「音は感情を伝える。映画体験の半分は音だ」――ジョージ・ルーカス
映画音響と一言でいっても、その中身は広く、登場人物の声はもちろん、環境音や効果音、音楽など、映画における“音”の全てを指す。それらの映画を彩る様々な“音”はどのように作られ、どういった効果を生んでいるのか。
本作は、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、ソフィア・コッポラ、デヴィッド・リンチ、ライアン・クーグラー、アン・リー、クリストファー・ノーランといった著名で独創的な監督たちや、『スター・ウォーズ』(77)などを手掛けたベン・バート、『地獄の黙示録』(79)などで知られるウォルター・マーチ、『ジュラシック・パーク』(93)などに携わったゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドを始めとした、その道のスペシャリストたちへのインタビューと共に、“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく感動と興奮のドキュメンタリー。
1927年に初めてのトーキー映画『ジャズシンガー』が誕生し、人々は“音”に熱狂。それ以降、映画音響は今現在も日々発展し続けている。
そんな映画音響の進化において、大きな偉業を残した、『キング・コング』(33)、『市民ケーン』(41)、『鳥』(63)、『ゴッドファーザー』(72)といった往年の傑作から、第91回米アカデミー賞で最多ノミネートとなったことでも注目を集めた『ROMA/ローマ』や、今年続編が公開されることでも話題の『ワンダーウーマン』(17)といった近年の名作映画の映像をふんだんに使って知られざる映画音響の歴史を紹介。
また、裏方として名作映画を支えてきた音響技術者たちが、オーソン・ウェルズやアルフレッド・ヒッチコックがもたらした革新、ビートルズが映画音響に与えた影響、『スター・ウォーズ』のチューバッカやピクサーアニメの人気キャラクターたちが生き生きとして見える秘密など、実際の創作と発見にまつわる貴重な体験談を語る。
現代では、優れた女性技術者の活躍も目覚ましく、性別問わず仕事に誇りを持ってエネルギッシュに働く姿は、観る者に感動を与えるだろう。
ジョージ・ルーカスは映画音楽について次のように語っている。「音は感情を伝える。映画体験の半分は音だ」と。映画音響とは、観客を作品世界に引き込んでいく未知なる音作り。それに挑み続ける音響技術者たちの飽くなき挑戦と奥深き仕事の秘密を知れば、これからの映画鑑賞も違ったものになるはずだ。
ようこそ映画音響の世界へ
2020年8月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
配給:アンプラグド
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