“子どもたちがライオンの運命を知ったらどう思うだろう”
映画の構想を練り始めたのは2011年頃、と話すのは本作の監督を務めるジル・ド・メストル。
ドキュメンタリーの映画・テレビ作品を数多く手掛け、本作が初の創作となるが、物語の着想を得たのはあるドキュメンタリーで野生動物と関わる子どもたちについて世界各国でインタビューをする機会があった際だった。
ケニアでライオン・ファームに暮らす子どもと出会い、ある事実を目の当たりにする。「(ライオン・ファームにいる)数百頭のライオンの中には子供もいた。(インタビューの)帰り際、そこで育ったライオンが缶詰狩りの業者に売られていることを知ったんだ。囲いをされた中にライオンを放ち、狩る。そして自国に狩った獲物を持ち帰るんだ。」その様子にメストルは「面食らったよ。ファームの経営者に騙されたことにも」と続ける。
そこで暮らす子どもたちはその事実を知らず育ち、動物の保護施設を作ることを夢見ていた。「彼らがライオンの運命を知ったらどう思うだろうと考えたんだ。それがこの映画の発想源となった」。
子どもとライオンが関係性を作るには?
その後、“ライオンに囁く男”と言われるケビン・リチャードソンと出会い、この映画の制作につながっていく。映画を作るにあたってメストルは「リアルなものを撮りたかった」と振り返る。そのためには、子どもとライオンが関係性を作ることが必要となる。「ライオンが赤ん坊の頃から、子どもたちと育ったらどうかと考えて、ケヴィンに相談した。彼は賛同してくれたが、3年をかけて映画を撮影することには懸念していた。けれどやってみることにしたんだ」
メストルと一緒に作品を作りあげた一人であるケビンは当時のことを振り返り「ある日、映画を作ろう、パリに来てくれないかと電話があった。僕はこう答えたんだ“3年あれば可能かも”。そしてそれから目まぐるしい日々が始まったんだ」と語る――。
『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』
ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開
監督 /ジル・ド・メストル
出演 /ダニア・デ・ヴィラーズ、メラニー・ロラン、ラングリー・カークウッド ほか
配給/シネメディア
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