2021年9月6日に88歳で逝去したジャン=ポール・ベルモンドがジャン=リュック・ゴダール監督と組み、その鮮烈な存在感でヌーヴェル・ヴァーグを世界に知らしめた『勝手にしやがれ』。2020年の公開60周年を記念して製作された同作の4Kレストア版、そしてヌーヴェル・ヴァーグの最高到達点とも呼ばれる『気狂(ちが)いピエロ』の2Kレストア版が、2022年4月より上映されることが決定した。

『勝手にしやがれ』4Kレストア版

28歳のジャン=リュック・ゴダール、26歳のジャン=ポール・ベルモンド、20歳のジーン・セバーグが、映画に革命を起こした『勝手にしやがれ』(1960)。クエンティン・タランティーノ、トニー・スコット、リチャード・リンクレイター、ラース・フォン・トリアー、テレンス・マリック、ウディ・アレン、ウォン・カーウァイなど、名だたる映画人に影響を与えてきたヌーヴェル・ヴァーグ不滅の金字塔だ。

今回上映されるのは、可能な限りの素材と技術を結集して制作された4Kレストア決定版。使用された2種類のフィルムの特性を考慮し、オリジナルネガから徹底的なレストアが行われ、色味は撮影の故ラウル・クタールが監修した2009年のレストア版を模範とし、サウンドもオリジナルネガから起こしてレストアの最終的な決定版を作り上げている。

また、今回の上映のために新たなメインビジュアルが作成された。『勝手にしやがれ』は、マルセイユからパリに逃走してきた男(ジャン=ポール・ベルモンド)が、かつて一夜を共にした女(ジーン・セバーグ)にシャンゼリゼで遭遇して談笑する有名なシーン。セバーグのへラルド・トリビューン紙のロゴが入ったサマーニットも映画を象徴するアイテムである。

『勝手にしやがれ』

監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ他

自動車泥棒でマルセイユからパリへの逃走中警官を殺した男。かつて南仏でベッドを共にした新聞記者志望のアメリカ人留学生のアパートへ転がり込む。金を調達し二人でイタリアへ逃れようとする男と夢をかなえようとする女の行く末は…。

字幕:寺尾次郎/原題:A BOUT DE SOUFFLE/
1960年(2020年4Kレストア版)/フランス/90分/©STUDIO CANAL

『気狂いピエロ』2Kレストア版

一方、『気狂いピエロ』(1965)は、35歳のゴダールが、長編10作目で生み出したヌーヴェル・ヴァーグの最高傑作とも呼ばれる一作。『勝手にしやがれ』以来の盟友である撮影のラウル・クタール、ゴダールのミューズでありながらゴダールと離婚したばかりのアンナ・カリーナ、『勝手にしやがれ』で大スターになりこの映画でゴダールと決別することになるベルモンド。各自がキャリアの臨界点で燃焼しつくした奇跡的な作品だ。

ところが、公開当時のマスターポジは消失しており、インターネガ(*複製プリントの元になるフィルム)も劣化のため1990年に廃棄されていた。今回上映されるのは、撮影ネガをデジタル化して新たなマスターネガを作成、サウンドの磁気素材も紛失していたため、当時のプリントから新たな音ネガを復元、鮮やかな色と音を可能な限り蘇らせた2007年2Kレストア版。

『気狂いピエロ』も新ビジュアルが作成された。パリから南仏に逃れてきた男(ジャン=ポール・ベルモンド)と女(アンナ・カリーナ)。本を読み小説を書いて、ロビンソン・クルーソーばりの生活に満足げな男と、すこし倦んでいる女。波乱の予兆はありつつも穏やかな二人の愛の時間を象徴するシーンを切り取ったものとなっている。

『気狂いピエロ』

監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ他

パリで金持ちの妻との生活に辟易している男。偶然ベビーシッターにやって来たかつての恋人。彼女を家に送り一夜を共にするも、翌朝男の死体が転がっていた。事情の分からぬまま、彼女の兄がいるという南仏に向かう。ところがある日彼女が姿を消してしまう…。

字幕:寺尾次郎/原題:PIERROT LE FOU/
1965年(2007年2Kレストア版)/フランス/110分/©STUDIO CANAL

2022年4月15日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋他にて公開

後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 
応援:SLOBE IÉNA(『勝手にしやがれ』)/Charles Chaton(『気狂いピエロ』)
配給:オンリー・ハーツ

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