昨年のヴェネツィア国際映画祭で話題を呼んだ問題作『異端の鳥』が2020年10/9(金)より全国ロードショー。第二次世界大戦終結から75年を迎えた8月15日の<終戦記念日>に寄せて、ヴァーツラフ・マルホウル監督から日本の観客に向けて特別メッセージが届いた。
画像: 映画『異端の鳥』/「戦争の非情さを感じる」本編映像解禁!10月9(金)TOHOシネマズ シャンテほか公開 youtu.be

映画『異端の鳥』/「戦争の非情さを感じる」本編映像解禁!10月9(金)TOHOシネマズ シャンテほか公開

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「これまでに存在したものの中で、最も恐ろしい出来事」

第二次大戦中、ナチスのホロコーストから逃れるために、たった一人で田舎に疎開した少年が差別と迫害に抗いながら強く生き抜く姿と、異物である少年を徹底的に攻撃する“普通の人々”を赤裸々に描いた本作は、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されると、少年の置かれた過酷な状況が賛否を呼び、途中退場者が続出。

しかし、同時に10分間のスタンディングオベーションを受けユニセフ賞を受賞し、同映画祭屈指の話題作となった。その後も多くの批評家から絶賛を浴び、本年度アカデミー賞国際長編映画賞のチェコ代表に選出、本年度のチェコ・アカデミー賞(チェコ・ライオン)では最多の8部門を受賞した。

原作は、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した「ペインティッド・バード」。ポーランドでは発禁書となり、作家自身も後に謎の自殺を遂げた“いわくつきの傑作”を、チェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督が実に11年もの歳月をかけて執念ともいえる映像化を果たした。

日本の終戦記念日に合わせて届いたコメントは、本作を制作したヴァーツラフ・マルホウル監督の反戦と平和への強い願いが込められている。コメントは以下の通り。

飢餓、病、殺人、火災、洪水、殺害、破壊された家屋、焼け野原、孤児。
これらひとつひとつは、どれも自然と起こりうる。
だがそのすべてを一度にもたらしうるのは、世界に一つだけだ。
これまでに存在したものの中で、最も恐ろしい出来事。戦争である。

合わせて、戦争の非情さを改めて思い起こさせる本編映像も解禁。この本編シーンが捉えるのはユダヤ人を襲う余りにむごい悲劇。強制収容所へと走る機関車にはユダヤ人達が座る余裕もないほどにすし詰めにされていた。

多くの人々が貨車の板をこじ開け決死の脱出を試みるが、列車に乗るドイツ兵によって片っ端から射殺されていく。そして、奇跡的に脱出に成功した赤子連れの女性がドイツ兵に見つかってしまう。彼らは逃げようとする母子をライフル銃でもてあそんだかと思うと、あっさり射殺――

疎開先を離れてから村から村へと地獄の旅路を続けていた少年は、はるか遠くからその惨劇をただじっと見つめていた。彼は、殺されたユダヤ人の衣類や所持品を地元の村人達が盗む行為が横行していたその場所に近づき、おもむろにひとつの鞄を開けるのだ。

果てしなく広がるのどかな東欧の田舎の景観とそこで起こる人間が引き起こす悲劇のコントラストを、美しくかつダイナミックに捉えた印象的なシーンとなっている。

両親の待つ家に帰りたいという願いを抱く彼は、「はだしのゲン」の主人公・中岡ゲンのように戦争の悲劇や数々の迫害に屈せずたくましく生き抜いていけるのか――

異端の鳥
2020年10/9(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
配給:トランスフォーマー
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