2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。そして福島第一原発事故。日本人誰もが経験し、全世界が震撼した福島第一原発事故の関係者90人以上 への取材をもとに綴られたジャーナリスト、門田隆将(かどたりゅうしょう)渾身のノンフィクション作品「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)原作 の映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)。
マグニチュード 9.0、最大震度7という、日本の観測史上最大の地震となった東日本大震災時の福島第一原発事故を描く物語。想像を超える被害をもたらした原発事故の現場:福島第一原子力発電所(通称:イチエフ)に残った地元福島出身の作業員たちは、世界のメディアから“Fukushima 50”(フクシマフィフティ)と呼ばれた。世界中が注目した現場では本当は何が起きていたのか―、何が真実なのか―、浮き彫りになる人間の強さと弱さ。東日本壊滅の危機が迫る中、家族を、そしてふるさとを守るため死を覚悟して発電所内に残った人々の知られざる“真実”が、今、遂に明らかになる。
コメント
佐藤浩市
「数奇なこの期間、この映画もいろんな変遷を辿りもう一度皆さんの前に立つことが出来て不思議な感じがしますけど、嬉しいです」
渡辺謙「このような中で映画館に来てくださり、この作品に期待を寄せてくれている皆さんありがとうございます。この映画を様々な形でお客様に届けようとしてくださった関係者の皆さんありがとうございました」
ーーコロナ禍で生活様式が変わった現在において本作を世の中に届ける意義について
佐藤「このような状況の中でいったい人は何ができるのか、その方向を間違えると取り返しがつかなくなる。この映画で語りたかったものと今の状況は同じだと思います。人災にしない為に僕ら自身が考えながら日常を生きる。社会が変わっていく中でそれぞれが考えていくことを求められる、それを普通に振る舞えるように生活しなければいけない。そうしたことを考えるのにこの映画の中で起きていること、語っていることを改めて見ていただきたいと思います」
渡辺「この映画で描かれている原発事故と、今回のコロナは違う側面を持っていると思います。この原発事故では世の中が変革しなければいけなかったことに我々は気付かなければいけなったがそのまま普通の生活に戻ってしまった。そして、今回の厄災が起きたことで、我々は何どうやって生きていけばいいのだろうと考えさせられている。でも4月まで舞台をやっていて、やっぱり熱とバイブレーションが必要なんですよ。その二つを取り上げられると成り立たないんですよね。なので新しい生活様式という言葉に少し引っかかるんです、我々エンターテインメントに生きる人間としては普通の生活様式をそこに取り戻したいという気持ちです。もっとパーソナルな新しい生き方を考えたいと思います」
ーー舞台挨拶当日(7 月 9 日)は渡辺謙が演じた福島第一原発の最前線で指揮を執っていた吉田昌郎所長の命日であることを受けて
渡辺「今回の厄災が起きた時などに一番大切なのは“現場の声”なんですよ。現場が何を欲しているのか、現場では何が困っているのか。その声を切に聞いて戦ったのが吉田さん。この日に本作を皆さんに届けられる、現場を大切にした吉田所長をこの映画を通して感じてもらえたら吉田さんも喜ぶと思います」
ーー2人も作品の中では現場の最前線で戦う役を演じていること、新型コロナ対応で医療に従事されている方々などの現場で戦う方たちについて
佐藤「自分たちの知らないことが多すぎました。マスコミもちゃんと伝えてくれているのに、何故かみんなには届いていない。この不可思議さはいついかなる時もあると思う。今回のコロナ対応でも最前線で戦ってくれている医療従事者の方々は多少の偏見の中で生活を送らなければいけなかったことについて我々が正確に物事を見聞きすれば避けられたと思うんです。この考えは本作で伊崎さんを演じると決まった時に思った気持ちと同じです」
渡辺「見えない敵と向き合わざるを得ないその恐怖 に尽きると思います。原発事故、コロナに関しても最前の注意を払わなければいけない。でも今やらなければいけないことにも対応しなくてはいけないというある種の葛藤の中で人の命と向き合う必要がある。その緊張感と恐怖は今回の厄災とも同じで、相当な緊張感とストレスのある中で対応してくれていたんだなと思いますね」
ーー営業を再開する映画館も増えてきて劇場で映画を見ることの魅力
佐藤「実際に劇場で映画を見て、暗がり から外に出た瞬間に感じる何かなんですよ。劇場で見た人じゃなければわからないものなんですよ。それでもやはり、今は劇場に行くこ とに躊躇するかもしれない、でも各々で感染予防をして映画を静かに見る、危険を自分で回避することが出来ていていれば、そこまで避けることなく映画を見ることはできると思います」
渡辺「こんなに長い間仕事をしない時はなかったです。毎日1,2本は配信などで映画を見ました。やっぱり映画の良さは “体験”だと思います。暗がりの中、大きなスクリーン上で予告編が流れそして本編も凄く良い音で流れて今まで見たことのないような世界を見ることが出来る。そうして宅配便に邪魔されることもなく 2 時間近く一緒に体験ができることが本来の映画館だと思います。だから 映画館に来なくなった若い人たちや今回のことで来なくなった人にも戻ってきて欲しいと思います。映画館も感染予防にすごく頑張って いますので、みなさんも自分自身の感染予防は行い映画館との相互関係で戻ってきて欲しいですね」
ーー最後に
渡辺「公開日の翌日に取材をしていたんですけど、舞台挨拶が中止になってしまったけれどドルビーシネマ10人くらいお客さんが来てくれてたんですよ。だから浩ちゃんとその人たちだけに挨拶しようとスクリーンに向かったんですよ。満員の中 挨拶に行くのも醍醐味なんですけど、こうした状況の中でも足を運んでくれたんだと二人で実感できて、いつかこういう日が迎えられると良いねと話していました」
佐藤「今は本当にどの業界も大変ですけれど、数年経っていつも通りの劇場の姿に戻って、『次の世代にあんな時代があったね』とそんな時代を経験したからこそ今の仕事を大切にしようと言える時が来るのを待ってます」
あらすじ
あの日、原発内に残り戦い続けた50人の作業員たちを、世界は“Fukushima 50(フクシマフィフティ)”と呼んだ。
2011年3月11日午後2時46分。マグニチュード9.0、最大深度7「という日本の観測史上最大の東日本大震災が発生した。 太平洋から到達した想定外の大津波は福島第一原発(イチエフ)を襲う。内部に残り戦い続けたのは地元出身の作業員たち。外部と遮断されたイチエフ内では 制御不能となった原発の暴走を止めるため、いまだ人類が経験したことのない世界初となる作戦が準備されていた。それは人の手でやるしかない命がけの作業。 同じころ、官邸内では東日本壊滅のシミュレーションが行われていた。福島第一原発を放棄した場合、被害範囲は東京を含む半径250km。避難対象人口は約5,000万人。それは東日 本壊滅を意味していた。避難所に残した家族を想いながら、作業員たちは戦いへと突き進む―
映画『Fukushima 50』
出演:佐藤浩市 渡辺謙 吉岡秀隆 緒形直人 火野正平 平田満 萩原聖人 堀部圭亮 小倉久寛 和田正人 石井正則 三浦誠己 堀井新太
金井勇太 増田修一朗 須田邦裕 皆川猿時 前川泰之 Daniel Kahl 小野了 金山一彦 天野義久 金田明夫 小市慢太郎 伊藤正之 阿南健治 中村ゆり 田口トモロヲ 篠井英介 ダンカン 泉谷しげる 津嘉山正種 段田安則 吉岡里帆 斎藤工 富田靖子 佐野史郎 安田成美
監督:若松節朗
脚本:前川洋一
音楽:岩代太郎
原作:「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将(角川文庫刊)
製作:KADOKAWA
配給:松竹、KADOKAWA
© 2020『Fukushima 50』製作委員会
公式HP:fukushima50.jp
twitter:twitter.com/Fukushima50JP
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