1980年代に制作費40億円、製作日数2年、動画枚数25万枚という、破格の規模の日米合作の超大作アニメーション映画が存在していたことをご存知だろうか?その映画とは『トランスフォーマー ザ・ムービー』。日本のタカラトミー(当時:タカラ)の変形ロボット玩具を基にした、人気TVアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の劇場版である。その謎に迫る一冊が発売された。

とにかく規格外の規模&豪華さのアニメ映画

 この『ザ・ムービー』、一般的なアニメ映画の制作費が現在でも1~3億円、大手スタジオクラスで10~20億円、平均的な動画枚数が3~4万枚と言われている(上映時間86分なのに!)ので、80年代としては異例の規模の作品であったことが分かる。
 製作は、米国のハズブロ、サンボウ・プロダクション、マーベル・プロダクションと日本の東映アニメーション(当時:東映動画)。声優として『市民ケーン』のオーソン・ウェルズ、『スタートレック』のミスター・スポックことレナード・ニモイ、『モンティ・パイソン』のエリック・アイドルなどの有名俳優が参加している。
 音楽は、『ロッキー4/炎の友情』のヴィンス・ディコーラが担当、主題歌を当時人気のハードロックバンド・ライオンが務め、パロディソングの第一人者ウィアード・アル・ヤンコビック(マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」のパロディ「今夜もイート・イット」などで知られる)も楽曲提供。米国においてディズニー以外のアニメ映画で初めてサウンドトラック盤を発売したという意味でも画期的な作品であった。

 内容は、TVシリーズ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』第1作と、第2作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』の間をつなぐ物語となっており、物語最大のトピックスは、正義のトランスフォーマー・オートボット(日本名:サイバトロン)のリーダー(つまり主役)と、そのライバル、悪のトランスフォーマー・ディセプティコン(日本名:デストロン)のリーダーの交代劇だ。
 サイバトロンのリーダー・オプティマスプライム(日本名:コンボイ)は、ライバル・メガトロンとの激闘の末に死を遂げ、若きサイバトロンの騎士・ホットロッド(日本名:ホットロディマス)が、大冒険の末にニューリーダー・ロディマスプライム(日本名:ロディマスコンボイ)にリバースする。
 米国ではTVアニメの放送コードが厳しく、「死」はNGであった。ゆえに、無敵のヒーロー・オプティマスプライムの死は、当時の子どもたちに衝撃を与え、今なお「ダース・ベイダーがお父さんだった」と並ぶ、2大トラウマとして人々の心に残り続けているとかしないとか……。
 1986年に欧米で公開されたものの、残念ながら日本では劇場公開はされず、1989年8月、トランスフォーマー5周年記念のユニセフチャリティ上映会という形で東京、大阪でイベント上映されたのみ。2001年のDVD発売を最後にソフト化されていないため、国内では「幻の超大作」として伝説となっている。

画像1: 知られざる超大作アニメーション映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』の謎に迫る書籍『トランスフォーマージェネレーション2021』
画像2: 知られざる超大作アニメーション映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』の謎に迫る書籍『トランスフォーマージェネレーション2021』

今年で、公開35周年!

 そんな革命的作品『トランスフォーマーザ・ムービー』が今年、公開35周年を迎えた。タカラトミー、ハズブロでは、『ザ・ムービー』ラスボスにして惑星(!)に変形するトランスフォーマー・ユニクロンの玩具を、なんと全高約70cmという変形ロボット玩具として史上最大のサイズで商品化。さらに実写映画版トランスフォーマーを玩具化した「スタジオシリーズ」にあらたに『ザ・ムービー』のキャラクターを投入、大きな話題となっている。

 そんな熱い盛り上がりを見せる『トランスフォーマー』のオフィシャルガイドブックが、発売中。『トランスフォーマージェネレーション2021』だ。2009年から展開する『トランスフォーマー』の公式イヤーブックの最新版にあたるが、本年度版は『ザ・ムービー』を総力特集。ホットロッド、ロディマスプライムをはじめとする最新玩具の詳細レビューはもちろんのこと、『ザ・ムービー』の当時の関係者の貴重な証言を収録している。現在も第一線で活躍する山内重保氏、宇田鋼之介氏、うるし原智志氏などが、それぞれ「人生で最も一生懸命」「エポックなものを作ろう」「どこまで細かく描き込めるか(中略)ヒートアップしていった」といった言葉を交え、具体的な当時の制作の様子を語っており、読んでいるだけで汗ばんでくるような興奮を覚えずにはいられない。各企業の間をつなぐコーディネーターとして、本作を実現させたジーン・ペルク氏の発言も、本邦初公開の驚きの事実ばかりだ。また、タカラトミーの玩具開発者のインタビュー記事もあり、こちらでは、『ザ・ムービー』当時から現在もトランスフォーマー玩具に関わるレジェンド・大野光仁氏、國弘高史氏が、同様に熱い思いを語っている。

 巻末には、もう一つのトランスフォーマーの人気シリーズ『ビーストウォーズ』の描き下ろしコミックスが収録されている。執筆は、かつて『コミックボンボン』(講談社)で、『ビーストウォーズ』シリーズのコミカライズを手がけた今木商事氏。今までコミックス版には登場しないキャラクターも登場するなど、ファンなら思わずニヤリとする展開も……。とにかく、トランスフォーマー愛がダダ漏れかつ、熱量しかない必見の公式ブックは、ぜひとも手に取って見て欲しい。

『トランスフォーマージェネレーション2021』

画像3: 知られざる超大作アニメーション映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』の謎に迫る書籍『トランスフォーマージェネレーション2021』

発売中/3300円(税込)/株式会社竹書房
判型/A4判 オールカラー
本文/96ページ(+折込ポスター)
© TOMY

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