一人の少年の命を懸けた12人の陪審員たちによる緊迫の法廷劇、舞台『十二人の怒(いか)れる男』が9月11日よりBunkamura シアターコクーンで初日公演を迎えた。

シアターコクーンが海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ DISCOVER WORLD THEATRE 第 9 弾として、法廷劇の金字塔『十二人の怒れる男』を上演。
原作はアメリカの脚本家レジナルド・ローズが陪審員を務めた実体験をもとに描いたテレビドラマで、数々の賞を受賞したヘンリー・フォンダ主演の映画版(1957 年)が広く知られる。

ある少年による殺人事件の陪審員として集められた 12 人の男たち。誰もが有罪だと確信していた裁判に一人の男が異議を唱えたことから、議論が白熱していく。
演出を手がけるのは、シリーズ初登場のリンゼイ・ポズナー。演劇、オペラ、テレビドラマなど幅広く活躍する英国人 演出家で、演出作『死と乙女』初演にて英国最高の演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞に輝いた実力派だ。
堤真一が、映画でヘンリー・フォンダが演じ、 議論の発端となる陪審員 8 番に扮するほか、日本屈指の俳優たちが一堂に会して緊迫の会話劇に挑んでいる。

12人の諦めない男たち

四方を客席に囲まれたセンターステージに 12 人の陪審員が入ってくる冒頭から固唾を呑んでノンストップの約2時間。

画像: 12人の諦めない男たち

陪審員室に入ってきた時の彼らは、あくまで 12 人の名もなき男たちだ。陪審員番号でさえ呼び合わず、「あんた」「彼」「この方」「あなた」などのやり取りだけで、徐々にそれ ぞれの人生や価値観がくっきり輪郭を帯びてくる。「当たり前」に疑問を持つ男。常に冷静で論理的な男。相手を論破しないではいられない男。偏見と思い込みだらけの男。くだらないジョークで茶化す男。老いのわびしさを知る男。付和雷同の男.. ....

画像1: 撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

いるいる、いるよ、こういう人たち! ちょっとした一言が誰かの感情を逆なでにし、あるいは誰かに気づきを与え、誰かの心を揺り動かす。12人が12人、適材適所としか言いようのない俳優陣の丁々発止が、とにかく見もの聞きものだ。雄弁なのは言葉だけじゃない。名刺を受け取らない。飴を渡さない。問いに答えない。落書きをする。表情で、仕草で、それぞれの人となり も相手に対する感情も、かくも鮮やかに伝わってくる。

画像2: 撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

それにしても、人と話し合うというのはなんと難儀なことだろう。自分が生きてきた年数だけこびりついた思考や偏見は、そう簡単には剥がせない。同じ景色を見ていても抱く感慨は全く違ったりもする。主義主張の違う相手には聞く耳持たずに切り捨てがちな昨今、それがミッションとはいえ、諦めずに言葉を尽くして話し合いを続ける男たちの姿は、実に尊い。数珠繋ぎにな っていく感情の連鎖は大きなうねりとなり、劇場全体が 12 人と共振していく。畳み掛けるような怒涛の展開、そして–––評決。
文: 市川安紀(ライター・編集者)

画像3: 撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

STORY

蒸し暑い夏の午後、一人の少年が父親殺しの罪で裁判にかけられる。
無作為に選ばれた 12 人の陪審員たちが、有罪か無罪かの重大な評決をしなければならず、 しかも全員一致の評決でないと判決はくだらない。 法廷に提出された証拠や証言は被告である少年に圧倒的に不利なものであり、 陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。
予備投票が行われる。
有罪 11 票、無罪 1 票。
ただ一人無罪票を投じた陪審員 8 番が発言する。
「もし、我々が間違えていたら・・・」 陪審員室の空気は一変し、男たちの討論は次第に白熱したものになっていく・・・

COCOON PRODUCTION2020 DISCOVER WORLD THEATRE vol.9 『十二人の怒れる男』

作 レジナルド・ローズ
翻訳 徐賀世子
演出 リンゼイ・ポズナー
衣裳・美術 ピーター・マッキントッシュ

出演
陪審員長(陪審員 1 番): ベンガル
陪審員2番: 堀文明
陪審員 3 番: 山崎一
陪審員 4 番: 石丸幹二
陪審員 5 番: 少路勇介
陪審員 6 番: 梶原善
陪審員 7 番: 永山絢斗
陪審員 8 番: 堤真一
陪審員 9 番: 青山達三
陪審員 10 番: 吉見一豊
陪審員 11 番: 三上市朗
陪審員 12 番: 溝端淳平
〈陪審員番号順〉

企画・製作 Bunkamura
公式サイト www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_angrymen/
公演期間 2020 年 9 月 11 日(金)~10 月 4 日(日) 会場 Bunkamura シアターコクーン
チケット料金 ベンチシート/S席:10,800円 A席:8,800円(全席指定・税込)
プレイガイド オンラインチケット MY Bunkamura Bunkamura チケットセンター
Bunkamura チケットカウンター、東急シアターオーブチケットカウンター チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
チケットに関するお問合せ Bunkamura チケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:00) 公演に関するお問合せ Bunkamura 03-3477-3244(10:00~18:00) www.bunkamura.co.jp

[注]
・本公演は、通常の客席ではなくセンターステージとなります。
・新型コロナウイルス感染症対策を講じ、左右 1 席ずつ座席を空け販売させていただきます。
・ご購入先にかかわらずご来場のみなさまには、事前に『十二人の怒れる男』緊急連絡先登録フォームに必要事項のご登録 をお願いいたします。ご登録情報は、保健所等の公的機関の要請により、当劇場より提供させていただく場合がございます。 また、必要に応じて保健所等の公的機関または当劇場からご連絡させていただく場合がございますので、何とぞご理解いた だきますよう、お願いいたします。
・当劇場の感染症対策とご来場されるお客様へのお願いにつきましては、公式サイトにて掲載いたしますので、ご確認の上ご 来場ください。

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