貧富の格差が浮き彫りになっている今の状況にもつながる内容
本作は医薬業界に激震が起きた実話の映画化。現代の問題を扱った快作として、中国で500億を超える大ヒットを記録し、中国医薬業界の改革にもつながった。
上海で、男性向けの回春薬を売る小さな店主チョン・ヨン(程勇)は、店の家賃さえ払えず、妻にも見放され、人生の目標を見失っていた。ある日、「血液のがん」である慢性骨髄性白血病患者リュ・ショウイー(呂受益)が店に訪れる。国内で認可されている治療薬は非常に高価であるため、安価で成分が同じインドのジェネリック薬を購入してほしいという依頼だった。
最初は申し出を断ったものの、金に目がくらんだチョン(程)は、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるため、購入グループを結成する。依頼人のリュ(呂)を始め、白血病患者が集まるネット上コミュニティの管理人で、自身も白血病の娘を持つポールダンサーのリウ・スーフェイ(劉思慧)、中国語なまりの英語を操るリウ牧師(劉牧師)、力仕事が得意な不良少年のボン・ハオ(彭浩)が加わり、事業はさらに大きく拡大していく。
しかし、警察に密輸として目をつけられ始め、いったんはグループを解散したチョン・ヨン(程勇)たちだったが、薬を絶たれた患者たちの悲痛な叫びに決意を固める。患者の負担を軽くするため仕入れ値以下の価格で薬を売り、あえて危険な仕事を続ける彼に待ち受ける結末とは・・・。
今年の始めに日本国内で公開決定、予告編のリリースが発表されると、コロナ渦で苦しむ中国国内のSNSでは、「日本上映を待ってるぞ!」「この予告編、マジ熱いな!」「すごく意味がある映画」などのコメントが寄せられた。
3月には新型コロナウィルスの蔓延を受け、中国映画関係者らから2800枚の防護服を日本に寄贈することを発表。 関係者の中には、本作の主演シュー・ジェン(徐崢)と製作者のニン・ハオ(寧浩)が含まれ、応援のメッセージも発信された。
また、本作はエンターテインメントであると同時に、白血病患者が高額な治療薬に苦しみ、富裕層と貧困層の治療の格差が映し出され、現在、世界で起きている新型コロナのパンデミック状態で貧困層が大きな影響を受けていることともつながる内容。さらに、5月に新型コロナウィルスと闘う人々を描いた映画「平凡世界之全民戦疫(原題)」(2020年中国公開予定)の製作が中国で発表され、本作で刑事役を演じたジョウ・イーウェイ(周一囲)も出演を予定している。
薬の神じゃない!
2020年10/16(金)、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサ他、全国順次公開
配給:シネメディア
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