『ブリジット・ジョーンズの日記』の製作陣が作家・コラムニストのキャトリン・モランの半自伝的小説『How To Build A Girl(原題)』を『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のビーニー・フェルドスタイン主演で映画化。同作で、男性優位の90年代の音楽業界で奮闘する少女・ジョアンナを演じたビーニー・フェルドスタインのインタビューをお届けする。
画像: “誰かに合わせて自分を変える必要はない”『ビルド・ア・ガール』ビーニー・フェルドスタイン インタビュー

本作の舞台は90年代前半のイギリス。郊外で暮らす高校生・ジョアンナは、あふれる表現欲求や自己実現を持てあまし悶々とした日々に「もう耐えられない!」と一念発起。髪を真っ赤に染め、大胆で奇抜な衣装に身を包み、人気音楽ライター“ドリー・ワイルド”へと大変身!単身ロンドンに乗り込み音楽ライターとしての才能を開花させていくが、徐々に自分の心を見失ってしまう・・・。

今回、本作の主人公・ジョアンナを演じたビーニー・フェルドスタインに日本のメディアがインタビューを敢行。脚本の魅力、役作り、10代当時の彼女の話など幅広く語ってもらった。

“10代は悪びれず情熱を傾けられる時間なので、演じられるのは大きな喜び”

画像1: “10代は悪びれず情熱を傾けられる時間なので、演じられるのは大きな喜び”

―キャトリン・モランの脚本を読んだ感想、魅力的に感じた部分を教えて下さい。

私はロサンゼルス生まれで、ウルヴァーハンプトンは世界の反対側。それでも、ジョアンナのことを「知っている」と最初に思ったんです。自分が次のステージに行こうとしていて、自分が誰であるかを見極めようする気持ち、そして自分のアイデンティティを求めているところに共感できました。脚本は生き生きとしていて笑えましたし、何より彼女の勇敢さに惚れ込みました。

―これまでも演じてきた役とジョアンナの違いはどんなところだと思いますか?

今までは友情の話が多かったですが、ジョアンナは孤独。自分のことを常に面倒を見てくれる人や常に愛してくれる人がいない。映画が始まった時点では、世界に対して一人で直面していく必要がある状況なんです。

―ビーニーさん自身はどんな10代を過ごされていましたか?

演劇オタクで、特にミュージカル系が好きでした。高校の時は舞台や即興演劇やコメディ、合唱にも励んでいました。結構自信を持った10代だったと思います。その時の自信が今もあればいいのに(笑)。10代は悪びれず情熱を傾けられる時間なので、演じられるのは大きな喜びです。

―劇中でジョアンナが髪を短くするのは「若草物語」を思い出しました。ファッションでお気に入りの所はありますか?

「若草物語」はキャトリンも私も大好きなんです!映画の中にも引用がたくさんありますよ。私は赤い髪が大好きです。ロンドンのウィッグ屋さんに手作りで作ってもらったもので、被るのも特別な体験でした。特に、反抗心を感じられるショートの赤い髪が好きですね。

画像2: “10代は悪びれず情熱を傾けられる時間なので、演じられるのは大きな喜び”

―アクセントを学ぶために2週間、キャトリン・モランが育ったウルヴァーハンプトンに滞在されたそうですね。

実際に生活することでアクセントはもちろん、役作りが凄くできました。キャトリンにも会えましたし、彼女の昔住んでいた場所の近くで近所の方とお話もできました。街の印象としては私が知るどんな場所よりも80倍ぐらい静かです。特に、街の外れにあるキャトリンの昔の家は、地球の端にあるような感じすらしました。ですが、キャトリンは思考も早く、たくさん話します。それでカチッと頭のなかでピースがはまりました。ゆっくりとした街から出ないといけないような速さをキャトリンは持っていたんだと思います。

―劇中にジョアンナが好きな偉人たちの写真や絵を貼っている“GOD WALL(神の壁)”が登場しますが、ビーニーさんだったら誰を貼りたいですか?

この質問大好き(笑)!ミュージカルが好きなので、スティーヴン・ソンドハイム、アデル、そして役者としてのアイドルでもあるサンドラ・オー、『POSE』に出ているM・J・ロドリゲス、メリッサ・マッカーシー、オーガスト・ウィルソン、それに『ギルモア・ガールズ』のローラ、あとはキャロル・キングにジェームス・テイラー・・・・・・今日はこれくらいにしておきます(笑)。

“誰かに合わせて自分を変える必要はないし、
そのままの自分を見せることで自分を愛すべき人も現れる“

―本作のテーマを「自分作り」とお話しされていましたが、自分自身を知るために重要なことはどんなことだと思いますか?

彼女の本を読んだ方なら分かると思いますが、キャトリンの贈り物の一つは、私たち一人一人に「いいんだよ」と許しを与えてくれる所です。あるいは、そうすることが素敵だと言ってくれること。10代は特にそうだと思いますが、大人も自分を「常に進化し続けていい」と許すことが大切だと思います。キャトリンは「鎧を着ると安心する。でも、鎧のせいで逆にそれ以上成長できなくなってしまう。踊りたくても踊れない。自由に動くこともできない。」とよく話すんです。作品作りを通して、改めてそのことを学びました。

画像1: “誰かに合わせて自分を変える必要はないし、 そのままの自分を見せることで自分を愛すべき人も現れる“

―「本当の自分」と「求められる自分」にギャップを感じることはありますか。

もちろんあります。誰もが経験することではないでしょうか。誰かに求められるものを返せないこともあると思います。特に人目に付く仕事をしていると、その感覚が何倍にもなってしまうのかもしれません。

―ビーニーさんなら、10代にどんなアドバイスをしますか?

若い人から学ぶこともたくさんあるのですが、10代の時に自分のために作ったルールをお話ししますね。10代の時は、クラブに入れなかったり、うまく友達になれなかったりしますよね。その時に自分に言い聞かせていたのが「“ビーン”を欲しいと思うか、そうでないか、どっちしかない」ということです。

自分は誰だか分かっていて、相手はそれを受け入れるか、受け入れないか。誰かに合わせて自分を変える必要はないし、そのままの自分を見せることで自分を愛すべき人も現れる。そう言い聞かせていましたね。

―男社会の音楽雑誌でのジョアンナの奮闘が描かれる本作ですが、舞台の1993年は今よりもっと女性が働きづらい時代でした。本作は、ティーンムービーとしてだけでなく「働く女性」を描いた作品でもあると思いますが、どんなメッセージが込められていると思いますか。

映画の中でパワフルでユーモラスになっているシーンが、編集部の同僚が「膝に乗ってジャンプしろ」とジョアンナに言う場面です。10代の少女が居心地の悪い状況に置かれそうになった時に、彼女はユーモアと機知を使って「あなたが求めているのはこういうことよ」と知らしめるんです。

この作品は、女性が「誰であるか」、そして、その知性をしっかりと発揮することを教えてくれると思います。最初に「D&ME」に入っていくシーンも「フロアを間違えたんじゃない?」とみんなに言われますが、ジョアンナはその後トイレに行って、再びオフィスに入っていきます。自分自身に疑念を抱くのは良いと思います。でも、女性は、そこから立ち上がって、自分の居場所を自分で作っていかないといけないんです。その美しい例の一つなんじゃないでしょうか。

画像2: “誰かに合わせて自分を変える必要はないし、 そのままの自分を見せることで自分を愛すべき人も現れる“

―本作もそうですが、ポジティブなメッセ―ジとともに社会に向き合う作品が増えているように思います。そのことについてどう思われますか?

全く同感です。そういう作品にもっと関わっていきたいと思っています。今回の作品もすばらしい旅の一つでした。若くて賢くて「キャリアウーマン」…「ウーマン」というほどの年齢ではないですが、自分のキャリアを築き始めて、自分の名を知らし始めている、お金を稼いで家族も支えている女性を演じられたこと、身体的タイプという意味でも映画ではあまり見ないタイプで、そんなキャラクターを演じられたことが凄くパワフルでしたし、彼女が成功していく姿を演じられたことで私も何か受け止めるものがありました。

これから演者としてそういう作品に関わっていきたいです。それに、観客としても社会的にインパクトのある作品を観たいという風に思います。大学で社会学を学んでいたので、そういった視点が私にもあるように思います。

『ビルド・ア・ガール』は10月22日(金)公開!

STORY

いい子じゃお金を稼げない! 辛口音楽ライター“ドリー・ワイルド”爆誕!

1993年、イギリス郊外に家族7人で暮らすジョアンナは、底なしの想像力と文才に長けた16歳の高校生。だが学校では冴えない子扱い。そんな悶々とした日々を変えたい彼女は、大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募。単身で大都会ロンドンへ乗り込み、仕事を手に入れることに成功する。だが取材で出会ったロック・スターのジョンに夢中になってしまい、冷静な記事を書けずに大失敗。編集部のアドバイスにより“嫌われ者”の辛口批評家として再び音楽業界に返り咲くジョアンナ。過激な毒舌記事を書きまくる“ドリー・ワイルド”へと変身した彼女の人気が爆発するが、徐々に自分の心を見失っていき……。

作品情報

【原作】 キャトリン・モラン著「How to Build a Girl」 【脚本】 キャトリン・モラン
【監督】 コーキー・ギェドロイツ
【製作】 アリソン・オーウェン、デブラ・ヘイワード
【出演】 ビーニー・フェルドスタイン、パディ・コンシダイン、サラ・ソルマーニ、アルフィー・アレン、フランク・ディレイン、クリス・オダウド、エマ・トンプソン
【配給】 ポニーキャニオン、フラッグ 【提供】フラッグ、ポニーキャニオン

【原題】『Howto Build a Girl』

2019年/イギリス/英語/105分/DCP/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/R-15公式サイト:buildagirl.jp 公式TW/IG:@buildagirl_jp #ビルド・ア・ガール、#ビルドアガール

© Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019

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