートし、イギリスの町ルートンで暮らすパキスタン移民の高校生ジャベド(ヴィヴェイク・カルラ)が食堂に向かうシーンが捉えられている。
食堂には、80年代イギリスで流行していたゴス、ソルト・ン・ペパーやワム、バナナラマ風といった各々の格好で生徒が集まっている。
彼は自身が属するグループがなく一人席につくが、同じくムスリム系のループス(アーロン・ファグラ)に声を掛けられる。そして「この腐った世界で真実へ導く男だ」と差し出されたのは2本のカセットテープ。ジャベドが≪ボス≫と出会う直前の様子が切り取られている。
著名人からのコメント ※順不同、敬称略
中村あゆみ(アーティスト)
若者達の苦悩、夢、自立…その掛け橋に歌があった。
カセットテープ時代の描写がリアルで、マイクを握って奮闘していたあの頃の自分が、熱く甦りました!
ユウキ(CHAI)
とっても素晴らしい映画!音楽と言葉は、自由になる勇気と覚悟をくれるね!
これからも音楽に人生を振りまわされていきたいよー!
菅原慎一(シャムキャッツ)
たとえテープは擦り切れても、メッセージは永遠に消えない。
いつかの言葉が、音楽が、竜巻のように心を揺さぶる瞬間が僕にもある。
眉村ちあき(弾き語りトラックメイカーアイドル)
主人公の若さと、お父さんの不器用さ(心の奥は絶対優しい)に感情がぐるぐるになりました。
燃えたぎるような気持ち全開で観て欲しいです!
曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
ぼくがいちばん好きなブルース・スプリングスティーンのアルバムは、ファースト『アズベリー・パークからの挨拶』。そのなかでいちばん好きな曲は、アルバムのトップを飾る「光で目もくらみ」だ。そしてこの映画の英語原題は"Blinded by the Light"、つまり「光で目もくらみ」なので、その時点で「オーケー」と親指を立ててしまうのである。
その名の通りの映画。まぶしくて、あの曲のようにそこらじゅうを駆け回っている。
町山智浩(映画評論家)
ボーン・イン・ザ・USAのスプリングスティーンが、イギリスのパキスタン系少年のハートに火をつけた。
感動の実話を元にした恋と友情の青春ミュージカル、明日への暴走だ!
桜井鈴茂(小説家)
巷にたれ込める暗雲をしれっと突き破る一筋の光のような快作。
音楽の力、そして言葉の力を再認識させられた。
瀬戸あゆみ(ブランドディレクター/モデル)
夢中になれることを大事にする直向きさ。
そんなことが人生を大きく左右する。この映画が思い起こさせてくれた。
湯川れい子(音楽評論・作詞)
ただの音楽映画でもサクセス・ストーリーでもない。笑いあり。涙あり。
ブルース・スプリングスティーンと、ROCKの本質、魅力に寄り添った、実に見事な青春映画だ。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
音楽中心の社会派青春映画?実話でなければでき過ぎた話のようですが、
スプリングスティーンの歌詞に救われた少年のゴキゲンなストーリーです。
高橋辰雄(ウドー音楽事務所 取締役副会長)
ブルースの音楽、魂の叫びが届き、移民の若者がブルースの音楽、特に歌詞に感銘を受け、イギリスの社会と戦いながら自分の居場所を模索し、道を開く。
スクリーンにブルースが歌う歌詞が目に入り、改めてすばらしい作家だと心に焼き付いた。音楽を通じ、いつの時代、どこの国の若者にも共鳴できるブルースの音楽、ブルースの音楽の偉大さを証明する映画である。
追記:主人公のジャベドがいつも身につけていた、ソニーのウォークマン無しには語れない映画でもある。
カセットテープ・ダイアリーズ
2020年7/3(金)、TOHO シネマズ シャンテ他全国ロードショー
配給:ポニーキャニオン
©BIF Bruce Limited 2019