椰月美智子のどこにでもいる母と子供たちの、リアルで壮絶な物語を描いた『明日の食卓』が原作。メガホンをとったのは、瀬々敬久監督。
【石橋ユウ】という子供を持つ、住む場所も環境も全く違う母親3人を、元フリーライターで二人の息子を育てる留美子役の菅野美穂、シングルマザーで大阪に暮らす加奈役を高畑充希、一見何不自由なく幸せを手に入れているあすみ役を尾野真千子が演じる。
キャスト、監督、原作者コメント
▼菅野美穂さん
私自身が育児中という事もあり、運命を感じる役との出会いでした。留美子を演じながら、子どもへの愛情と、母性の狂気を改めて見つめ直すような気持ちになりました。
瀬々監督の作品に参加させて頂くのは今回が初めてだったのですが、寡黙なお人柄ですが熱い思いでお芝居を受け止めてくださいました。
瀬々組の阿吽の呼吸のスタッフの皆さんのお陰で、集中して取り組む事ができたのだと思います。
毎日抜け殻になるまで撮影をした、という気がします。
高畑充希さん、尾野真千子さんという素晴らしい女優さん達と一緒にこの作品に参加させて頂けてとても幸運に思っています。
▼高畑充希さん
はじめての瀬々組。とてつもなくパワフルな現場で、あれよあれよという間に時間が過ぎてゆきました。1日1日の密度があまりにも濃すぎて、撮影期間の記憶がほとんどありません。笑
でも、スタッフさん達の瀬々監督作品への愛を毎日肌で感じていた事だけは覚えていて、きっとその愛情が、出来上がる映画からも溢れているんだろうなと思います。
自分自身が生まれ育った大阪の、空気とか匂いとかを思い出しながら懐かしみながらこの加奈という役をやらせていただけて、本当に幸せでした。
▼尾野真千子さん
母を演じる事はやはり難しいです。
母の気持ち、子の気持ち、まだいくら考えてもわかりません。
いくら歳をとっても経験者当事者でないとわかりません。
この役を演じて怖くもありました。
でも繋がりとは素敵で美しい大切なものなのですね。
▼瀬々敬久監督
一見平穏で楽しそうな子育て中の三つの家族がゆっくりと崩壊していく様子を、決して悲観的にならず最後は希望を持って描いている原作にまず惹かれました。
それはどんな家族にも訪れうる悲劇で、他者の身になって想像するという、今の分断化された世界の中で一番必要なテーマだと思えました。
より広い世界観につながる映画にしたい、そう思いました。
3人の母にはこの上ない方たちに集まって貰えました。
菅野美穂さんは実際に子育て中であり、ご自身の経験を生かしてチャーミングなお母さんを演じてくれました。
そしてラストは一線を超えた迫力です。
高畑充希さんが演じるのは大阪のシングルマザー、これも高畑さん自身が大阪出身ということもあり、頑張るオカンを等身大で気丈に演じていただき感動的です。
尾野真千子さんが演じるのは、ちょっとサイコな小学生の母親です。
複雑な性格の彼の暴走を食い止めるには体当たりの魂の叫びしかなく、まさにそこに至っています。
映画の中では、やがてこの三人の姿が微妙に繋がっていきます。
映画ならではのその醍醐味も楽しんでもらえたらと思います。
▼椰月美智子さん(原作)
『明日の食卓』が映画化されると聞いたとき、これほど映像化にぴったりな小説はないんじゃないかと、自身はじめての映像化に胸が高まりました。
そして、瀬々監督!主役の三人である菅野美穂さん、高畑充希さん、尾野真千子さん!のお名前を耳にし、この映画は成功するに違いないと確信しました。
「三人の母親」と「虐待」は、どのような経緯をたどって、どのような結末になるのでしょうか。
いろいろな意味で問題作となるはずです。期待しかありません。
あらすじ
同じ「石橋ユウ」という名前の小学3年生の息子を育てる3人の母親たち。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子(菅野美穂)43 歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇 10 歳。 大阪在住・シングルマザーの石橋加奈(高畑充希)30 歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇 10 歳。
静岡在住・専業主婦の石橋あすみ(尾野真千子)36 歳、夫・太一は東京に通い勤務するサラリーマン、息子・ 優 10 歳。
それぞれが息子の【ユウ】を育てながら忙しく幸せな日々を送っていた。 しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。 無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。 住む場所も家庭環境も違う【3つの石橋家の】行き着く運命は...?
映画『明日の食卓』
2021 年春、全国ロードショー
監督:瀬々敬久
脚本:小川智子
原作:椰月美智子『明日の食卓』(角川文庫刊)
出演:菅野美穂、高畑充希、尾野真千子
外川燎、柴崎楓雅、阿久津慶人 他
製作幹事:WOWOW
配給:KADOKAWA/WOWOW
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/ashitanoshokutaku/
(C)2021「明日の食卓」製作委員会