生誕100周年を迎える名匠フェリーニに最大のオマージュ
ずっと誰かの声を演じてきた吹き替え声優の夫婦が、初めて「本当の声」に気付くとき、甘くない世の中で、お互いがかけがえのない存在であることを思い知るーー。世界中で深い共感を呼んだ、ビタースイートであたたかい大人の物語が、この冬日本で公開される。
ソ連からイスラエルに移民してきたスター声優夫婦は、夢と希望を抱いて第2の人生をスタートさせる。しかし現実は厳しく、声優の仕事にありつけない2人がようやく手にしたのは、人には言えない闇仕事だった!?
妻の秘密が発覚したことをきっかけに、長年気付かないふりをしてきたお互いの「本当の声」が噴出し始める。“洋画の吹き替え声優夫婦”というこれまでにない設定で〈人生の再スタート〉を描いた本作は、アキ・カウリスマキを思わせるクラシカルな映像でコミカルかつドラマティックに展開する。
現在、新型コロナウイルスの影響で本国イスラエルでは未公開にありながら、ヨーロッパを中心とした各国の映画祭で上映され、2019年タリン・ブラックナイト映画祭で脚本賞、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)受賞、2020年バーリ国際映画祭では監督賞、特別賞(女優部門)受賞するなど、世界から喝采を浴びた。
監督を務めたエフゲニー・ルーマン自身の旧ソ連圏から移民した経験をもとに、7年の歳月をかけて丁寧に作り上げられ、イスラエル史上最大の移民の波である、「鉄のカーテン」崩壊後により良い生活を願って海を渡ったロシア系ユダヤ人たちの歴史の一幕をスクリーンに描き出している。
また、溢れんばかりの映画愛に包まれた本作は、今年、生誕100周年を迎えるイタリアの名匠フェデリコ・フェリーニに最大のオマージュを捧げている。作中ではフェリーニの『ボイス・オブ・ムーン』のほか、ダスティン・ホフマン主演『クレイマー、クレイマー』など往年ハリウッドの名作が登場し、映画ファンをノスタルジックに楽しませてくれる。
今回解禁されたポスタービジュアルでは、映画館に座った主人公の夫婦が捉えられ、「ほんとうの声、聴こえてますか?」という、パートナーがいる人はドキッとしてしまうような、コピーが当てられた。
後ろには怪しげなガスマスクの人物が座っており、どこか一筋縄ではいかない夫婦の物語が想像させられる。さらに、2人の夢のイスラエル移住から始まる予告篇では、妻のラヤがテレフォンセックスの仕事を始め、夫のヴィクトルは海賊版ビデオの制作のために映画泥棒(!?)になってしまう、夫婦の決して甘くはない新生活が垣間見える。
そして、「映画は人生を豊かにする。声優はその出会いの案内人だ」と語るヴィクトルに、「私の人生も豊かにしてほしかった」と答えるラヤ、互いがすれ違っていく様もほろ苦く、ラヤの秘密のロマンスや、フェリーニの新作を上映しようと奮闘するヴィクトルなど、怒涛の展開が気になる仕上がりになっている。
★ヒューマントラストシネマ有楽町共同企画、ジャパンプレミア開催★
コロナ禍の苦境を乗り越え、少しずつ活気を取り戻している映画館。「今だからこそ、映画愛に溢れる本作の初お披露目は、ぜひ劇場でご覧いただきたい!」その想いで、ヒューマントラストシネマ有楽町との共同企画としてジャパンプレミアが開催される。
日時は、10月27日(火) 夜7時より。一般の応募については、配給会社ロングライド公式Twitterで本日正午発表となる。辛い時も嬉しい時も、いつだって豊かな世界を見せてくれた映画を、スクリーンで大勢の人々と一緒に分かち合う喜びを改めて感じてはいかがだろうか。
声優夫婦の甘くない生活
2020年12月18日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ロングライド