今⽇の悲しみを未来の幸福に変える術があることを美しい絵画と共に⾒せてくれる
本作は⻑編初監督作『善き⼈のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の最新作。
第75 回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部⾨に出品し⾼評価を獲得、第91 回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。
このたび解禁された予告編は「⽬をそらさないで」「真実はすべて美しいの」・・芸術を愛する美しい叔⺟(ザスキア・ローゼンダール)が、まだ幼い少年だったクルトの魂に⼀⽣刻み込むことになる決定的な⾔葉を残すシーンから始まる。
1937年、ナチ政権下に暮らす少年クルトは叔⺟の影響で絵画に興味をもっていた。しかし彼⼥はその豊かな感受性ゆえに精神のバランスを崩してしまい強制的に⼊院、その後、ヒトラーが推し進めていた精神病の患者や障害者への安楽死政策によって無残にもその命を奪われてしまう。
やがて終戦を迎え成⻑したクルト(トム・シリング)は東ドイツの美術学校に進学、そこで愛した叔⺟の⾯影を持ったエリー(パウラ・ベーア)と恋におちるが、実は、彼⼥の⽗親こそが叔⺟を死へと追い込んだ元ナチ⾼官だった。
残酷な運命の巡り合わせに誰も気づかぬまま結婚するクルトとエリー。やがて東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、⾃分らしく⽣きるためにエリーと⾃由な芸術を求めて⻄ドイツへと逃亡、そこで初めて触れる現代アートの刺激を受け創作に没頭する。
しかしなかなか思うような表現ができず「30歳でまだ学⽣?」と義⽗に嫌味を⾔われても「真実を描きたい」ただその⼀念で⾃⾝だけの“真実”をみつけるために苦悩するのだった。
現代美術の巨匠・ゲルハルト・リヒターの半⽣をモデルに、激動の時代のドイツで、苦悩や悲しみをその筆で希望と喜びに変えていった “ある画家の数奇な運命”が映し出された本予告映像となっている。
リヒターの代表的なシリーズとして有名な、精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかし、写真と絵画の境界線を曖昧にする「フォト・ペインティング」の創作シーンも必⾒。
クルトの苦悩と葛藤は、信じるものに向き合い、命をもかけることで、希望と喜びへと昇華していく。本作は今⽇の悲しみを、未来の幸福へと変える術があることを、美しい絵画と共に⾒せてく
れる感動の物語だ。
ある画家の数奇な運命
2020年10/2(金)TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給:キノフィルムズ・木下グループ
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